僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
3声コーラスが見事なのにジョンは嫌いだと言う「イエス・イット・イズ」
ビートルズの公式曲数は、解散後に発売されたBBCライブや、
アンソロジーで日の目を見た、未発表曲はカウントしないので、
今も昔も213曲という括りが一般的で、ただ、ボックスセットは、
テイク違いの4曲を収録するから、延べ曲数は、すこし増える。

そう書きながらも、自分が「213曲」という数字を意識したのは、
13年前に出た中山康樹「これがビートルズだ」の、帯の部分に、
「全213曲に挑む」の宣伝文句を見てからであり、さらに最近も、
藤本国彦「全213曲ガイド」と、タイトルに謳った本で、再認識。

ビートルズに夢中だった中学時代は、全部で210曲くらいだと、
漠然とした数字で把握していたが、実際にはどうだったのかと、
当時のバイブルだった、香月利一の「ビートルズ事典」を出して、
曲目リストを数えると、やはり213曲で、増えも減りもしていない。

ビートルズは、原則、シングルの曲を、LPに収録しなかったから、
今のようなCDボックスセットもなければ、「パスト・マスターズ」の、
アルバム未収録曲集もない頃は、全部の曲を集めようとしたら、
全部のLPに加えて、十数枚のシングル盤まで買う必要があった。

まあ、後追い世代の自分は、シングル曲は、赤盤・青盤があるし、
リアルタイム世代でも、国内盤は、日本独自の編集になっていて、
最初のLPが、初期のシングルヒット曲を収録し、現役時唯一の、
ベスト盤「オールディーズ」もあるから、シングル盤は少しですむ。

国内盤は、3枚目「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」から、本国イギリスと同じ、
曲目になっていくが、1・2枚目にシングル曲を多く収録したから、
「ビートルズNo.5」を出し、本来の1・2枚目に収録されていた曲、
シングルB面曲の残った分を入れたから、全曲集めには役立った。

アメリカ編集盤は、元のLPから曲を間引いて、その浮かせた曲と、
シングル盤の曲を合わせ、アルバムの枚数を水増ししていたから、
ビートルズ本人たちのアルバム製作の意図を、まったく無視したと、
評判は悪いが、おかげで大半の曲が、どれかしらのLPには収録。

イギリスでは、2枚組EP盤だった「マジカル・ミステリー・ツアー」に、
「愛こそはすべて」や「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」など、
シングル盤の曲を加えて出したLPは、そうしたアメリカのやり方が、
逆に本国で認められ、CD化に際して、正式アルバムの形となった。

解散する直前に出た、後期シングル集のような「ヘイ・ジュード」は、
「パスト・マスターズ」のある今では、ただ懐かしいという程度だが、
リアルタイム世代、後追いでも、レコード時代だった当時の自分は、
全213曲を聴くためには、ありがたいLPで、やはり存在は大きい。

自分は、日本盤、「ミート・ザ・ビートルズ」、「セカンド・アルバム」に、
「ビートルズNo.5」を買い、他のLPも買うなり、借りるなりしたから、
前期の曲で、入手困難は、シングルB面の「アイル・ゲット・ユー」、
「アイム・ダウン」と、「イエス・イット・イズ」の3曲だけだったと思う。

後期も、「ヘイ・ジュード」を友人に借りたから、「ジ・インナー・ライト」、
「ユー・ノウ・マイ・ネーム」で、2人きりのビートルズ・コピーバンドの、
ジョージ役の友人は、米盤の大半と国内盤、シングル盤もいくつか、
持っていたから、自分が集められない曲も、テープ録音してくれた。

結局、編集盤も含めた国内盤LPだけでは、全曲制覇できないのは、
前期も後期もシングルB面であり、普通なら、どうせ捨て曲だからと、
そのまま聴かずとも良いし、無理して入手しても、その苦労のわりに、
後悔するのだが、ことビートルズにあっては、決してそんなことない。

「イエス・イット・イズ」は、シングル盤「涙の乗車券」のB面の曲だが、
LP[ヘルプ」の収録曲と比べても、ひけをとるどころか、勝っていて、
自分は、友人が米盤「ビートルズⅥ」から録音してくれたが、たしか、
ラジオでも、LP未収録特集だかで聴いて、すごく気に入っていた曲。

ジョンは、いつもながら、「嫌いな曲の一つ」とか、「『ジス・ボーイ』を、
書き直そうとして失敗した」と語るが、3声コーラスを複雑に発展させ、
サビの部分で、ジョンならではの、せつなく歌い上げる箇所なんかは、
ものすごく好きなのだが、どうも、自分とジョンの感性とは違うらしい。

歌詞が、「赤い服を見ると、彼女を思い出すから、着ないで欲しい」と、
ジョンにとっては、若気の至りに思える、気恥ずかしい歌詞だからと、
分析する人もいるし、その「彼女」とは、恋人でなく、ジョンの亡き母、
ジュリアのことを指すという説もあって、二重に痛いところだったのか。

服の色にこだわるのは、前のLPの「ベイビーズ・イン・ブラック」でも、
黒い服を着る女性を歌い、それは、ジョンの無二の親友で夭折した、
スチュアート・サトクリフの喪に服す恋人、アストリットのことを指すが、
その路線で、自分の母を歌うことは、ヨーコに対しても恥ずかしいか。

コーラスは、「ジス・ボーイ」と同様に3声で、基本は、ジョンが一番下、
真ん中がジョージ、上がポールだが、ジョンとジョージが入れ替わるし、
2度とかの不協和音でハモッたり、ユニゾンになったりと、凝っていて、
より複雑なハーモニーは、ジョージの存在が、かなり大きいと言える。

ビートルズのハモリは、ジョンとポールの声が溶け合い区別できない、
奇跡のようなハモリが、とかく取り上げられるが、ジョージのハモリも、
実に見事で、ジョンともポールとも、上下を入れ替えて、ハモリながら、
個性的な声が、時に目立ち、本当、コーラスグループとしても超一流。

アンソロジーや、海賊盤で、ハモリのダビング前、伴奏を録音しつつ、
ジョンが仮歌を歌っているのが聴けて、ジョンのラインは確実なので、
愛用のバンドスコアと、これまた、いつも頼りにしているYouTubeの、
ビートルズ・ヴォーカル・ハーモニーで、それぞれのパートを確認する。

ジョンのリズムギターは、最初何も考えず、アコギを弾いて録音したが、
「全曲バイブル」には、クラシックギター・ガットギターを使ったと書かれ、
実際、第2テイクと最終テイクを編集した、アンソロジーの演奏を聴くと、
途中でギターの音がガラッと変わり、鉄弦とナイロン弦の差がわかる。

ガットは、映画「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」の中、「アンド・アイ・ラヴ・ハー」で、
ジョージが弾いた印象が強いから、ジョンが使うのは考えてなかったが、
同アルバムの「アイル・ビー・バック」のリズムギターも、ガットのようだし、
録音に使った楽器1つ取っても、今でも、自分にとり新しい発見がある。

そのテイク2や、他のテイクを聴いても、ジョンは、お気楽に歌っていて、
まあ、声を張り上げてしまうと、ギターのマイクが、歌を拾ってしまって、
あとから歌を入れ直すのに不都合だから、鼻歌程度にしたのだろうが、
歌詞を忘れたり、高い声が出ず裏声にしたり、ジョンらしくて、楽しめる。

ジョージのギターは、同じ「ヘルプ」アルバムのセッションで録音された、
「アイ・ニード・ユー」と同様に、ボリューム・ペダルによる奏法を用いて、
ヒャー・ホワーという音を出しているが、この曲は、ストラトキャスターで、
弾いたという説もあり、ペダルでなく、ギターのボリュームノブでも可能。

ギターを弾く自分には、ボリュームペダルは当たり前のエフェクターだが、
「ビートルズ事典」では、エレピ用のエクスプレッション・ペダルと混同され、
他の本では、後のワウワウペダルと書かれ、ワウとボリュームペダルは、
まったく別物だろうに、明らかな間違いを見つけると、つい厳しくなりがち。

「ヘルプ」のアルバムには収録せず、シングル盤のB面で、マニア以外は、
見落としがちだったかもしれない、「イエス・イット・イズ」は、作曲した当人、
ジョンの「嫌いな曲」発言と裏腹に、コーラスの見事な名曲で、それだけに、
難しいし、サビは自分の限界音を超えたG#があり、かなり苦しい歌です。




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まいどです
コーラスといい、演奏バランスといい、
突っ込みようがないほど
端正で見事なYes It Isだと思います。

この曲の魅力は、穏やかで安定した3声ハーモニーと、
大さびで、その安定感をジョン自身が一旦シャウトで
破綻させ、また戻すって言う、This Boyパターンというか、
ある意味初期のもっともビートルズらしい部分、
醍醐味だと思いますから、その部分をちょっとエゲツナク
唄うのが「正解」のような気がします。

かつて様々コピーバンドによるこの曲を聴きましたが、
この辺りが平坦で「なあんだ、分かってないじゃん全然!」
なんて思ってました。そういう意味でも見事でした!

私はスタジオに保管されていた公式クレジットや
書き付けなどを拠り所とした唯一の一時情報として、
マークル−イソンの書籍の価値を支持しています。

日本の数多の研究家の本は、殆ど当時の関係者の証言に
よるもので、証言というのは、聞き方で随分変わるし、
また過去数十年間、何度も似たようなインタビューを
されてきて、各人勝手なストーリー(創作)が出来てしまい、
それを垂れ流し、混乱させるだけのビートルズ研究本の
氾濫をよしとはしません。

ルーイソンによると、ジョンとジョージがHelp!セッション中に
初めてお揃いのストラトを買って、キャッキャ言って遊んでる
うちにヴォリューム奏法を発見して、早速2曲で使った…。

その時のジョージのストラトは、その後塗装をはがされつつも
結構大事にされ、バングラデシュコンサートでも
使用されていた…とのこと。

なにしろお疲れさまでした。

pipco1980 | URL | 2016/06/05/Sun 12:33 [編集]
Re: まいどです
いつも、コメントありがとうございます。


> コーラスといい、演奏バランスといい、
突っ込みようがないほど
端正で見事なYes It Isだと思います。
この曲の魅力は、穏やかで安定した3声ハーモニーと、
大さびで、その安定感をジョン自身が一旦シャウトで
破綻させ、また戻すって言う、This Boyパターンというか、
ある意味初期のもっともビートルズらしい部分、
醍醐味だと思いますから、その部分をちょっとエゲツナク
唄うのが「正解」のような気がします。
かつて様々コピーバンドによるこの曲を聴きましたが、
この辺りが平坦で「なあんだ、分かってないじゃん全然!」
なんて思ってました。そういう意味でも見事でした!



おっしゃるとおり、初期ビートルズのコーラスワークの特徴の、
安定した3声コーラスと、サビのジョンのシャウトというのは、
「ジスボーイ」やカバーの「トゥ・ノウ・ハー・イズ~」でも、
すごく魅力的な展開で、この曲も、そこを再現したかったので、
過分なほどの、嬉しくなるコメントで、今後の意欲も湧きます。



> 私はスタジオに保管されていた公式クレジットや
書き付けなどを拠り所とした唯一の一時情報として、
マークル−イソンの書籍の価値を支持しています。
日本の数多の研究家の本は、殆ど当時の関係者の証言に
よるもので、証言というのは、聞き方で随分変わるし、
また過去数十年間、何度も似たようなインタビューを
されてきて、各人勝手なストーリー(創作)が出来てしまい、
それを垂れ流し、混乱させるだけのビートルズ研究本の
氾濫をよしとはしません。
ルーイソンによると、ジョンとジョージがHelp!セッション中に
初めてお揃いのストラトを買って、キャッキャ言って遊んでる
うちにヴォリューム奏法を発見して、早速2曲で使った…。
その時のジョージのストラトは、その後塗装をはがされつつも
結構大事にされ、バングラデシュコンサートでも
使用されていた…とのこと。




ルーイソンの著書は、「レコーディングセッション」を持っていて、
ダビングの過程を調べる際に役立っていますが、大著の「全記録」、
上下巻を合冊した「ワークス」も、あまりに膨大すぎると思って、
敬遠したままになり、いずれ手に入れて読んでみたいと思います。
(あいにく、図書館になく、ネットでもプレミアがついていますが、
洋書の新版が近々出るので、翻訳も再販されるだろうとふんでます)


ジョンは、カジノやJ160Eをペイントしなおして使いましたが、
ジョージも、古いストラトをバングラディシュでも使っていたとは、
何本もギターを取り替えたり、収集する今の子達に聞かせたいです。


> なにしろお疲れさまでした。


お聴きいただき、ありがとうございました。
ギターマジシャン | URL | 2016/06/05/Sun 14:25 [編集]
見事です。
ギターマジシャンさん こんばんは。

確か、ジョンは“This Boy”より良い曲を作りたかったが
うまくいかなかったというような事を言ってた気がします
が、私にしてみれば大成功の名曲だと思います。

ギターマジシャンさんの演奏はいつものように完璧で
見事です。
3声コーラスも完全再現でスムーズに聞こえます。
とにかく凄いの一言です。
マサジョン | URL | 2016/06/05/Sun 18:15 [編集]
Re: 見事です。
いつも、コメントありがとうございます。



> ギターマジシャンさん こんばんは。
確か、ジョンは“This Boy”より良い曲を作りたかったが
うまくいかなかったというような事を言ってた気がします
が、私にしてみれば大成功の名曲だと思います。



ジョンにとって、「イエス・イット・イズ」の仕上がりが、
「ジス・ボーイ」を超えたという手応えが感じられなくて、
不満だったのかもしれませんが、ファンには名曲ですよね。



> ギターマジシャンさんの演奏はいつものように完璧で
見事です。
3声コーラスも完全再現でスムーズに聞こえます。
とにかく凄いの一言です。



3声コーラスは、ビートルズ・ヴォーカル・ハーモニーのおかげで、
バンドスコアの間違いや省略箇所も、この解説に助けられています。
そうは言っても、自分のハモリの音程は、まだまだ危なっかしいし、
歌唱力と高音の課題が残るので、コメントを励みにがんばります。
ギターマジシャン | URL | 2016/06/05/Sun 20:09 [編集]
こんばんは

 いやあ素晴らしい。

 スローな曲だけに難しいのでは?

 でもピタっと合っていますね。いつもながら、どのように調整するのだろう、と思います。

 楽器が弾けると、世界も広がるのでしょうね。
 
mikitaka08 | URL | 2016/06/06/Mon 21:53 [編集]
Re: タイトルなし
いつも、コメントありがとうございます。



> こんばんは
 いやあ素晴らしい。
 スローな曲だけに難しいのでは?
 でもピタっと合っていますね。いつもながら、どのように調整するのだろう、と思います。
 楽器が弾けると、世界も広がるのでしょうね。



おっしゃるとおり、テンポがスローですと、ついつい走ってしまい、
ドラムマシンの音量を上げ、拍子の頭を意識して録音していますが、
それでも、ずれることが多くて、何度もやり直して合わせてますし、
今回の演奏も、ところどころ、ハモリの歌詞がずれていたりします。
 
自分は、出不精で、ほとんど出かけないし、車も持っていないので、
ギターをやってなかったら、どうしていたんだろうと思うほどです。


ギターマジシャン | URL | 2016/06/07/Tue 02:06 [編集]



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