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僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
ポールの弾くベースのフレーズが見事すぎる「心のラブソング」
中学時代には、バンドらしいバンドを組むこともなかったので、
高校では、ロック部はないとしても、軽音部あたりに入ったら、
バンドが組めると期待していたら、軽音も吹奏楽部もなくって、
音楽関係は、合唱部に、マンドリンとクラシックギターしかない。

クラシックギターはアンサンブル主体で、マンドリンと大差なく、
入部してもつまらないだろうと、どこの部活動にも参加せずに、
今で言う帰宅部となるが、もし入部していたら、先輩に教わり、
クラシックギターが上達したり、女子高と交流とかしたろうか。

ほぼ毎日、夕方4時前には家に着いたから、テレビを見たり、
ラジオを聴いたりしながら、ギターの練習に励むことになって、
練習時間としては、高校から大学にかけてが、一番だったが、
ながら練習なので、単に時間が長いというだけだった気もする。

夕方のテレビは、東京12チャンネルの海外アニメの再放送や、
NHKの少年ドラマシリーズが定番だったが、「ぎんざナウ」も、
ほとんど毎日見ていて、「しろうとコメディアン道場」は面白いし、
洋楽の紹介や生演奏のコーナーは、すごく楽しみにしていた。

ウイングスの新作、「スピード・オブ・サウンド」も、ぎんざナウで、
紹介されたが、木曜の洋楽コーナーか、全然別のコーナーか、
もう記憶は曖昧だし、英国では3月発売だが、国内盤はどうか、
自分が高校に進学した4月以降に、番組で見たような気がする。

後あと、よく考えると、「オール・アイヴ・ゴット・トゥ・ドゥ」あたりを、
BGMに流して、LPを紹介していたのだが、音が小さかったから、
「あれ?今度のLPは、ビートルズみたいな曲が入っているんだ、
しかもジョンのハモりみたいだ。」と、いつもの思い込みが始まる。

まさか、ジョンがこっそりゲスト参加しているとか、それはなくても、
デニー・レインか、ジミー・マックロウが、ジョンっぽくハモったのか
どちらにしても、ビートルズみたいな曲を、またポールが作ったと、
どんどん期待だけ膨らんでいき、かなりすぐに、LPを買ってくる。

ターンテーブルに載せると、この曲でもない、これも違うと、次々、
針を飛ばし、LPをひっくり返して、B面に移っても、期待していた、
ビートルズっぽい曲などはあるわけもなく、すごく騙された気分で、
恨めしそうにジャケットを眺め、無駄な買い物をしたと後悔ばかり。

しばらく間をおいてから、LPを聴くと、シングルカットされる名曲の、
「幸せのノック」に「心のラブソング」と、すごく充実したLPなのだが、
当初は、全メンバーが歌ったという売り文句も、それなら、ジョンや、
ジョージを連れてこいよと、半ば八つ当たり状態で、不満だらけに。

自分が買ったポールのレコードは、このウイングスの全盛期の頃、
「バンド・オン・ザ・ラン」に、「ヴィーナス・アンド・マース」と、そして、
「スピード・オブ・サウンド」と続くから、勝手に3部作ととらえていて、
その集大成として、ライブ盤「USAライブ」になったと解釈している。

このあたり、あまりに自分に都合よい解釈で、ビートルズに限らず、
ジョンやポールのソロ作品も後追いだから、リアルタイムで聴いた、
これらの作品こそ、全盛期だ、3部作だと大騒ぎしたくなるのだが、
それでも、やはり、「スピード~」は、他の2作に比べ見劣りがする。

ポールのワンマンバンドではないと、各人の作った曲も収録するが、
ビートルズでさえ、ジョンやポールに比べ、ジョージの曲は、初期は、
採用されなかったし、才能が開花して名曲が出揃うのは、解散前で、
ウイングスでは、ポールと他のメンバーの力量は、差があり過ぎる。

それは、「USAライブ」でも感じたことで、テレビのオーストラリアの、
ライブ映像の印象が強いせいもあって、しかも2時間近いライブの、
50分しかビデオがないことも、自分にはコンパクトで良かったので、
USAの各メンバーをフューチャーした箇所が余分で、助長に感じた。

とまあ、ついつい、ビートルズみたいな曲があると思ったLPなのに、
ないどころか、各メンバーのボーカル曲があり、その反動が大きく、
いまだに恨み節を語ったり、全盛期のメンバーと実力を認めつつも、
メンバーの楽曲や歌にはつらく当たるという、自分勝手さが目立つ。

その「スピード・オブ・サウンド」で、やはりポールの曲はダントツで、
しかも、シングル盤になった「幸せのノック」と、「心のラブソング」は、
ベスト盤にも必ず収録される名曲、ポール自身気に入っているのか、
「心のラブソング」は、「ヤァ!ブロード・ストリート」でも再演している。

こちらは、当時の売れっ子ミュージシャン、TOTOのギタリストである、
スティーブ・ルカサー、ドラムのジェフ・ポーカロを起用し、ベースまで、
ポールではなく、チョッパー奏法の名手、ルイス・ジョンソンに弾かせ、
曲の途中では、お約束の(?)チョッパーベースソロまで派手に披露。

フュージョン好きな自分は、スタジオミュージシャンのクレジットを見て、
AORや歌謡曲、ニューミュージックのLPを買ったし、そうした作品に、
インスト曲以上の名演もあるが、「心のラブソング」は原曲が好きだし、
テクニック追求主義の自分でも、チョッパーよりポールの演奏が良い。

ポールの弾く、曲全体を引っぱって、粘りつくようなベース・ラインは、
歌心あふれるフレーズでいて、エイトビートのようで、時折はねたり、
本当に絶妙のベースで、自分が、必死にバンドスコアを追いかけて、
メトロノームのクリックに合わせても、ポールのノリは全然出せない。

ポールは、ビートルズ後期からおなじみの、リッケンベースを使って、
ややミュート気味に、スタッカートや休符を交えて、絶妙とも言うべき、
アクセントで、曲のノリを支配するし、こんなに単純なフレーズなのに、
ポールでなければ、思いつかないような、キャッチーなベースライン。

全体を通じて、ほとんどが、ピアノにベース、ドラムのトリオの伴奏で、
間奏などでストリングスやホーンセクションが加わるのに、ギターは、
リードギターどころか、リズムギターさえ音は聴こえず、ミキシングで、
音量を下げたのではなく、最初から、アコギもエレキも入っていない。

YouTubeで、ウイングスのライブを見ると、デニー・レインがピアノ、
ジミー・マックロウは、ギターをフェイザーに通して、コードを弾くが、
自分は、たとえ本人たちでも、レコードとアレンジ、演奏が違うのは、
あまり好きでなく、ジミーはパーカッションでも良かったのではと思う。

バンドスコアは、ストリングスもホーンセクションも、2声になっていて、
ライブで見る限り、ホーンは4管編成なので、3~4声かもしれないが、
スコアの2声のままで、オクターブを変えて、ストリングスは3回録音し、
ホーンは5回ダビングして、実際の和音とは違うが、音に厚みを出す。

イントロのSE、サウンドエフェクトは、ピンク・フロイドの「マネー」を、
ポールが面白がって真似たという説もあり、確かに、「マネー」では、
レジスターを使い、レジを打つ音、引き出しが開く音、小銭の音など、
リズミカルに鳴らして、ポールのも、それを、チープにした感じがする。

甘ったるいラブソングばかり作ると、酷評されたポールが、お返しに、
「馬鹿げたラブソングに、みんなは、飽き飽きしていると君は言うが、
周りを見ると、そうは思わない。ラブソングで、世界中を満たしたい、
そう願っている人もいるよ、それのどこが悪いかな?」といった具合。

愛と平和の使者、ジョンが歌う内容に近い部分もあり、ジョンならば、
過激になったり、自己主張が強くなるところ、さらっと語りかけるのが、
ポールの特徴で、この頃に、共作したら面白かったろうにとも思うし、
そうした歌詞を理解しても、邦題が「心のラブソング」なのは不思議。

バンドスコアがあるからと、ウイングスの第2弾「心のラブソング」は、
ポールの見事すぎるベースラインが、なかなかノリが出せないうえ、
最高音ソという、自分の実音ぎりぎりの音で、歌い続けるメロディに、
鶏をしめ殺した声になり、しかも、後半では、出なくなってきています。



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待ってました!
ギターマジシャンさん こんにちは。

ついに演りましたね。待ってました。
スピード・オブ・サウンドは名盤で“心のラブソング”は
確か、ビルボード№1だったかと思いますが名曲です。

映画“ロックショウ”が蘇えりますね。
ギターマジシャンさんの演奏は、非の打ちどころがありませんが
とくに、ホーンセクションの音がクリーンに聞こえていいです。

ポールのツアーでは、“心のラブソング”もリハをしているらしいの
ですが仕上がらないようです。

ツアーで演奏せず、聞きたかった曲を聞かせていただけて
感謝です。
マサジョン | URL | 2016/08/21/Sun 17:17 [編集]
Re: 待ってました!
いつも、コメントありがとうございます。



> ギターマジシャンさん こんにちは。
ついに演りましたね。待ってました。
スピード・オブ・サウンドは名盤で“心のラブソング”は
確か、ビルボード№1だったかと思いますが名曲です。



スピード・オブ・サウンドは、自分の勝手な思い込みから、落胆が激しく、
自分の中では、ビーナス、バンドより下ですが、押しも押されぬ名盤で、
「心のラブソング」も、Wikiを見ると、年間チャートでも1位ですね。



> 映画“ロックショウ”が蘇えりますね。
ギターマジシャンさんの演奏は、非の打ちどころがありませんが
とくに、ホーンセクションの音がクリーンに聞こえていいです。



映画「ロックショウ」は、USAライブの映像版と言ってよく、
黄金期のメンバー、全盛期の演奏を、見事にとらえていますね。

ギターシンセの音は、ストリングス以上にホーンはリアルな音で、
バンドスコアどおりに演奏すると、かなり本物っぽくなりました。



> ポールのツアーでは、“心のラブソング”もリハをしているらしいの
ですが仕上がらないようです。



ジョンがボーカルの曲をライブでやるまで、時間がかかったように、
リンダの歌が目立つ曲は、そうそう納得いく演奏にならないのでは。



> ツアーで演奏せず、聞きたかった曲を聞かせていただけて
感謝です。


お聴きいただきありがとうございました。
ギターマジシャン | URL | 2016/08/21/Sun 18:47 [編集]
私の学校も軽音部がなかったので、バンドを演っている人達に誘われて、お手伝いをする感じでした。
私もながら練習ばかりでした。当時もっとちゃんと練習に没頭していたら・・・まあ今考えても仕方がないですね。(^_^;
TK | URL | 2016/08/22/Mon 10:13 [編集]
Re: タイトルなし
いつも、コメントありがとうございます。



> 私の学校も軽音部がなかったので、バンドを演っている人達に誘われて、お手伝いをする感じでした。



今のような女子も巻き込んだバンドブームではなかったから、
そう簡単に高校では軽音楽部は成立しなかったのでしょうね。



> 私もながら練習ばかりでした。当時もっとちゃんと練習に没頭していたら・・・まあ今考えても仕方がないですね。(^_^;



タッピングやスキッピングを自在にこなせるTKさんですから、
さらに練習されたら、ハイテクギターの極みになるでしょうし、
練習量やギター歴に関係なく上手い人も多く、うらやましいです。
ギターマジシャン | URL | 2016/08/22/Mon 20:48 [編集]
毎度です
憎まれっ子世にはばかる!...で、帰って参りました。
またよろしくお願いします!。

おっしゃる通り、ビートルズ以後の曲は、バンドサウンドの
妙を研究する!という主旨には、マルチトラックの性質上
合わないみたいで、この辺りの曲なんて特に「完コピ」よりは
ベース'nドラムのコンビネーションを追求したノリ中心で
演奏された方が良い結果になるみたいですね。

ちなみに高校時代にFM-NHKで聴いた、モリさん在籍時の
四人囃子&サンディアイ(!)による「あの娘におせっかい」の
抜群のノリが未だに忘れられず、ウィングスならバヤシだ!
なんて勝手に思ってたりします。

ちなみに当時は、ジョンはロックで、ポールはポップス…
硬派のロック好きは、隠れてこっそりポールを聴く…
そんな感じで、ポールファンには暗い時代でしたね!。
pipco1980 | URL | 2016/08/24/Wed 15:35 [編集]
Re: 毎度です
いつも、コメントありがとうございます。


> 憎まれっ子世にはばかる!...で、帰って参りました。
またよろしくお願いします!。



8月初に、入院でブログを休止されるとの記事を見て驚きましたが、
退院されて、ブログも更新、コメントもいただけてホッとしました。




> おっしゃる通り、ビートルズ以後の曲は、バンドサウンドの
妙を研究する!という主旨には、マルチトラックの性質上
合わないみたいで、この辺りの曲なんて特に「完コピ」よりは
ベース'nドラムのコンビネーションを追求したノリ中心で
演奏された方が良い結果になるみたいですね。



ビートルズの4人が揃ったマジックと、ジョンやポールのソロは、
どうしてもノリが違って、それはそれで新しい発見になってます。



> ちなみに高校時代にFM-NHKで聴いた、モリさん在籍時の
四人囃子&サンディアイ(!)による「あの娘におせっかい」の
抜群のノリが未だに忘れられず、ウィングスならバヤシだ!
なんて勝手に思ってたりします。



YouTubeに音源がありましたが、ギターのソロもかない良い感じで、
しかも、自分がポールを聴く来日騒ぎより前の、公開録音ですね。
四人囃子は、プログレ、日本のピンクフロイドといわれてましたが、
ビートルズのフライングもカバーしたし、ウイングスも見事です。



> ちなみに当時は、ジョンはロックで、ポールはポップス…
硬派のロック好きは、隠れてこっそりポールを聴く…
そんな感じで、ポールファンには暗い時代でしたね!。



ウイングスは基本ロックバンドだったのでしょうが、ヒット曲は、
バラードだったり、極上のポップスなので、そうなりがちですね。
ギターマジシャン | URL | 2016/08/24/Wed 20:14 [編集]



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