僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
解散後、たんたんと愛を歌ったジョンの「ラブ」を今年最後の曲に
ビートルズを聴き始めたのが、中2の74年の夏だったから、
とっくにビートルズは解散して、赤盤・青盤もすでに発売済、
4人のソロアルバムも、今も活動しているポールを除いたら、
その主要な作品は、ほとんど出揃っていて、すべて後追い。

当然ながら、ビートルズがデビューしたときの印象だったり、
来日の騒ぎ、ペパーズの衝撃、解散のショックも経験せず、
それぞれのソロアルバムが出たときのことも、知らないから、
ソロ活動を当時の人が、どう捉えたかも、本で読むしかない。

渋谷陽一は、「ロック・ベスト・アルバム・セレクション」の中で、
「(ソロアルバムで)、最も大きな衝撃をファンに与えたのが、
『ジョンの魂』である。」と述べて、「平和なジャケットに反して、
内容は身を切り刻んでいるような歌詞ばかりである。」と書く。

「ジョンがあらわに、自らの裸身をさらしたことにファンは驚き、
熱狂的にその作品を迎え入れた。」、「彼の偽らざる心境を、
歌ったものなのだろうが、かなりのショックを聞くものに与えた。」
など、大きな衝撃、驚き、ショックと、繰り返すように書いている。

文藝別冊のムック「総特集ジョン・レノン」は、「作品でたどる
ジョン・レノンの歩み」で、「マザーは、まさに子どものころの、
傷を吐き出したもの」とし、LP解説も「非常に私的なアルバムと、
なっており、一人の人間としてのジョン・レノンがが見えてくる。」

アルバム原題は、「プラスティック・オノ・バンド」の名義のみで、
ほとんど同じジャケットで、ヨーコのアルバムも同時に出たから、
間違えて買わないように、邦題は「ジョンの魂」・「ヨーコの心」と、
分けたそうだが、まさに「魂」、心の叫びだと世間は捉えたとか。

中山康樹の「ジョン・レノンを聴け!」では、「一般的に『ジョンが、
裸になったアルバム』と言われるが、『裸になろうともがいてる』、
あるいは『裸であることをみせよう』」としているように思える。」と、
「ジョンは裸を演じているにすぎなかった」という、見解を示した。

また、「演技派のジョンレノンらしい、ある種の感情移入によって、
多分に意図的に練られたものであったことが、~さらされた。」と、
持論を展開するが、自分も同感で、ジョンは、後で話を作ったり、
サービス精神もあるから、生身のジョンを演じたのはうなずける。

アルバムは、荘厳な教会の鐘の音から始まる「マザー」が1曲目、
母親ジュリアへの屈折したような思いを、叫ぶように歌うジョンは、
確かに、精神療法の結果であり、自己の思いを吐露しているが、
そこは、ミュージシャンとしての理性も働き、楽曲に仕上げている。

ヨーコは、「大晦日に、お寺でゴーンってやるでしょう。」と言って、
除夜の鐘みたいなものだと説明したそうで、荘厳な鐘の響きが、
日本の風物詩にすり代って、それはそれで、それなりの趣きも、
あるとは言え、母親への苦悩、別れの宣言とは、かけ離れてくる。

実際のところは、ヨーコでさえ、どこまで本当なのかは不明だが、
教会で懺悔するように、胸の内を叫んだと、ジョンの人生を重ねて、
感動した当時の人には、まあ、煩悩を払ったのかなあと肩透かし、
本人も、どこまで真剣だか、ただ、そのほうがジョンらしく思える。

それで、除夜の鐘で「マザー」が始まるのなら、年末最後の曲は、
「マザー」がふさわしく思えるが、ジョンのマザコンの叫びはきつく、
「かわいそうなボクちゃん」を演じていたのだとしても、重苦しくて、
一年の最後、年の瀬の結びには、ちょっと自分には歌いきれない。

おそらく、ジョンの曲で、かつて、世間一般に知られていた曲は、
このアルバム「ジョンの魂」のB面の2曲目、「ラブ」だったと思うし、
それは、ジョンには申し訳ないが、レターメンがカバーしたことで、
お茶の間にまで広まって、ジョンの曲と知らない人も多いのでは。

自分は、「ジョンの魂」も「イマジン」も、持っていないだけでなく、
友人から借りて、カセットテープに録音することさえしなかったし、
持っているベスト盤「シェイブド・フィッシュ」にも、「ラブ」はないが、
当然、この曲は知っていたし、レターメン版より、先に聴いている。

レターメン自体、来日コンサートがNHKで放送されたときに知り、
リハーサルで、日本語の曲を歌おうと、当時のヒット曲を教わり、
「北の宿から」の歌詞を必死で覚える場面が、放送されたから、
おそらく76年で、「ミスター・ロンリー」「ビコーズ」とか気に入った。

レコードを買おうと思ったが、テレビで見た人とベスト盤の写真が、
どうも違っていて、どうやらメンバーチェンジしての来日のようで、
自分が見て気に入った人の歌声じゃないのかよと、がっかりして、
来日記念盤も同様、元々ファンでもないのに、納得いかなかった。

話がどんどん飛躍するが、カーペンターズが74年に来日した時、
テレビの武道館ライブを見て、すごく気に入り、ベスト盤を買うが、
その後出た日本公演2枚組は、武道館でなく大阪ホールなので、
テレビと違うじゃないかと、一人怒って、CDの時代まで買わない。

ジョン・レノン「ラブ」は、ずっとジョンのピアノ弾き語りだと思って、
今回、演奏するために、YouTubeで聴くと、アコギが入っているし、
ピアノもジョンでなく、あのフィル・スペクターだそうで、毎度ながら、
勝手な思い込みも多いし、きちんと曲を聴いていないことも多い。

「ラブ」は、すごく単純な歌詞で、深読みされるほどの言葉遊びや、
ストーリー性を持たせる歌詞を、ビートルズでは、特徴的だったが、
解散前の「ビコーズ」は、シンプルな詞ながら、哲学的・抽象的で、
「ラブ」では、さらに素朴な単語で、ストレートな表現となっている。

73年にシンコーから出た「ビートルズ詩集」は、訳者の岩谷宏が、
「いわゆる直訳したのでは、詩そのものを殺してしまうことに。」と、
詩の中に暗喩するものを、訳者の解釈により、書き加えているが、
さすがに、「ラブ」は、単純かつ直接的表現だから、直訳に近い。

「ヘルプ」の訳を、「ぼくはくだらない映画に出て~」から始めたり、
「ひとりぼっちのあいつ」の場合は、「たとえば夜なんか ひとりで
ボケーっとしておりますと」、「きみは宇宙人 ためしにあしたの朝
新聞なんかよんでごらん もうなにひとつ きみには理解できない」

「エリナー・リグビー」は、エリナーもマッケンジー神父も登場せず、
和文タイピストに、若いセールスマン、初老の工事労務者などの、
訳者が作りあげた人物の、それぞれが亡くなった経緯を語った後、
「死ぬことはないよ がんばろうな」という言葉で終わるという具合。

自分は、このやり方は、あまり好きでなく、ビートルズを題材とした、
別作品と言えるほどに、まったく違うものになって、意訳以上だが、
ジョンのソロ作品は、かなり良い感じで直訳に近く、「ラブ」にしても、
「愛は空想じゃない 愛が現実 愛は今きみが感じていること」に。

ちなみに、解散直後のジョンのインタビュー集「ビートルズ革命」は、
原著にはないジョン詩集が追加され、詩人の三木卓が訳す「愛」は、
「愛は本当のこと 本当のことは愛 愛は感じること 感じることは愛」
さらに直訳となっていて、この本の他の訳詞と比べても、余地がない。

せいぜい、「real」の部分、 外来語としても、「リアルだ」と言う場合、
「現実」「本物」「真剣」と、微妙に意味が違い、解釈は分かれるが、
まったく別の意味ではないし、この単純な歌詞は松尾芭蕉の影響と、
よく言われるが、俳句表現、ワビ、サビは、あいにく自分は不勉強。

「ビートルズ革命」の本文を翻訳したのは、作家でもある片岡義男で、
角川文庫版「ビートルズ詩集」は、オリジナル曲のほぼ全部を収録し、
それは片岡義男が、1・2巻とも訳しているが、自身が翻訳した本の、
付録の詩集は、別の人が訳すのは、何か大人の事情か、気になる。

自分は、ギターは中学から弾き始めたが、自宅にはピアノはなくて、
当然ながら、ピアノはまったく弾けなかったが、コピーする参考にと、
ビートルズの日本編集盤に準拠したピアノ曲集を、数冊は買ったし、
楽譜付き教則レコード「ビートルズ・ピアノ・テクニック」も手に入れた。

ジョンのソロ作からは、「マザー」と「ラブ」が選ばれ、楽譜を見ると、
バンドスコアのピアノ部分と微妙に違い、まあ、どっちもどっちだが、
「レット・イット・ビー」「レディ・マドンナ」や「イン・マイ・ライフ」と共に、
選曲されるくらい、「ラブ」の方が、「イマジン」より代表曲だったよう。

「ラブ」には、デモ演奏の、アコースティックギター・バージョンがあり、
単なるコードストロークではなく、4~6弦のベース音を交えた弾き方、
ポールが弾く「マザー・ネイチャーズ・サン」に似て、ニヤリとするが、
低音を弾くのは、カントリーでは、カーターファミリー奏法として定番。

レコード版では、アコギのコードストロークで、弾き語りをしながら、
スペクターがピアノを一緒に弾いたのか、ピアノは8分音符主体で、
アルペジオを弾くが、ジョンは、ほとんどダウンのみの4分音符で、
コードを刻んで、時折、アップストロークやダウンで8分音符を返す。

このコードストロークが、ジョンならではで、「スタンド・バイ・ミー」や、
リンゴの「オンリー・ユー」のように、ミュートのアクセントを混ぜたり、
主に高音を鳴らしながら、たまに低音がズシっと入ったりと、これは、
その場のセンスで、完全コピーは無理だが、ニュアンスは覚えたい。

実は、かなり前から、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」が中断したままで、
バンドスコアが手抜きの、半音上昇するオーケストラ部も悩みだが、
イントロからのジョンのアコギが再現できず、アップを強調しつつも、
ミュートは入れず、アクセントを出すのが、何年やっても似てこない。

早弾きが好きで、アコギも、複雑なフィンガーピッキング、タッピング、
変則チューニングに手を出しつつ、一番の基本のコードストローク、
中学時代から、「ただのコード弾きかよ」と馬鹿にしていたやり方が、
実は、まったくできていなかったという、今さら、この歳になり気づく。

ジョンが自身をさらけ出したとされる「ジョンの魂」にあり、「ラブ」は、
愛の本質を探ろうとしたかのような、単純な歌詞に美しいメロディ、
囁くような、かすれ気味のジョンの歌声は、なかなか真似できずに、
単にボソボソ歌うだけとなった、お粗末な歌い納めと相成りました。







今年も、拙ブログへ、ご訪問いただき、ありがとうございました。
みなさま、よいお年をお迎えください。

次回のブログ更新は、1月7日(土)を予定していますので、
ややフライングですが、31日も、残りあと僅かということで、
Happy New Year!

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まいどです
大晦日も休む事なくがんばりますね…感心します。

中3のときにピアノ譜を読みつつ、アコギでおぼえた、
もしかしたら初の弾き語り曲だったかもしてません(曖昧?)!
ピアノの記譜通りにギターのポジションに指を置いて
いったので、妙なコードフォームになりましたけど、
攻略した時は愉しかったですね。

しかしやっぱり、今日のギターマジシャンさんのテイクを
聴かせていただくと、ピアノの力はすごいです。
すごく音が狂おしいほど切迫しています。
いやはやまいりました。すごく良いです!

というわけで、来る年もがんばって愉しませてください。
どうぞよろしく御願いします。
pipco1980 | URL | 2016/12/31/Sat 22:10 [編集]
Re: まいどです
いつも、コメントありがとうございます。



> 大晦日も休む事なくがんばりますね…感心します。


たまたま、更新日の土曜と大晦日が重なったものでして。



> 中3のときにピアノ譜を読みつつ、アコギでおぼえた、
もしかしたら初の弾き語り曲だったかもしてません(曖昧?)!
ピアノの記譜通りにギターのポジションに指を置いて
いったので、妙なコードフォームになりましたけど、
攻略した時は愉しかったですね。



和音が複雑や多いと、6弦のギターでは、無理ですが、
けっこう、ピアノ譜のままに弾ける曲もあったりして、
それでも、かなりストレッチになったり、苦労します。

初の弾き語りが、ピアノ譜からというのも、すごいです。



> しかしやっぱり、今日のギターマジシャンさんのテイクを
聴かせていただくと、ピアノの力はすごいです。
すごく音が狂おしいほど切迫しています。
いやはやまいりました。すごく良いです!



ピアノには、ピアノの独特の音色、響きがあるので、
ギターでがんばっても、原曲のピアノが印象的だと、
どうしても、ピアノの音には、ギターは勝てなくて、
「レットイットビー」のイントロも、そんな感じです。

逆に、「イエスタデイ」の単純なコードのイントロは、
ピアノではニュアンスが出ないし、「ブラックバード」
「ヒヤ・カムズ・ザ・サン」も、ギターならではです。



> というわけで、来る年もがんばって愉しませてください。
どうぞよろしく御願いします。


こちらこそ、来年も、よろしくお願いいたします。
いつも、お聴きいただき、ありがとうございました。
ギターマジシャン | URL | 2016/12/31/Sat 23:00 [編集]
ジョンで締めですね
ギターマジシャンさん こんにちは。

私も後聞きですが、“ジョンの魂”はバンド構成が最小な分だけ
荒削りで心に響いてくるものがあります。

“ラブ”は圧倒的に歌詞が簡素化され、芭蕉にインスパイアされた
ようですが、やはりヨーコさんの影響が多大だと思われます。

ギターマジシャンさんの演奏はさすがで、“ジョンの魂”の世界が
再現されているかのようです。

2017年も素晴らしい演奏をお聞かせてください。
マサジョン | URL | 2017/01/01/Sun 11:48 [編集]
Re: ジョンで締めですね
いつも、コメントありがとうございます。



> ギターマジシャンさん こんにちは。
私も後聞きですが、“ジョンの魂”はバンド構成が最小な分だけ
荒削りで心に響いてくるものがあります。


バンドでも、ほとんどダビングなしで、リンゴのドラムと、
クラウスのベース程度で、すごい手作り感がありますよね。



> “ラブ”は圧倒的に歌詞が簡素化され、芭蕉にインスパイアされた
ようですが、やはりヨーコさんの影響が多大だと思われます。


イマジンが、ヨーコの「グレープフルーツ」が元ネタだったとは、
最近まで知らなかったのですが、ヨーコの言葉に対する感覚さえ、
ジョンにとっては、愛情の対象だったのかと思う今日この頃です。




> ギターマジシャンさんの演奏はさすがで、“ジョンの魂”の世界が
再現されているかのようです。


演奏が、ピアノ(ギターシンセ)と、アコギというシンプルなので、
原曲の世界に近いのですが、まだ独特のニュアンスは出せないです。



> 2017年も素晴らしい演奏をお聞かせてください。


ビートルズを中心に演奏しますので、よろしくお願いします。
いつも演奏をお聞きいただき、ありがとうございました。
ギターマジシャン | URL | 2017/01/01/Sun 12:08 [編集]
おめでとうございます
ギターマジシャンさん、明けましておめでとうございます。
昨年も、膨大なカバーのアップ、感心させられました。
もうビートルズを聞くことは無いのですが、カバーを聞くたびに
いい曲は永遠だなと思います。
今年も素晴らしいカバーを聞かせて下さい。
AKI | URL | 2017/01/01/Sun 12:23 [編集]
Re: おめでとうございます
いつも、コメントありがとうございます。



> ギターマジシャンさん、明けましておめでとうございます。


明けましておめでとうございます。


> 昨年も、膨大なカバーのアップ、感心させられました。
もうビートルズを聞くことは無いのですが、カバーを聞くたびに
いい曲は永遠だなと思います。
今年も素晴らしいカバーを聞かせて下さい。


AKIさんのように、ライブハウスの武者修行は無理ですが、
宅録は、自分の好きにできるので、今年も続けていきます。
いつも、お聴きいただきありがとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

ギターマジシャン | URL | 2017/01/01/Sun 14:24 [編集]



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