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僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
LP邦題は「ヌートピア宣言」、曲名は直訳カタカナの「マインド・ゲームス」
中2の74年夏、友人と見に行ったビートルズ映画の3本立てで、
ビートルズが気に入って、最初は、映画への興味が主だったが、
サントラ盤代わりに友人が貸してくれた、LP「オールディーズ」で、
ビートルズの音楽に一気に魅かれ、自分でもLPを買い始めた。

一番最初に買ったビートルズ本は何だったか、記憶は曖昧だが、
まだ名著「ビートルズ事典」は出ていなかった頃、角川文庫版の、
ビートルズ伝記だったか、写真とLP紹介の、今でいうムック本の、
「永遠のビートルズ」あたりが、本棚を眺めてみても、一番古そう。

ホーチキ出版なる、あまり馴染みのない会社から発行されている、
「永遠のビートルズ」は、奥付を見ると、昭和49年7月20日とあり、
ちょうどファンになった自分が、近所の本屋に行った時に、新刊で、
音楽書のコーナーに残っていたか何かで、手頃だったのかと思う。

ビートルズの解散後を含めた写真と共に、ソロのLPもジャケットと、
曲目リストで紹介され、ビートルズの映画も写真とあらすじ付きで、
載っていたから、映画で興味を抱いた自分には、そこが気に入り、
ブルース・リーの写真集を買うような感覚で、手に入れたのだろう。

なぜか、表紙の写真はビートルズでなく、ジョンとヨーコのライブで、
おそらく、「ワン・トゥ・ワン」のもので、しかもジョンは一番隅の方で、
キーボードを弾いて歌うヨーコが目立つ構図、そのせいもあるのか、
LP紹介ページは、ヨーコのLPも4枚出ていて、他の本にはない点。

そのうえ、ヨーコの後に赤盤・青盤が載り、さらにジョンのソロ作品、
「ヌートピア宣言」が最後で、「心の壁、愛の橋」は10月発売だから、
載るはずもないが、ポール「バンド・オン・ザ・ラン」は、リンゴの後で、
何度か改定版になっていて、新作が出ると追加していったのだろう。

それにしても、ヨーコの顔がスフィンクスになっているLPが出ていて、
同じページの下に、ヨーコの顔が大地から湧き上がるジャケ写真に、
「ヌートピア宣言」という、訳の分からない邦題がついたアルバムで、
これも、ヨーコが中心となる、前衛アルバムなのかと思ってしまった。

ジョン派と公言しながら、ジョンのソロアルバムは、リアルタイムでの、
「ロックン・ロール」と、ベスト盤しか買わないし、ウイングスの公演を、
テレビで見て気に入ったポールのソロも、そのライブのメインの曲目、
「ビーナス&マース」「バンド・オン・ザ・ラン」を買う程度、ソロは疎い。

その後、ポールは、新作「スピード・オブ・サウンド」と3枚組のライブ、
ジョージは、「ギターは泣いている」収録の「ジョージ・ハリスン帝国」、
バングラディシュのボックスを買うが、リンゴは1枚も買わないままで、
ジョンやポールも初期の作品は、テープに録音することもしていない。

ジョン派である以上、ベスト盤くらいは持っていないと、というくらいで、
買ったのが、「シェイヴド・フィッシュ~ジョン・レノンの軌跡」だったが、
これが名曲揃い、レターメンのカバーで有名な「ラブ」こそないものの、
「冷たい七面鳥」は格好良いし、「マインド・ゲーム」は美しいメロディ。

「女は世界の奴隷か」も、そのタイトルとは裏腹に、泣きのメロディで、
「イマジン」は歌詞も含みがあるバラード、よくラジオでかかっていた、
「真夜中を突っ走れ」は軽快な曲で、「マザー」には心を突き動かされ、
ソロも名曲だらけと気づく一方で、もうこれで十分満足という気になる。

ジョンの代表作は、今でこそ、ヨーコの作り出した愛と平和の使者で、
聖人君子のようなジョンが、争いのない世界を目指した「イマジン」で、
戦争反対、平和を訴える、「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」、
「平和を我等に」なのだろうが、75年当時は、どうだったのだろうか。

自分は、甘ったるい曲、イージーリスニングにカバーされるような曲と、
硬派のファンが否定しても、「ラブ」が好きだったし、「マインド・ゲーム」、
「夢の夢」は、何よりもメロディラインが美しくて、「イマジン」も好きだが、
これらの曲をレコードと一緒に口ずさんだり、ギターで弾き語りをした。

「マインド・ゲーム」も、「イマジン」と同様、平和の理想を歌っているし、
想像による理想国家、「ヌートピア」と結びつく曲だから、こちらの方が、
世界中で歌われても良かった気もするが、ヨーコの力の入れ方が違い、
「イマジン」がどんどん一人歩きして、取り残されたような気もしてくる。

アルバムタイトルは、曲名と同じ「マインド・ゲーム」なのに、邦題では、
「ヌートピア宣言」となり、無音のみ6秒という「ヌートピア国際賛歌」を、
必要以上に重視して、「永遠の~」でも、「マインドゲームスはジョンの、
哲理を説明したもので、即ちヌートピア宣言を意味して~」という解説。

「ヌートピア宣言」は、73年4月に提唱された、想像上の理想国家で、
4月1日、エイプリル・フールに建国宣言をしたのは、意味深であるが、
「イマジン」で歌う国境のない世界、それゆえ紛争もない世界の実現で、
白い国旗、各自の自由な国歌で、いつでも国籍が取得、離脱もできる。

「ヌートピア」とは、当然、理想郷を意味する「ユートピア」との造語で、
まさか「トゥー・バージン」のジャケ写真の、ヌードとの合成はないから、
否定の「ノー」で、「現実にはありえない国家」を意味したかと思ったが、
ユートピア自体、「ありえない場所」のギリシャ語で、二重否定になる。

ユートピアは、「理想郷」と訳すことが多いが、もともとトマス・モアの、
ギリシャ語の「どこにも無い」という意味の造語で、架空の国を描いて、
イギリス社会への批判も込め、共産主義的理想国家を示したものが、
あるときは理想郷を、あるときは空想的、非現実的を意味するように。

ここで、思いつくのが、ジョンの「ひとりぼっちのあいつ」の原題である、
「Nowhere Man」、「どこにもない男、居場所のない男」という言葉だし、
「ゼアズ・ア・プレイス」の、「No place」ならぬ、「どこか必ずある場所」、
「悲しみなどない、心の中の場所がある」と歌うのが、すごく結びつく。

ユートピアはイギリス文学の古典だから、感覚としてジョンにあったし、
「どこにも無い場所=ユートピア」を歌にしたと思うが、さらに進めて、
「新たなるユートピア」、「ネオ・ユートピア」を意味する、「ヌートピア」は、
確かにジョンの哲理であり、「マインド・ゲームス」の曲に貫かれている。

「マインド・ゲームス」は、原曲は、ビートルズ時代に書かれたと言われ、
解散の70年末の、「メイク・ラブ・ノット・ワー」のデモ演奏があるそうで、
YouTubeには、その時のか、アルバム作成に向けたものか不明だが、
ピアノの弾き語りがあって、冒頭の歌詞以外は、かなり近くなっている。

ジョン自身が、それを意識し、「マインド・ゲームス」のフェイドアウト前、
「I want to say Make Love~」と歌い、さらに「もう聞き飽きたかな」と、
続けるニクい演出で、本当に見事なメロディに、ジョンらしさが満載の、
歌詞がのるわけで、これが名曲にならないわけがないとファンは満足。

さらにYouTubeには、リハーサルテイクや、リミックステイクがあるうえ、
プロモ映像も、LPやリマスターとミキシングが違い、通常は聴こえない、
追加のピアノがいくつも鳴ったり、ギターも別の音で、シンセだけでなく、
オルガンやタンバリンらしき音など、かなり音を重ねているのがわかる。

バンドスコアでは、ピアノは1台、いつものように右手の和音だけだが、
両手ともコードを弾くうえに、シンセと同じ16分音符の刻みも加わるし、
チェンバロのような硬い音の和音も淡々と刻まれ、自分も3回重ねて、
ギターシンセにないチェンバロの音は、アコギのストロークで代用する。

エレキギターのカッティングは、スコアは、サビのレゲエ部分のみだが、
リミックスでは、Aメロで、スリーフィンガーに近いアルペジオが鳴って、
ジョンでなく、バックギターのデビッド・スピノザなのだろうが、ついつい、
ギターの音にはこだわりたいから、レゲエ部のリードも追加して弾いた。

イントロからずっと、ストリングスとユニゾンで弾かれるスライドギターは、
サビでは休むのだが、PVでは、ギターかシンセが、コードに沿った音を、
伸ばしているのが聴こえて、そこはギターにオクターブエフェクトをかけ、
スライドで弾いてみたが、本物は、スライドを3本くらい重ねた気もする。

サビに出てくるレゲエのリズムについて、バックのミュージシャンたちに、
レゲエのリズムを説明するのが大変だったと、ジョンが言っていたそうで、
クラプトンが、ボブ・マーリーの「アイ・ショット・ザ・シェリフ」をカバーして、
ロックのファンにも、レゲエのリズムが広まるのは、翌74年4月の録音。

73年11月に発売された、「マインド・ゲームス」が、レゲエを導入した、
ロックで最初の曲だ、ジョンは、いつも先を行っていたと主張するほど、
自分はバカでないが、クラプトンよりは早かったなと、ちょっと誇らしくて、
人によっては、ポールの「オブラディ~」の方がさらに先と言い出すか。

ビートルズに夢中でも、あまりジョンのソロを聴いていない中学時代に、
一番好きだった「マインド・ゲームス」は、デモのリミックスで鳴る音でも、
ギターのフレーズにはこだわって、何より、なりきりジョンの自己満足で、
ジョンの音域なら、少しは出るようになったかと声を張り上げ、反省です。




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またまた、見事です。
ギターマジシャンさん こんばんは。

“マインド・ゲーム”を演られるとは驚きでした。
アルバム“ヌートピア宣言”は名盤だと思いますが、ちょうど浮気がばれて
ヨーコさんと別れる頃の印象が強いです。
その反省の意味で丸坊主にしたんではないかと思っていますがどうでしょうか。

うろ覚えですが、何かで読んだんですがジョンが、イントロについて話して
いたのをおもいだいました。確か、イントロはこう演奏しているのさと
スライドギターで厚みを増した弾き方をしていたと思います。
(ほとんど覚えていません。すみません。)

ギターマジシャンさんの演奏は、名盤を彷彿とさせるもので
ジョンそのものですね。

御見事です。
マサジョン | URL | 2016/08/06/Sat 20:30 [編集]
Re: またまた、見事です。
いつも、コメントありがとうございます。


> ギターマジシャンさん こんばんは。
“マインド・ゲーム”を演られるとは驚きでした。
アルバム“ヌートピア宣言”は名盤だと思いますが、ちょうど浮気がばれて
ヨーコさんと別れる頃の印象が強いです。
その反省の意味で丸坊主にしたんではないかと思っていますがどうでしょうか。



ヨーコは、「イマジンが華やかだから、このアルバムは渋くしようとして、
私が陰に回った」と発言してますが、単に浮気が原因で疎遠になっていて、
ジョンは頭を丸めたり、「あいすみません」の曲を書いたかもしれません。



> うろ覚えですが、何かで読んだんですがジョンが、イントロについて話して
いたのをおもいだいました。確か、イントロはこう演奏しているのさと
スライドギターで厚みを増した弾き方をしていたと思います。
(ほとんど覚えていません。すみません。)


ジョンがそう語っていたのは、すごく興味があり、探してみたいですが、
そのお話から浮かぶのが、「フォー・ユー・ブルー」でも見事に弾いた、
スチールギターのスライドで、サビのバックのスライド和音も出せます。



> ギターマジシャンさんの演奏は、名盤を彷彿とさせるもので
ジョンそのものですね。


まだまだジョンにも、完コピにも程遠いですが、バンドスコアが、
しっかり採譜してあると、音を重ねることで、いい線いきます。



> 御見事です。


お聴きいただき、ありがとうございました。
ギターマジシャン | URL | 2016/08/06/Sat 21:09 [編集]



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