僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
没のテープにタンバリンなどを加えてアルバムに収録した「ウェイト」
65年末のクリスマス商戦に向けた新譜、「ラバー・ソウル」は、
スタジオを思いどおりに使えるようになって、時間を気にせず、
作業が出来る分、深夜まで及んだこともあったし、いかんせん、
新曲のストックがないから、作曲しながらの自転車操業のよう。

火事場の馬鹿力でもないが、最終日になり、ジョンが「ガール」、
ポールが「ユー・ウォント・シー・ミー」を書き上げて、持ち込み、
その日のうちに、録音まで完成させていて、この最後の最後で、
「ガール」という名曲を生み出す、この当時こそのジョンの底力。

それでも、まだ1曲が不足し、「ヘルプ」のアルバムセッションで、
没になった「ウェイト」を引っ張り出したそうだが、もしもこの曲が、
オーケーで、「ヘルプ」に収録されていたら、最後に1曲だけある、
カバーの「ディジー・ミス・リジー」は、カットされていたのだろうか。

このリメイクの事実は、88年に出たマーク・ルウィソーンの労作、
「ビートルズ・レコーディング・セッション」で、明らかになったそうで、
藤本国彦「213曲全ガイド」は、「それまでに読んだビートルズの、
どの本にも書かれていなかった。」と、驚きをあらわに語っている。

ただ、サウンド的には、「ヘルプ」時代の名残があるようで、87年、
CD化に際し書かれた国内盤解説は、「アルバム『ヘルプ』以前に、
良く聴かれたサウンドに仕上げられている。」とあり、「ヘルプ」で、
没になった曲という情報がなくても、どこか見抜いたようですごい。

この曲をリメイクするに際し、ベーシックトラックからやり直すのは、
時間がなかったのか、録音済みのテープに、ギターとタンバリン、
マラカスとボーカルをダビングしたという、多少化粧直した程度で、
それだけ最終テイクに近い仕上がりの曲を、なぜ没にしたのだろう。

「イフ・ユーヴ・ガット・トラブル」「ザット・ミーンズ・ア・ロット」の2曲も、
「ヘルプ」では没になっていて、「フォー・セール」も同様に没が多く、
いくらでも新曲が作れたし、カバー曲のレパートリーも多かったから、
出来のよい曲、アルバムの統一感に合う曲を、贅沢に選べたのか。

「『ヘルプ』に収録されなかったのは、たんに物理的な問題、つまり、
曲が余ったから」と、中山康樹は、「これがビートルズだ」で語って、
「『ラバーソウル』に収録したのは、偶然ではない。」とし、「この曲を、
ラバーソウルにするために、何が欠けているか直感で見抜いた。」

藤本「213曲全ガイド」でも、「まさか、ヘルプのときの曲だったとは、
気づきにくい。」、「ギターやタンバリン、マラカス、ジョンとポールの、
バックヴォーカルを加えて、違和感をなくしたからだ。」と書かれて、
ダビングによって、見事にラバーソウルになったという意見が多い。

そのあたり、自分は、あまりピンとこなくて、そんなものなのかなと、
前期と後期の曲の違いはわかるが、何をもって、「ヘルプ」の曲で、
何をもって、「ラバーソウル」の曲とするか、わからず、タンバリンも、
ギターのボリューム奏法も、「ヘルプ」でもやっていたのになと思う。

ラバー・ソウルっぽくと言うなら、ダビングでピアノやハーモニウムを、
加えた方が良い気もしていて、その辺のさじ加減が、素人の自分と、
ビートルズやマーティンとの違いなのだろうが、それでも、ヘルプが、
見事にラバー・ソウルの曲へと変化というのは、大げさな気がする。

この曲は、ジョンとポールがハモっている曲で、最初はジョンからで、
「it's been a」と1人で歌い始め、「long time」でポールが上のハモ、
ここは、ジョンの方が主旋律、「wait」からは、ポールが主旋律となり、
そのまま、ポールが1人で歌うサビへと続き、それぞれ特徴がある。

3つの曲を1つにしたと、書いているビートルズ本もあるが、後期の、
断片を持ち寄ったメドレーと違い、どちらかが主に作った曲について、
サビの部分を手伝うという共同作業だったろうし、たいていの場合は、
主旋律を歌う方が、その部分を作ったとみなしても良いだろうと思う。

ただ、これが、けっこう例外もあるうえ、互いに「全部自分が作った」、
「ほとんどを手伝っている」と、主張が異なる曲もあり、「ウェイト」でも、
中間部がポールと言われていたのを、共作でなく、自分1人で書いた、
映画「シェーン」の子役の目の前で作曲したと、ポールが言っている。

ジョンがメインのところは、いかにもジョン、というメロディーラインだし、
ポールのサビも同様、コード進行も含め、個性が出ている気がするが、
ポールがそう言うのだから、そうなのでしょう、「ジョンの主張ばかりが、
正しいみたいにされる。」と、不満をもらしていたから、尊重しないと。

どちらが作ったにせよ、いつものことだが、自分はメロディーラインを、
ジョンとポールのハモを、ごっちゃにして覚えていて、バンドスコアで、
それぞれの音程を確認しても、初期の「フロム・ミー・トゥ・ユー」などの、
上下が入れ替わるパターンではと、自分の覚えたメロディにこだわる。

YouTubeに、ドラムだけ、ベースだけ、ギターだけを音源から分離した、
アイソレーテッド・トラックをアップしてくれる達人がいて、「ウェイト」も、
ヴォーカルだけのものがあって、2人のハモリは、声が溶け合うから、
判りにくいが、上下の入れ替わりはないようで、単なる自分の勘違い。

「全曲バイブル」に、「ヘルプ」で、ジョンとポールがハモって歌っていて、
「ラバーソウル」で、2人でダビング、さらに、ポールが上のハモリとあり、
3声コーラスではないから、ダブルどころかトリプルトラックかと思ったら、
最後の最後、1小節だけが、3声になって、高音のハモリが入っていた。

ジョンもジョージも、ギターはお揃いのストラトを使って、ストラトというと、
自分は、色がサンバースト(赤系と黄系があるが)や白のイメージだが、
2人は水色のストラトだそうで、自分がビートルズに夢中だった40年前、
デパートの楽器売り場に、国産の赤とか水色のコピーモデルがあった。

ジョンのリズムギターは、左チャンネルから、かすかに聞こえる程度で、
ジョージは、左チャンのボリューム奏法のギターが、もともとの録音で、
「ラバーソウル」時、右チャンにも、ボリューム奏法でギターをダビング、
左右が掛け合うように、交互にリズムを刻んでいて、工夫したアレンジ。

ボリューム奏法は、「ヘルプ」の「アイ・ニード・ユー」や、同時期に出た、
シングル盤の「イエス・イット・イズ」でも演奏していて、ジョージにとって、
この頃のマイブームのようだが、シタールにしても、気に入ったとなると、
そればかりを飽きるまで、やるような感じで、そのうえ目移りも多い感じ。

ビートルズが、「ヘルプ」の没曲の中から、リサイクルした「ウェイト」は、
「ラバー・ソウル」らしくなったのか、自分には不明ですが、ジョンらしさ、
ポールらしさが出ている曲で、やっぱり、ポールの高音がきついですし、
延々と鳴らし続けるタンバリンで、リズム音痴が露呈してしまってます。




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まいどです
やっぱりボツ曲の自信がない風情がソコハカトナク漂っていて、
それもまたビートルズ!って感じでちょっと愛おしく感じたりもして、
面白かったです…。

正直、このタイプの中途半端な曲調が、どうやら私から
ラバーソウルを遠ざけてたムードもあるのですが、
そういうところにしっかりフォーカスして突き詰めてゆく
ギターマジシャンさんの姿勢は素晴らしいなと
今更ながら感じ入りました。

ポールの後日談は、いつも論理性に欠けていて、
手前勝手な思い込みが強いので、信用されないのだと思います。
この曲などは、Aメロは明らかにジョン、Bメロ以降は
ポールの平板に陥る悪クセが如実で、たぶん別々に作ったモノを
苦し紛れに合体させてみた!って言う、いつものビートルズの姿に
過ぎないと思うのですが…。

このアルバムほど、ステレオ盤とモノラル盤で印象が
全く異なるアルバムもないのですから、ここらも今後
実証されることを期待しつつ、
今回も演奏、お疲れさまでした!
あっ!完璧でしたよ!今回も。
pipco1980 | URL | 2016/06/19/Sun 11:34 [編集]
Re: まいどです
いつも、コメントありがとうございます。



> やっぱりボツ曲の自信がない風情がソコハカトナク漂っていて、
それもまたビートルズ!って感じでちょっと愛おしく感じたりもして、
面白かったです…。


捨て曲ではないとしても、「ガール」や「イン・マイ・ライフ」に比べ、
一度は没になった曲だったのかと、ついつい斜めに見てしまいました。



> 正直、このタイプの中途半端な曲調が、どうやら私から
ラバーソウルを遠ざけてたムードもあるのですが、
そういうところにしっかりフォーカスして突き詰めてゆく
ギターマジシャンさんの姿勢は素晴らしいなと
今更ながら感じ入りました。



前回コメントいただいたように、ヘルプのB面とラバーソウルの一部は、
曲とタイトルが一致しない地味な曲があり、逆に調べがいがあります。



> ポールの後日談は、いつも論理性に欠けていて、
手前勝手な思い込みが強いので、信用されないのだと思います。
この曲などは、Aメロは明らかにジョン、Bメロ以降は
ポールの平板に陥る悪クセが如実で、たぶん別々に作ったモノを
苦し紛れに合体させてみた!って言う、いつものビートルズの姿に
過ぎないと思うのですが…。




Aメロもジョン風に作ってみたと言われてしまえば、それまでですが、
おっしゃるとおり、明らかにジョンのメロディで、合体版でしょうね。

ポールの後日談には、「イン・マイ・ライフ」は、最初の歌詞以外は、
歌詞もメロディも自分が作ったというのがあり、それが事実だろうと、
結論付けているビートルズ本まであり、外野にはなす術がありません。



> このアルバムほど、ステレオ盤とモノラル盤で印象が
全く異なるアルバムもないのですから、ここらも今後
実証されることを期待しつつ、
今回も演奏、お疲れさまでした!
あっ!完璧でしたよ!今回も。



ラバーソウルは、USステレオ盤が、完全に左右に分離しているし、
ステレオが当たり前の自分の世代と違い、モノラルが主流だった頃、
モノとステレオは別物で、楽器のバランスも変えてたのが驚きです。
ギターマジシャン | URL | 2016/06/19/Sun 14:50 [編集]
お疲れ様でした。
ギターマジシャンさん こんばんは。

いやぁ、いつもの完コピで素晴らしいです。
演奏も、歌もいいですよ~。
ボツ曲も後から言われないとわからないですね、ビートルズは。
もう、ビートルズバカですからすべてが良いとしか言い様がないです。

“Wait”はパーカッションを入れてラバー・ソウル風になってますね。
もう、どう聞いてもラバー・ソウルでしか聞こえません。
マサジョン | URL | 2016/06/19/Sun 17:46 [編集]
Re: お疲れ様でした。
いつも、コメントありがとうございます。



> ギターマジシャンさん こんばんは。
いやぁ、いつもの完コピで素晴らしいです。
演奏も、歌もいいですよ~。
ボツ曲も後から言われないとわからないですね、ビートルズは。
もう、ビートルズバカですからすべてが良いとしか言い様がないです。


「アンソロジー」にある未完成テイクと違い、この「ウェイト」の場合、
ほとんど完成テイクに近いものをいったん没にし、引っ張り出してから、
ダビングも加えているから、本当、言われなければ分からない出来です。



> “Wait”はパーカッションを入れてラバー・ソウル風になってますね。
もう、どう聞いてもラバー・ソウルでしか聞こえません。


おっしゃるとおり、パーカッションの存在が、かなり重要なポイントで、
中山泰雄も、「ドラムより大きい音のタンバリンが、ラバーソウルに~」
みたいに書いていて、これがリアルタイム世代の実感なのでしょうね。
ギターマジシャン | URL | 2016/06/19/Sun 18:29 [編集]



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