僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
2年前のジョンの未完の曲にリンゴが歌詞を付け足した「消えた恋」
6枚目のLP「ラバー・ソウル」は、「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」以来、
3作ぶりとなる、全曲がオリジナル曲を収録したアルバムだが、
スタート段階で、新曲のストックがなく、作曲しながらの録音で、
曲作りに追われたジョンは、昔の作りかけの曲まで持ち出した。

前作「ヘルプ」のレコーディングセッションで、没にしたテイクの、
「ウェイト」の録音テープにダビングしたり、さらに、デビュー時、
「フロム・ミー・トゥー・ユー」と同じ頃に、未完成で没にした曲に
サビや歌詞を追加したのが、リンゴの歌う「消えた恋」だそうだ。

ビートルズ本には、「消えた恋」は、63年3月5日にも試みたが、
うまくいかなかったと書いてあって、「昔作った曲」ですませずに、
その日付までも調べあげるマニアの凄さは、ビートルズ研究が、
そこまで進んでいるんだ、重箱の隅を突くようだと、驚くばかり。

「ウェイト」が、「ヘルプ」のセッションの没テイクだったというのは、
マーク・ルウィソーン著「レコーディング・セッション」で、判ったが、
「消えた恋」の件も、「フロム・ミー・トゥー・ユー」の録音をした日、
63年3月5日の記事に書いてあって、これが出典だったようだ。

シングルの、「フロム・ミー・トゥ・ユー」、「サンキュー・ガール」を、
録り終えると、続けて、「ワン・アフター・909」と「消えた恋」との、
2曲を録音しようとしたが、時間がなく「~909」だけ録音するも、
4テイクのうち3テイクは曲の途中で失敗して、そこでやめたとか。

1曲通して演奏したテイクでも、最後に、「なんてひどいソロだ」と、
ジョンの声が入っているくらいで、結局、没になり、その数年後に、
ゲットバック・セッションで再び取り上げられ、「消えた恋」の方は、
2年半後の「ラバーソウル」で、新曲が足りないからと復活する。

もともと、ジョンが作った曲へ、ポールとリンゴがサビを手伝って、
完成させたそうで、リンゴが初めて、作詞作曲に名前が載ったが、
本人は、「歌詞の一部、単語を5個程度作っただけ」と語っていて、
さらに実際は、単語は4個だったという、オチまでついてるらしい。

もともとのアレンジはどうだったのか、録音がなくて、判らないが、
「ラバーソウル」では、リンゴが歌うこともあってか、前作のカバー、
「アクト・ナチュラリー」と同様、カントリー調の曲に仕上がっていて、
リンゴのカントリー&ウエスタン好きは、「フォーセール」の頃から。

中山泰樹は、「聴きどころは、リンゴの歌でなく、正確なドラミング、
ジョンとポールのコーラス、ジョージの枯れたギターだ。」と挙げて、
それにより、「ラバーソウルな響き」となり、当初録音されていたら、
「もう1曲のアクト・ナチュラリーで終わっていた。」と、書いている。

「ウェイト」が、タンバリンとギターの要素で、「ヘルプ」だった曲を、
「ラバーソウル」のサウンドへ変質させたと、書いたのと同様だが、
自分からしたら、いやいや、「消えた恋」と「アクト・ナチュラリー」は、
ほとんど同じでしょう、ジョージのギターも似ていると言いたくなる。

このあたりは、自分が、カントリー&ウエスタンに疎いせいもあって、
全部同じに聴こえるからか、カーペンターズも、「ジャンバラヤ」と、
「トップ・オブ・ザ・ワールド」が、口ずさんでいると、ごっちゃになるし、
単に自分の注意力が散漫すぎ、同じに聴こえるだけなのだろうか。

ただ、リンゴには申し訳ないが、カントリー云々を抜きにしてみても、
リンゴは歌う曲は、カバー曲の「ボーイズ」も、ジョンが書いてくれた、
「アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン」も、一本調子の歌い方のせいもあり、
同じ曲に聴こえるから、「アクト~」と「消えた恋」も歌のせいもある。

ただ、そうなると、ビートルズに、あまり詳しくない人たちにとっては、
「抱きしめたい」と「シー・ラブズ・ユー」とが、同じ曲に聴こえるとか、
ロックに詳しくない人には、パープルもツェッペリンも、みんな同じと、
きりがない話だし、今でも、グラミー賞とかの洋楽は区別がつかない。

「消えた恋」は、コード進行だけ聴くと、ジョンらしさが出ているようで、
3コードが中心だった、「アクト・ナチュラリー」と違い、サビの部分で、
Ⅳmのコードになるところが肝なのだが、実はポールが手伝った際、
ここのコードをいじろうよと、アドバイスした可能性もないことはない。

ジョージのリードギターは、「アクト~」と、そう変わらないと書いたが、
こういうカントリー調の曲の、チェット・アトキンス奏法は実に見事で、
チェット自体、昔、レコード売り場で探したら、カントリー・コーナーで、
見つけたほどで、この手の曲にぴったり、伴奏の際も駆使している。

ギターは、ジョージのリード、ジョンのリズムギターの2本だと思って、
バンドスコアもそうなのだが、「全曲バイブル」だと、リードギターは、
あとから、別トラックへのダビングで、ベーシックトラックの録音では、
2人ともリズムギターも弾き、低音のリフがジョージ、コードがジョン。

モノミックスは、エンディングのリードギターが消されて、その部分も、
リズムギターが2本聴こえるし、間奏も2本聴こえると書いているが、
いくら聴いても、1本だし、サビの部分は、ジョージがオブリガードを、
コードにしているから、2本のリズムギターになっていると思うのだが。

使用ギターは、これまた諸説あり、ジョンは、いつものリッケン325、
あるいは、この頃から使い始めたエピフォンのカジノで、ジョージだと、
いつものグレッチとストラト説とに分かれ、自分は、ジョンもジョージも、
ストラトをお揃いで使ったと思うが、低音のリフはリッケンの可能性も。

「ヘルプ」の辺りから、ストラトに限らず、様々なギターを使い出すが、
マネージャーのエプスタインが、イメージを優先し、ライブの場合には、
ジョンのリッケン、ジョージのグレッチ、ポールのヘフナーという王道、
いつもの絵になるスタイルを続けたそうで、確かにストラトは違和感。

それでも、日本公演を含むツアーで、ジョンは、カジノを弾き始めるし、
これは、ジョージも一緒だが、ポールは、最後のライブまでヘフナー、
さらには、映画「レット・イット・ビー」の屋上ライブも、ヘフナーだったし、
今でも使うのは、ファンのイメージを、大切にしているのかもしれない。

ジョンの昔の曲に、リンゴが歌詞を付け足したという、「消えた恋」は、
リンゴの歌はともかく、ジョンとポールのハモリが抜群で、聴かせるし、
ジョージのカントリー調ギターも格好良く、いつものネックの歌よりも、
リードギターの間奏、オブリガードが、けっこう難しくて、苦労しました。



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没のテープにタンバリンなどを加えてアルバムに収録した「ウェイト」
65年末のクリスマス商戦に向けた新譜、「ラバー・ソウル」は、
スタジオを思いどおりに使えるようになって、時間を気にせず、
作業が出来る分、深夜まで及んだこともあったし、いかんせん、
新曲のストックがないから、作曲しながらの自転車操業のよう。

火事場の馬鹿力でもないが、最終日になり、ジョンが「ガール」、
ポールが「ユー・ウォント・シー・ミー」を書き上げて、持ち込み、
その日のうちに、録音まで完成させていて、この最後の最後で、
「ガール」という名曲を生み出す、この当時こそのジョンの底力。

それでも、まだ1曲が不足し、「ヘルプ」のアルバムセッションで、
没になった「ウェイト」を引っ張り出したそうだが、もしもこの曲が、
オーケーで、「ヘルプ」に収録されていたら、最後に1曲だけある、
カバーの「ディジー・ミス・リジー」は、カットされていたのだろうか。

このリメイクの事実は、88年に出たマーク・ルウィソーンの労作、
「ビートルズ・レコーディング・セッション」で、明らかになったそうで、
藤本国彦「213曲全ガイド」は、「それまでに読んだビートルズの、
どの本にも書かれていなかった。」と、驚きをあらわに語っている。

ただ、サウンド的には、「ヘルプ」時代の名残があるようで、87年、
CD化に際し書かれた国内盤解説は、「アルバム『ヘルプ』以前に、
良く聴かれたサウンドに仕上げられている。」とあり、「ヘルプ」で、
没になった曲という情報がなくても、どこか見抜いたようですごい。

この曲をリメイクするに際し、ベーシックトラックからやり直すのは、
時間がなかったのか、録音済みのテープに、ギターとタンバリン、
マラカスとボーカルをダビングしたという、多少化粧直した程度で、
それだけ最終テイクに近い仕上がりの曲を、なぜ没にしたのだろう。

「イフ・ユーヴ・ガット・トラブル」「ザット・ミーンズ・ア・ロット」の2曲も、
「ヘルプ」では没になっていて、「フォー・セール」も同様に没が多く、
いくらでも新曲が作れたし、カバー曲のレパートリーも多かったから、
出来のよい曲、アルバムの統一感に合う曲を、贅沢に選べたのか。

「『ヘルプ』に収録されなかったのは、たんに物理的な問題、つまり、
曲が余ったから」と、中山康樹は、「これがビートルズだ」で語って、
「『ラバーソウル』に収録したのは、偶然ではない。」とし、「この曲を、
ラバーソウルにするために、何が欠けているか直感で見抜いた。」

藤本「213曲全ガイド」でも、「まさか、ヘルプのときの曲だったとは、
気づきにくい。」、「ギターやタンバリン、マラカス、ジョンとポールの、
バックヴォーカルを加えて、違和感をなくしたからだ。」と書かれて、
ダビングによって、見事にラバーソウルになったという意見が多い。

そのあたり、自分は、あまりピンとこなくて、そんなものなのかなと、
前期と後期の曲の違いはわかるが、何をもって、「ヘルプ」の曲で、
何をもって、「ラバーソウル」の曲とするか、わからず、タンバリンも、
ギターのボリューム奏法も、「ヘルプ」でもやっていたのになと思う。

ラバー・ソウルっぽくと言うなら、ダビングでピアノやハーモニウムを、
加えた方が良い気もしていて、その辺のさじ加減が、素人の自分と、
ビートルズやマーティンとの違いなのだろうが、それでも、ヘルプが、
見事にラバー・ソウルの曲へと変化というのは、大げさな気がする。

この曲は、ジョンとポールがハモっている曲で、最初はジョンからで、
「it's been a」と1人で歌い始め、「long time」でポールが上のハモ、
ここは、ジョンの方が主旋律、「wait」からは、ポールが主旋律となり、
そのまま、ポールが1人で歌うサビへと続き、それぞれ特徴がある。

3つの曲を1つにしたと、書いているビートルズ本もあるが、後期の、
断片を持ち寄ったメドレーと違い、どちらかが主に作った曲について、
サビの部分を手伝うという共同作業だったろうし、たいていの場合は、
主旋律を歌う方が、その部分を作ったとみなしても良いだろうと思う。

ただ、これが、けっこう例外もあるうえ、互いに「全部自分が作った」、
「ほとんどを手伝っている」と、主張が異なる曲もあり、「ウェイト」でも、
中間部がポールと言われていたのを、共作でなく、自分1人で書いた、
映画「シェーン」の子役の目の前で作曲したと、ポールが言っている。

ジョンがメインのところは、いかにもジョン、というメロディーラインだし、
ポールのサビも同様、コード進行も含め、個性が出ている気がするが、
ポールがそう言うのだから、そうなのでしょう、「ジョンの主張ばかりが、
正しいみたいにされる。」と、不満をもらしていたから、尊重しないと。

どちらが作ったにせよ、いつものことだが、自分はメロディーラインを、
ジョンとポールのハモを、ごっちゃにして覚えていて、バンドスコアで、
それぞれの音程を確認しても、初期の「フロム・ミー・トゥ・ユー」などの、
上下が入れ替わるパターンではと、自分の覚えたメロディにこだわる。

YouTubeに、ドラムだけ、ベースだけ、ギターだけを音源から分離した、
アイソレーテッド・トラックをアップしてくれる達人がいて、「ウェイト」も、
ヴォーカルだけのものがあって、2人のハモリは、声が溶け合うから、
判りにくいが、上下の入れ替わりはないようで、単なる自分の勘違い。

「全曲バイブル」に、「ヘルプ」で、ジョンとポールがハモって歌っていて、
「ラバーソウル」で、2人でダビング、さらに、ポールが上のハモリとあり、
3声コーラスではないから、ダブルどころかトリプルトラックかと思ったら、
最後の最後、1小節だけが、3声になって、高音のハモリが入っていた。

ジョンもジョージも、ギターはお揃いのストラトを使って、ストラトというと、
自分は、色がサンバースト(赤系と黄系があるが)や白のイメージだが、
2人は水色のストラトだそうで、自分がビートルズに夢中だった40年前、
デパートの楽器売り場に、国産の赤とか水色のコピーモデルがあった。

ジョンのリズムギターは、左チャンネルから、かすかに聞こえる程度で、
ジョージは、左チャンのボリューム奏法のギターが、もともとの録音で、
「ラバーソウル」時、右チャンにも、ボリューム奏法でギターをダビング、
左右が掛け合うように、交互にリズムを刻んでいて、工夫したアレンジ。

ボリューム奏法は、「ヘルプ」の「アイ・ニード・ユー」や、同時期に出た、
シングル盤の「イエス・イット・イズ」でも演奏していて、ジョージにとって、
この頃のマイブームのようだが、シタールにしても、気に入ったとなると、
そればかりを飽きるまで、やるような感じで、そのうえ目移りも多い感じ。

ビートルズが、「ヘルプ」の没曲の中から、リサイクルした「ウェイト」は、
「ラバー・ソウル」らしくなったのか、自分には不明ですが、ジョンらしさ、
ポールらしさが出ている曲で、やっぱり、ポールの高音がきついですし、
延々と鳴らし続けるタンバリンで、リズム音痴が露呈してしまってます。






大人っぽくなったように感じた冷めたコーラスの「愛のことば」
自分たち後追い世代は、赤盤・青盤のベスト盤の影響もあって、
「ペパーズ」以降を後期だと捉えているが、ざっくりすぎるようで、
前期・中期・後期に分けたり、さらに初期という言い方もあって、
しかも、どのアルバムを中期にするか、意見も分かれるようだ。

もちろん、リアルタイム世代は、ビートルズが解散してしまうとは、
思いもよらずに、新曲・新譜を聴いていたから、初期はあっても、
「レット・イット・ビー」が出た段階でも、後期という言い方はせず、
やはり、赤盤・青盤が出たことで、前期・後期と呼んだのだと思う。

中期のビートルズを、「ヘルプ」からとする説もあるが、一般には、
「ラバーソウル」からで、中期の終わりをどれにするかも諸説あり、
「リボルバー」とし、後期は「ペパーズ」からとする説、「ペパーズ」、
「マジカル~」を中期に入れ、「ホワイトアルバム」から後期の説。

こうなると、やっぱり、前期・後期は、誰も異論を挟む余地がなく、
すっきりしていると思うが、中期の始まりとなる「ラバーソウル」は、
実際に、リアルタイム世代は、これまでのアイドル然とした曲から、
大きく変わってしまったと、付いていけず、離れるファンもいたとか。

65年12月発売の「ラバーソウル」は、前年「フォーセール」同様、
クリスマス商戦に間に合うように、曲を作りながらの録音だったが、
この時期にツアーはなく、スタジオも自由に使えるようになって、
このアルバムから、ビートルズはレコーディングバンドへと変貌。

ブルースミュージシャンが、ローリング・ストーンズをけなした表現、
「プラスチックのソウル」を逆手に取って、「ゴム製のソウル」という、
タイトルは、いわゆる「魂」に、「ソウルミュージック」もかけたようで、
モータウンサウンドを取り入れ、新しいビートルズの音が聴ける。

1曲目の「ドライブ・マイ・カー」から、リッケンバッカーに持ち替えた、
ポールのベースラインが響き渡り、メロディーがあるのかないのか、
わからない平行移動のようなハモリは、不協和音のような音程で、
これが、「抱きしめたい」「イエスタデイ」を歌ったのと、同じバンドか。

脱アイドル宣言をしたわけではないが、これまでのマージービート、
リバプールサウンドのような曲はなく、インドの楽器のシタールや、
ファズベース、バロック調のピアノソロに、フランス語の歌詞もあり、
今では当たり前でも、新譜として聴いた世代の戸惑いはどうだろう。

「愛のことば」のコーラスも、これまでのジョンとポールのハモリとは、
まったく別物で、今日で言う「クール」とでも、表現すれば良いのか、
邦題の「愛」とは裏腹に、冷めたような曲調に、無機質なコーラスで、
淡々と裏拍を刻むギターと、はねるようなベースも、これまでにない。

モータウンの影響と言ってしまえば、簡単だが、もともとジョンなんか、
スモーキー・ロビンソンが好きで、「ジス・ボーイ」のハモリを作ったり、
ブラックミュージックのサウンドは、デビュー前から取り入れていたが、
よりソウル系へとシフトしたのか、ファルセットの多用もそのあたりか。

ちなみに、この曲の4番で、これまでのハモリに、さらに上が加わり、
それがファルセットなのだが、3人の誰なのかが、はっきりしてなくて、
最終ダビングで、ジョージが加わったから、この部分のことだろうとか、
上をポールが歌うから、ジョージに真ん中を歌ってもらった説もある。

いつも参考にする、YouTubeのビートルズ・ヴォーカル・ハーモニーも、
「最も高いファルセット」の表記のみで、ジョンともポールとも書かず、
コメント欄の、ジョージかどうかの質問にも、「裏声は特定しにくい。」と、
答えるに留まり、そもそも、どこをジョージがハモッたのかも言及せず。

「全曲バイブル」の分析によると、トラック1がギター、ピアノ、ドラムで、
トラック4に、ジョンとポールのハモと、ジョージのギター、トラック3は、
ダブルトラック用にして、ジョンとポールのハモを録音するが、この時、
上のハモリをつけるので、ジョージも参加とあるが、パートの記述なし。

最後に、トラック2に、ジョージのリードギターを再度、ポールのベース、
リンゴのマラカスに、マーティンがハーモニウムを演奏して、もともとは、
ジョンがハーモニウムだったが、もう一度歌うことなって交代したそうで、
さらに、「J・コーラス(サビのいちばん上の裏声)」とまで明記している。

この部分は、ポールなら、地声でも出るし、逆に、ジョージは裏声でも、
この音程が出せたかどうかと、ヴォーカルハーモニーのコメント欄でも、
意見が交わされていて、消去法的に、ジョンとするのが妥当なのだが、
リミックスで歌を消した人は、「ジョージの裏声が分離できない」と言う。

いつもながら、誰が歌ったか、どの楽器で誰が弾いたかの謎も多くて、
現存するすべての音源を公開して欲しいし、記憶があいまいとしても、
全曲について、ポールに覚えている限りのことを、語って欲しいのだが、
今さら、ビートルズの楽曲を、しつこく尋ねることは、失礼なのだろうか。

「全曲バイブル」に、「ポールのコーラスは、1回目だけメロディが違い、
あるいは、2回目以降が違ったが、全体的な出来がよいのでOKに」
と書かれて、ジョンがダブルトラックのダビングで、歌詞を間違えたり、
節回しを変えると、やらかしたように言われるのに、この差は何だか。

ポールは、かなり自由にダブルトラックの片方で、メロディを変更して、
自分は、ずれている程度に思っていたが、ヴォーカル・ハーモニーは、
ポールは見事なバリエーションをつけていると、その大半を解説して、
上にハモッたり、ビブラートをかけたりと、よく聴き取ったと驚くばかり。

ギターは、左チャンのカッティングは、ジョンがストラトを使って演奏し、
左右から鳴るサビのフレーズは、ジョージとされるが、ネットで人気の、
「ザ・ビートルズ楽曲データベース」では、ジョンがリッケン325(?)と、
疑問符をつけつつ、ジョージはストラトと明記され、これは、どうだろう。

「低音弦の硬い音は、ギブソンJ160Eか、少なくともストラトでない」と、
「全曲バイブル」にはあるが、自分のエレアコを使い、マイクの生音と、
ピックアップからのラインの音を両方試すが、似たような音にはならず、
だいたい、この部分を自分は、昔からポールのベースだと思っていた。

右チャンネルのベースは、モコモコした音だが、このサビのフレーズは、
いかにもリッケンベースという、ゴリゴリした音で、ただ、ポール自身は、
あまり極端にトレブルを効かせなくて、イエスのクリス・スクワイヤだと、
軽く歪ませて、こんな音にするのだが、ベースというのは思い過ごしか。

自分の持っているベースギターは、フレットレスのジャズベだけなので、
金属フレットがないせいか、かなりトレブルを上げてもモコモコした音で、
このフレーズの音とは、似ても似つかないから、ベース説はあきらめて、
リッケンのギターで録音して、ストラトを使うよりは、多少音色は近づく。

このフレーズが、リッケンベースなのか、ストラト、J160Eかは別として、
途中のスライド気味に食って入るフレーズは、ポールの手癖の気がして、
さらに、最後の16分音符を正確に弾くのは、ジョージでは無理な感じで、
ポールのように思えて、ジョンがサビを歌うときに、弾くことも可能だろう。

ジョージのギタリストとしての実力を、レッドツェッペリンのジミー・ペイジ、
ジェフ・ベックにけなされると、ムッとして反論したくなるが、そう言いつつ、
ちょっと自分が弾きにくい部分があると、これは、ジョージには無理だから、
ポールじゃないかと考える自分は、本当勝手なもので、ファンとして失格。

この曲の歌詞は、「あの言葉は~」と繰り返し言いながら、最後になって、
「愛」という単語を出すが、邦題はネタバレのように、「愛のことば」であり、
歌詞の意味を組んだとはいえ、ちょっと台無しにしたように感じてしまい、
このアルバムの「嘘つき女」「浮気娘」ほどでないが、邦題は問題が多い。

ここで歌われる「Love」は、恋人同士の愛ではなく、普遍的な愛の概念で、
後の「愛こそはすべて」へとつながると、解説しているビートルズ本があり、
そのあたりは、身近にいたポールが一番わかっていたのだろう、この曲と、
「愛こそはすべて」をメドレーにして、演奏しているのが、YouTubeにある。

ポールがジョンの曲を歌うことには、ネットでも批判的なコメントが多くて、
自分もそう感じていたが、「コピーバンドやカバー曲として、ジョンの曲を、
世界中の人が歌う中、一番その権利・資格があるのはポールだ。」という、
コメントがYouTubeにあり、なるほどなあとすごく納得し、つかえが取れた。

後半に出てくる「Give the word chance to say」という歌詞が、後の、
「Give peace a chance」の先取りと、いくつものビートルズ本にあるが、
ちょっとこじつけすぎる気がして、それなら、「シー・ラブズ・ユー」のB面曲、
「アイル・ゲット・ユー」なんか歌い出しが、「Imagine」で、単語で騒ぎすぎ。

解散後のジョンのインタビューで、ジョンとポールの共作と言っていたし、
ジョンが歌詞、ポールが作曲とも言われるが、サビは、ジョンならではの、
メロディーラインで、ここはジョンの作曲かと思うし、逆に歌詞に関しても、
ポールとやりとりしながら書いて、後期にはなくなる共同作業だったろう。

リアルタイム世代が戸惑ったという、冷めたような無機質に響くハモリで、
歌詞も普遍的な愛という抽象的で、アイドルが大人っぽくなった感じの曲、
「愛のことば」は、ポールのハモリ、さらに後半ファルセットは限界すぎて、
演奏は、そこそこ出来たものの、いつもながら、歌がとにかくネックです。






3声コーラスが見事なのにジョンは嫌いだと言う「イエス・イット・イズ」
ビートルズの公式曲数は、解散後に発売されたBBCライブや、
アンソロジーで日の目を見た、未発表曲はカウントしないので、
今も昔も213曲という括りが一般的で、ただ、ボックスセットは、
テイク違いの4曲を収録するから、延べ曲数は、すこし増える。

そう書きながらも、自分が「213曲」という数字を意識したのは、
13年前に出た中山康樹「これがビートルズだ」の、帯の部分に、
「全213曲に挑む」の宣伝文句を見てからであり、さらに最近も、
藤本国彦「全213曲ガイド」と、タイトルに謳った本で、再認識。

ビートルズに夢中だった中学時代は、全部で210曲くらいだと、
漠然とした数字で把握していたが、実際にはどうだったのかと、
当時のバイブルだった、香月利一の「ビートルズ事典」を出して、
曲目リストを数えると、やはり213曲で、増えも減りもしていない。

ビートルズは、原則、シングルの曲を、LPに収録しなかったから、
今のようなCDボックスセットもなければ、「パスト・マスターズ」の、
アルバム未収録曲集もない頃は、全部の曲を集めようとしたら、
全部のLPに加えて、十数枚のシングル盤まで買う必要があった。

まあ、後追い世代の自分は、シングル曲は、赤盤・青盤があるし、
リアルタイム世代でも、国内盤は、日本独自の編集になっていて、
最初のLPが、初期のシングルヒット曲を収録し、現役時唯一の、
ベスト盤「オールディーズ」もあるから、シングル盤は少しですむ。

国内盤は、3枚目「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」から、本国イギリスと同じ、
曲目になっていくが、1・2枚目にシングル曲を多く収録したから、
「ビートルズNo.5」を出し、本来の1・2枚目に収録されていた曲、
シングルB面曲の残った分を入れたから、全曲集めには役立った。

アメリカ編集盤は、元のLPから曲を間引いて、その浮かせた曲と、
シングル盤の曲を合わせ、アルバムの枚数を水増ししていたから、
ビートルズ本人たちのアルバム製作の意図を、まったく無視したと、
評判は悪いが、おかげで大半の曲が、どれかしらのLPには収録。

イギリスでは、2枚組EP盤だった「マジカル・ミステリー・ツアー」に、
「愛こそはすべて」や「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」など、
シングル盤の曲を加えて出したLPは、そうしたアメリカのやり方が、
逆に本国で認められ、CD化に際して、正式アルバムの形となった。

解散する直前に出た、後期シングル集のような「ヘイ・ジュード」は、
「パスト・マスターズ」のある今では、ただ懐かしいという程度だが、
リアルタイム世代、後追いでも、レコード時代だった当時の自分は、
全213曲を聴くためには、ありがたいLPで、やはり存在は大きい。

自分は、日本盤、「ミート・ザ・ビートルズ」、「セカンド・アルバム」に、
「ビートルズNo.5」を買い、他のLPも買うなり、借りるなりしたから、
前期の曲で、入手困難は、シングルB面の「アイル・ゲット・ユー」、
「アイム・ダウン」と、「イエス・イット・イズ」の3曲だけだったと思う。

後期も、「ヘイ・ジュード」を友人に借りたから、「ジ・インナー・ライト」、
「ユー・ノウ・マイ・ネーム」で、2人きりのビートルズ・コピーバンドの、
ジョージ役の友人は、米盤の大半と国内盤、シングル盤もいくつか、
持っていたから、自分が集められない曲も、テープ録音してくれた。

結局、編集盤も含めた国内盤LPだけでは、全曲制覇できないのは、
前期も後期もシングルB面であり、普通なら、どうせ捨て曲だからと、
そのまま聴かずとも良いし、無理して入手しても、その苦労のわりに、
後悔するのだが、ことビートルズにあっては、決してそんなことない。

「イエス・イット・イズ」は、シングル盤「涙の乗車券」のB面の曲だが、
LP[ヘルプ」の収録曲と比べても、ひけをとるどころか、勝っていて、
自分は、友人が米盤「ビートルズⅥ」から録音してくれたが、たしか、
ラジオでも、LP未収録特集だかで聴いて、すごく気に入っていた曲。

ジョンは、いつもながら、「嫌いな曲の一つ」とか、「『ジス・ボーイ』を、
書き直そうとして失敗した」と語るが、3声コーラスを複雑に発展させ、
サビの部分で、ジョンならではの、せつなく歌い上げる箇所なんかは、
ものすごく好きなのだが、どうも、自分とジョンの感性とは違うらしい。

歌詞が、「赤い服を見ると、彼女を思い出すから、着ないで欲しい」と、
ジョンにとっては、若気の至りに思える、気恥ずかしい歌詞だからと、
分析する人もいるし、その「彼女」とは、恋人でなく、ジョンの亡き母、
ジュリアのことを指すという説もあって、二重に痛いところだったのか。

服の色にこだわるのは、前のLPの「ベイビーズ・イン・ブラック」でも、
黒い服を着る女性を歌い、それは、ジョンの無二の親友で夭折した、
スチュアート・サトクリフの喪に服す恋人、アストリットのことを指すが、
その路線で、自分の母を歌うことは、ヨーコに対しても恥ずかしいか。

コーラスは、「ジス・ボーイ」と同様に3声で、基本は、ジョンが一番下、
真ん中がジョージ、上がポールだが、ジョンとジョージが入れ替わるし、
2度とかの不協和音でハモッたり、ユニゾンになったりと、凝っていて、
より複雑なハーモニーは、ジョージの存在が、かなり大きいと言える。

ビートルズのハモリは、ジョンとポールの声が溶け合い区別できない、
奇跡のようなハモリが、とかく取り上げられるが、ジョージのハモリも、
実に見事で、ジョンともポールとも、上下を入れ替えて、ハモリながら、
個性的な声が、時に目立ち、本当、コーラスグループとしても超一流。

アンソロジーや、海賊盤で、ハモリのダビング前、伴奏を録音しつつ、
ジョンが仮歌を歌っているのが聴けて、ジョンのラインは確実なので、
愛用のバンドスコアと、これまた、いつも頼りにしているYouTubeの、
ビートルズ・ヴォーカル・ハーモニーで、それぞれのパートを確認する。

ジョンのリズムギターは、最初何も考えず、アコギを弾いて録音したが、
「全曲バイブル」には、クラシックギター・ガットギターを使ったと書かれ、
実際、第2テイクと最終テイクを編集した、アンソロジーの演奏を聴くと、
途中でギターの音がガラッと変わり、鉄弦とナイロン弦の差がわかる。

ガットは、映画「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」の中、「アンド・アイ・ラヴ・ハー」で、
ジョージが弾いた印象が強いから、ジョンが使うのは考えてなかったが、
同アルバムの「アイル・ビー・バック」のリズムギターも、ガットのようだし、
録音に使った楽器1つ取っても、今でも、自分にとり新しい発見がある。

そのテイク2や、他のテイクを聴いても、ジョンは、お気楽に歌っていて、
まあ、声を張り上げてしまうと、ギターのマイクが、歌を拾ってしまって、
あとから歌を入れ直すのに不都合だから、鼻歌程度にしたのだろうが、
歌詞を忘れたり、高い声が出ず裏声にしたり、ジョンらしくて、楽しめる。

ジョージのギターは、同じ「ヘルプ」アルバムのセッションで録音された、
「アイ・ニード・ユー」と同様に、ボリューム・ペダルによる奏法を用いて、
ヒャー・ホワーという音を出しているが、この曲は、ストラトキャスターで、
弾いたという説もあり、ペダルでなく、ギターのボリュームノブでも可能。

ギターを弾く自分には、ボリュームペダルは当たり前のエフェクターだが、
「ビートルズ事典」では、エレピ用のエクスプレッション・ペダルと混同され、
他の本では、後のワウワウペダルと書かれ、ワウとボリュームペダルは、
まったく別物だろうに、明らかな間違いを見つけると、つい厳しくなりがち。

「ヘルプ」のアルバムには収録せず、シングル盤のB面で、マニア以外は、
見落としがちだったかもしれない、「イエス・イット・イズ」は、作曲した当人、
ジョンの「嫌いな曲」発言と裏腹に、コーラスの見事な名曲で、それだけに、
難しいし、サビは自分の限界音を超えたG#があり、かなり苦しい歌です。








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