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僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
あの頃の淡くせつない気持ちを見事に歌いあげた村下孝蔵「初恋」
毎年、この季節になると思い出す曲の一つが、
村下孝蔵「初恋」で、冒頭の「五月雨は緑色」
その一言で、5月の歌になっているが、そこに、
季節や時代を超えて共感を呼ぶ歌詞が連なる。

この曲はちょうど自分が就職する83年に出て、
ラジオで、新曲発売のCMでもサビが流れたり、
ワンコーラス、フルコーラスとあちこちでかかり、
同じ頃、三田寛子のカバーもTVCMで流れた。

学生気分の抜けない自分にとり、この歌詞は、
中学時代の淡い気持ちを思い浮かべさせて、
ものすごいノスタルジアを感じて、アルバムが、
なかなか出ないので、まずはシングル盤を買う。

何度も聴き返して、歌詞カードを食い入るように、
何度も読んで、「好きだよと言えずに 初恋は」、
「放課後の校庭を 走る君がいた」の表現など、
何て見事に美しい日本語で綴ったのかと感動。

あとで知ったのだが、歌詞に先行してメロディや、
さらに伴奏のオケも完成して、何度も歌詞を直し、
今の形になったそうで、初期バージョンを聴くと、
まったく別の歌詞が続いていて、本当に驚いた。

中原中也の詩論だったか、美しい風景を見た時、
ああ、と感嘆する、それを他人に伝えようとして、
詩人は言葉を探して苦労するみたいな主旨だと、
解釈したが、この歌詞の推敲もその作業に近い。

「初恋」という言葉からイメージされる原風景に、
どこまで歌詞という表現で近づくことができるか、
その作業の繰り返しで、言葉が選ばれ、練られ、
誰もが共感する歌詞へと完成させたのは見事。

村下孝蔵の曲をもっと聴きたいと、既存のLPを、
3枚とも買うと、どれも、すごく懐かしい感じがし、
弾き語り楽譜も買って歌うが、中学時代と同様、
両親から、鶏を絞め殺した声だと笑われていた。

就職した同期の飲み会でも、この曲がいいよと、
さかんに熱く語って、「じゃあ、私も校庭を走って、
見つめてもらおうかな」と言われて、どぶろっくの、
ネタのように勘違いしかけたのも、淡い思い出。

カバー演奏を始めてから、いつもこの季節には、
「初恋」が候補に上がるが、単なる弾き語りは、
歌の下手さが目立つので、フル伴奏が必要で、
村下のバンドスコアはないと、あきらめていた。

今年も、ダメもとで検索すると、何とヒットして、
ダウンロード販売のサイトに、「初恋」があって、
「あるようでなかったシリーズ」なるありがたい、
シリーズだそうで、見本を確認して迷わず購入。

コードストロークのアコギに絡むエレピのオブリ、
シンセのフレーズ、マリンバやストリングスなど、
完コピではないが、良い感じに採譜されていて、
自分の歌唱力をカバーするには十分な伴奏に。

スコアには、曲の原キーはB♭mだが、演奏が
しやすいようAmで表記したとあり、レコードの
キーにこだわる自分は、アコギ・ギターシンセは
1カポにして、ベースは半音上げチューニング。

ただ、CDでも半音というよりは微妙な音程で、
ミックスダウン時に、テンポをアップするために、
回転数を上げた感じで、初期のビートルズでも、
キーが変な曲はテープ速度を変えたとの説も。

YouTubeに、初恋作成ドキュメンタリーがあり、
デモ音源のカセットをかけるが、テンポ自体が、
遅いように感じ、これが回転数を上げる前かと、
自分に都合よく解釈したが、真実はどうだろう。

エンディングのコーラスは、発売した当時から、
浜田省吾の声ではという疑惑があり、実際は、
浜田の高校時代からの盟友かつギタリストの、
町支寛二がコーラスアレンジして歌っている。

ただ町支は、いつも甲高い声でハモるだけに、
こんな低く太い声を出せただろうか、曲全体の
編曲も、浜田との交流が多い水谷公生なので、
ぶらっと立ち寄ったのではとか想像してしまう。

そのエンディングの前、「放課後の校庭~」で、
ビートルズ「ヘルプ」の後追いコーラスのように、
男女混声でハモってくるが、スコアにはなくて、
それっぽく歌ったが、高音の女声パートは省略。

オケがいい感じでも、歌が台無しにしてしまい、
歌よりは多少はましなギターでお口直しでもと、
エンディングを伸ばし、ギターでアドリブするが、
村下孝蔵を意識してアコギで弾きまくることに。

村下は弾き語りのストローク、スリーフィンガー、
アルペジオも見事だが、アコギでドラムソロも、
再現してしまう1人ベンチャーズや、エレキも、
プロレベルで、レコードでのリードギターも上手。

アルバム「初恋」収録の「私一人」のラストでは、
アコギでリードを弾いていて、アル・ディメオラの、
スーパーギタートリオの早弾きみたいにすごく、
これを意識して、「初恋」のエンディングを弾いた。

せっかくの連休が、ぎっくり腰で台無しになって、
その後も、仕事疲れや、いつもの声枯れが続き、
演奏としては2ヶ月近く更新が空いてしまったが、
何とか5月中に、村下孝蔵「初恋」のアップです。



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