僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。 旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
ビートルズの主演映画第2弾、「ヘルプ!4人はアイドル」は、
彼らの日常風景を、ドキュメンタリータッチで追った、前作の、
「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」とは一転し、オリジナルストーリーで、
アクションありのコメディと、まさにアイドル主演の娯楽映画。
モンティ・パイソンを思わせる、ナンセンス・ジョークも満載と、
お馬鹿映画の様相だし、笑い声をかぶせれば、海外ドラマの、
「奥様は魔女」とか「じゃじゃ馬億万長者」で、親しんだ光景で、
外国の邸宅での、外人さんの間抜けなやり取りが面白かった。
仏映画の「クレイジーボーイズ」みたいだと思ったが、当然で、
彼らはモンキーズを意識していて、モンキーズは、アメリカが、
ビートルズに対抗して作ったバンドで、それも、演奏活動より、
ドタバタコメディのテレビシリーズを前提に、集められたバンド。
ある意味、知らず知らずのうち、ビートルズの遺伝子というか、
影響を受けたコメディ映画を見ていたので、そんなこともあり、
自分は、3本立てで見たうち、「ヘルプ!」が一番、気に入って、
これがきっかけとなって、ビートルズに夢中になっていくことに。
ところが、これまた最近になり、ビートルズ本で知ったことだが、
出演した当人たちは、おふざけばかりの脚本だと、うんざりし、
虚構の4人、他人を演ずることに、不満を抱き、演技の面でも、
プロの俳優とのレベルの差から、没になった場面まであるとか。
そんなあ、ジョンは、いつもの、とぼけた仕草をしたり、リンゴは、
前作同様、コメディアン並みの演技、ポールは水浸しになるわ、
体が縮む薬を打たれ、素っ裸になるわ、ジョージにいたっては、
カースタントまでこなして、楽しんでやっていたんじゃないのか。
リンゴがファンからもらった指輪が、カイリ教の生け贄の指輪で、
奪い返しに襲ってきたり、目をつけた科学者にも狙われるという、
お間抜け設定で、それぞれのドタバタ場面に、脈絡がないから、
前後しても変わらないくらいに、話が練れていないのは、事実。
それでも、自分は、今見返しても、腹を抱えて笑う場面だらけで」、
演奏場面は、どれもがPVとして切り離しても、十分見ごたえあり、
冒頭の「ヘルプ」から、アルプスでスキーをする「涙の乗車券」に、
スタジオでレコーディングする「恋のアドバイス」と、本当に良い。
ロンドン警察に保護を求め、襲われないように、戦車に囲まれて、
ソーズベリー平原でレコーディングをするのは、お馬鹿すぎるが、
これも、PVとしては見事な出来で、笑顔でジョージが歌っている、
「アイ・ニード・ユー」に、ポールが決めてる「ザ・ナイト・ビフォア」。
教団は、戦車があるので、地上は無理だと、地下トンネルを堀り、
演奏しているビートルズの真下に、爆弾を仕掛ける作戦に出るが、
ビートルズの味方をする教団の女官の機転で、まったく別の所で、
曲のテープを流して、真上にビートルズがいると、勘違いさせる。
この場面で、流れていたのは、「シーズ・ア・ウーマン」で、一応は、
レコーディング中の「ザ・ナイト・ビフォア」とは、同じポールの曲で、
ビートルズに詳しくない教団の人が、騙されたという設定だろうし、
昔は、ラジオをかけたと思ったが、当時は珍しいラジカセのようだ。
「ザ・ナイト・ビフォア」は、映画と同様に、ジョンがエレピを弾いて、
デビュー時は、ジョージ・マーティンがピアノを弾いたが、この頃は、
ジョンやポールも弾くようになり、特に、ポールより、ジョンの方が、
機会が多く、コンサートでも、「アイム・ダウン」のオルガンを弾いた。
ジョンは、リズムギターの名手でもあり、リズム感も抜群なことから、
この曲のエレピも、ジョージのギターをあおるように、コードを弾き、
合間合間で、16分音符で、チャチャチャチャと刻んでくるのも見事、
自分も、ギターシンセで真似てみるが、なかなか感じは出なかった。
ジョンの弾く電気ピアノは、愛用しているハーモニカと同じメーカー、
ドイツのホーナー社の製品で、金属片を叩いて音を出す方式だが、
エレピの代名詞となっている、フェンダー・ローズに比べて、あまり、
金属音という感じでなく、シンセの音色で、似た音は作れなかった。
ジョージの弾くリズムギターと、同じトラックに録音され、同じように、
リズムを刻むから、音が一体化し、太めの音色に感じてしまうのか、
ギターも、グレッチの音より柔らかく、トーンを絞ったストラトのよう、
ただ、この頃に使ったか不明で、グレッチ代わりにリッケンで録音。
ポールのベースは、間違いなく、ヘフナーのバイオリンベースだが、
イントロはエレピでベースラインを弾いている、と思うような音色で、
裏拍からスライドで入っているフレーズが、本当に、ポールは見事、
ジョンのエレピは、裏拍は弾いてないようで、ポールなら弾いたか。
映画は、時折、ポールの弾くベースが、ネックのアップ映像になり、
今でこそ、ギターやベースのヘッド部分に、CCDレンズを搭載して、
手元のアップを写したりするが、当時としては、斬新な構図だろうし、
シンバルのアップ、ジョンの頭越しのジョージのギターと凝っている。
ベースのアップ映像で、ポールはチョッパー奏法とまでいかないが、
手のひらで弦を叩いては、つまむように弾き、派手な演出とはいえ、
この曲は指弾きだろうかと、目を凝らすと、全体が映っている場面は、
きちんとピックを握っているし、そのフォームは綺麗で、いつも感心。
リードギターは、2本によるオクターブ・ユニゾンで、ジョージとジョン、
ジョージとポールの説に分かれて、ポールのカジノと断定する人や、
これくらいジョンも弾けるとかで、さすがにジョンとポール説はないが、
下パートの軽く歪ませて、こもった音色は、ポール好みの音だと思う。
ポールではないと主張する人のうち、何人かが挙げている根拠には、
「アナザーガール」と「涙の乗車券」は、ポールが弾いたとクレジットが、
ジャケットに入っていて、「ザ・ナイト・ビフォア」には書いてないそうで、
それは英国盤なのか、自分は見たことはなく、このこと自体に驚いた。
戦車に囲まれて演奏し、曲の最後は、爆発炎上に、砲弾が飛び交い、
4人は逃げながら、戦車にひかれそうになる、「ザ・ナイト・ビフォア」、
エレピやギターの音色は、似せられなくて、何よりも、ポールの歌は、
やはりキーが高くて、かろうじてコーラスだけ、何とかなった感じです。
彼らの日常風景を、ドキュメンタリータッチで追った、前作の、
「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」とは一転し、オリジナルストーリーで、
アクションありのコメディと、まさにアイドル主演の娯楽映画。
モンティ・パイソンを思わせる、ナンセンス・ジョークも満載と、
お馬鹿映画の様相だし、笑い声をかぶせれば、海外ドラマの、
「奥様は魔女」とか「じゃじゃ馬億万長者」で、親しんだ光景で、
外国の邸宅での、外人さんの間抜けなやり取りが面白かった。
仏映画の「クレイジーボーイズ」みたいだと思ったが、当然で、
彼らはモンキーズを意識していて、モンキーズは、アメリカが、
ビートルズに対抗して作ったバンドで、それも、演奏活動より、
ドタバタコメディのテレビシリーズを前提に、集められたバンド。
ある意味、知らず知らずのうち、ビートルズの遺伝子というか、
影響を受けたコメディ映画を見ていたので、そんなこともあり、
自分は、3本立てで見たうち、「ヘルプ!」が一番、気に入って、
これがきっかけとなって、ビートルズに夢中になっていくことに。
ところが、これまた最近になり、ビートルズ本で知ったことだが、
出演した当人たちは、おふざけばかりの脚本だと、うんざりし、
虚構の4人、他人を演ずることに、不満を抱き、演技の面でも、
プロの俳優とのレベルの差から、没になった場面まであるとか。
そんなあ、ジョンは、いつもの、とぼけた仕草をしたり、リンゴは、
前作同様、コメディアン並みの演技、ポールは水浸しになるわ、
体が縮む薬を打たれ、素っ裸になるわ、ジョージにいたっては、
カースタントまでこなして、楽しんでやっていたんじゃないのか。
リンゴがファンからもらった指輪が、カイリ教の生け贄の指輪で、
奪い返しに襲ってきたり、目をつけた科学者にも狙われるという、
お間抜け設定で、それぞれのドタバタ場面に、脈絡がないから、
前後しても変わらないくらいに、話が練れていないのは、事実。
それでも、自分は、今見返しても、腹を抱えて笑う場面だらけで」、
演奏場面は、どれもがPVとして切り離しても、十分見ごたえあり、
冒頭の「ヘルプ」から、アルプスでスキーをする「涙の乗車券」に、
スタジオでレコーディングする「恋のアドバイス」と、本当に良い。
ロンドン警察に保護を求め、襲われないように、戦車に囲まれて、
ソーズベリー平原でレコーディングをするのは、お馬鹿すぎるが、
これも、PVとしては見事な出来で、笑顔でジョージが歌っている、
「アイ・ニード・ユー」に、ポールが決めてる「ザ・ナイト・ビフォア」。
教団は、戦車があるので、地上は無理だと、地下トンネルを堀り、
演奏しているビートルズの真下に、爆弾を仕掛ける作戦に出るが、
ビートルズの味方をする教団の女官の機転で、まったく別の所で、
曲のテープを流して、真上にビートルズがいると、勘違いさせる。
この場面で、流れていたのは、「シーズ・ア・ウーマン」で、一応は、
レコーディング中の「ザ・ナイト・ビフォア」とは、同じポールの曲で、
ビートルズに詳しくない教団の人が、騙されたという設定だろうし、
昔は、ラジオをかけたと思ったが、当時は珍しいラジカセのようだ。
「ザ・ナイト・ビフォア」は、映画と同様に、ジョンがエレピを弾いて、
デビュー時は、ジョージ・マーティンがピアノを弾いたが、この頃は、
ジョンやポールも弾くようになり、特に、ポールより、ジョンの方が、
機会が多く、コンサートでも、「アイム・ダウン」のオルガンを弾いた。
ジョンは、リズムギターの名手でもあり、リズム感も抜群なことから、
この曲のエレピも、ジョージのギターをあおるように、コードを弾き、
合間合間で、16分音符で、チャチャチャチャと刻んでくるのも見事、
自分も、ギターシンセで真似てみるが、なかなか感じは出なかった。
ジョンの弾く電気ピアノは、愛用しているハーモニカと同じメーカー、
ドイツのホーナー社の製品で、金属片を叩いて音を出す方式だが、
エレピの代名詞となっている、フェンダー・ローズに比べて、あまり、
金属音という感じでなく、シンセの音色で、似た音は作れなかった。
ジョージの弾くリズムギターと、同じトラックに録音され、同じように、
リズムを刻むから、音が一体化し、太めの音色に感じてしまうのか、
ギターも、グレッチの音より柔らかく、トーンを絞ったストラトのよう、
ただ、この頃に使ったか不明で、グレッチ代わりにリッケンで録音。
ポールのベースは、間違いなく、ヘフナーのバイオリンベースだが、
イントロはエレピでベースラインを弾いている、と思うような音色で、
裏拍からスライドで入っているフレーズが、本当に、ポールは見事、
ジョンのエレピは、裏拍は弾いてないようで、ポールなら弾いたか。
映画は、時折、ポールの弾くベースが、ネックのアップ映像になり、
今でこそ、ギターやベースのヘッド部分に、CCDレンズを搭載して、
手元のアップを写したりするが、当時としては、斬新な構図だろうし、
シンバルのアップ、ジョンの頭越しのジョージのギターと凝っている。
ベースのアップ映像で、ポールはチョッパー奏法とまでいかないが、
手のひらで弦を叩いては、つまむように弾き、派手な演出とはいえ、
この曲は指弾きだろうかと、目を凝らすと、全体が映っている場面は、
きちんとピックを握っているし、そのフォームは綺麗で、いつも感心。
リードギターは、2本によるオクターブ・ユニゾンで、ジョージとジョン、
ジョージとポールの説に分かれて、ポールのカジノと断定する人や、
これくらいジョンも弾けるとかで、さすがにジョンとポール説はないが、
下パートの軽く歪ませて、こもった音色は、ポール好みの音だと思う。
ポールではないと主張する人のうち、何人かが挙げている根拠には、
「アナザーガール」と「涙の乗車券」は、ポールが弾いたとクレジットが、
ジャケットに入っていて、「ザ・ナイト・ビフォア」には書いてないそうで、
それは英国盤なのか、自分は見たことはなく、このこと自体に驚いた。
戦車に囲まれて演奏し、曲の最後は、爆発炎上に、砲弾が飛び交い、
4人は逃げながら、戦車にひかれそうになる、「ザ・ナイト・ビフォア」、
エレピやギターの音色は、似せられなくて、何よりも、ポールの歌は、
やはりキーが高くて、かろうじてコーラスだけ、何とかなった感じです。
スポンサーサイト

中2の夏休みに友人に誘われ、ビートルズ映画3本立てを、
新宿武蔵野館に見に行ったのが、ビートルズとの出会いで、
コメディ路線の「ヘルプ!」、日常のドキュメンタリータッチで、
4人が明るくはじけている「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」に魅かれる。
友人に借りた「オールディーズ」で、一気に大ファンになると、
きっかけの映画も、3本立てを、翌年の夏にも見に行ったり、
ビートルズ・シネ・クラブの復活祭や、テレビ放映でも見たり、
音声を収録した海賊盤を買って、台詞までも覚えようとした。
リバイバル上映に何度も足を運んだのは、ビートルズ以外は、
「燃えよドラゴン」くらいだし、テレビを録画できるようになって、
何度も繰り返して見たのは、「私をスキーに連れてって」とか、
「トップガン」くらいで、ビートルズ映画は、自分の中で断トツ。
DVDも、ギターや手品の教則DVDは、数多いが、映画では、
子供たち用のアニメを別にすれば、ビートルズの作品だけで、
この歳になっても、というか、ますます、ビートルズに回帰して、
何度見ても飽きず、新しい発見があるのは、彼らの曲と同様。
「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」は、始まるなり、
あのジャーンのイントロが響き渡り、そのテーマ曲をバックに、
ファンに追いかけられ、駅構内を走り回るビートルズが登場し、
その場面だけでも、見ていて楽しく、全編に躍動感があふれる。
「ヘルプ!4人はアイドル」は、何やらおどろおどろしい感じの、
生贄の儀式の場面から始まるが、いきなり、「♪ヘールプ!」の、
歌声と共に白黒画面に切り替わり、演奏するビートルズの姿が、
映し出されて、あれ、前作みたいに白黒になったのかと戸惑う。
すると、色付きのダーツの矢が画面に突き刺さり、何かと思うと、
儀式を中断した司祭が、苦々しく、ビートルズの映画を見ていて、
腹立ち紛れに、ダーツを投げつけているという光景だとわかるし、
「THE BEATLES」や、「HELP」のタイトルも、画面にかぶってくる。
これは、凝った演出だし、何よりも、演奏のカメラワークも見事で、
リンゴの叩くスティックさばき、ジョージのギターを押さえる手元、
ジョンのかき鳴らすアコギの弦の振動、ベースのネックを抱えて、
振りかざすポールと、顔のアップと共に、テンポよく切り替わる。
コピーバンドの演奏で、ポール役の人が、よくベースを縦にして、
ロックギタリスト並みのポーズをとる光景を見て、ポール自身は、
こんなことしていたっけと思っていたが、歌っているジョンの方に、
ピントが合う中、シルエットで写るポールがポーズをきめていた。
映画の邦題の「4人はアイドル」のとおりに、演奏している4人は、
「誰か助けてくれ」という歌詞とは裏腹に、にこやかに笑っていて、
掛け合いコーラスが、疾走感あふれる曲、まさに映画の主題歌、
そう思って長年聴いていたが、ジョンは、そうではなかったと言う。
後年、ジョンはアイドルの多忙な日々に疲れ、どうか助けてくれと、
心の真の叫びだったと語ったそうで、自分は、そんなことも知らず、
映画の画面を思い浮かべては、格好良いなあと、口ずさんでいて、
ジョンの苦しみに気づくこともないまま、ジョン派を公言していた。
ただ、この曲は、映画のタイトルが先行していて、それに合わせて、
ジョンが曲を書いたはずだし、嬉々として歌っていたじゃないかと、
突っ込みを入れたくなるが、そこはジョン、当時は自分も気づかず、
後になって、この叫びが本心だったと判ったのだ、と言ったらしい。
自分は、実際のジョンの言葉を見ていないが、「ビートルズ革命」で、
「ヘルプ」を気に入った曲に挙げ、「本当に、その気で作ったから」、
「あの歌にこめられているとおりの気持ちで歌った。」と、語っていて、
確かに、70年のジョンは、ヘルプが心の叫びと思っていたようだ。
この話は、いつものことだが、ビートルズに夢中だった中学時代や、
30才になって、CDのボックスセットを買ったときには、気がつかず、
この十数年の、自分にとって、比較的新しめとなるビートルズ本で、
知ることになるわけで、音楽、演奏も含めて、初耳のことが多すぎ。
「全曲バイブル」に「213曲全ガイド」、「ビートルズを聴こう」にまで、
載っているから、どこかでジョンが語ったのだろうが、ジョンの癖で、
けっこう思いつきで言ったり、後付けのつじつま合わせ、我田引水、
何より、周囲が期待するように、話を盛ることもあるので、要注意。
ジョンは、ヘルプの頃の自分を自虐的に、「太ったエルビス時代」と、
言っていたそうで、そう言われると、映画の中でテーマを演奏する、
黒のタートルにタイツ姿は、ポールやジョージに比べて、足も太く、
全体的に横に広がった感じで、顔も丸く、確かに太っているようだ。
ところが、この曲を数ヵ月後にライブ演奏したとき、ジョンお得意の、
歌詞の度忘れもある映像は、ジョンの頬はこけていて、ストレスで、
過食と拒食を繰り返していたのだろうか、やっぱり、辛かったんだ、
気づいてやれずに、ごめんよジョンと、今さらながらに感じてしまう。
ポールにしても、当時はわからなかったと、回想しているようだが、
そのポールがつけたコーラス、蛙の歌の輪唱よりも、高度なハモリ、
追いかけっこをするようなカウンターメロディが、この曲をよりポップ、
キャッチーにしていて、2人がいたからこそ、単独曲も磨きがかかる。
このハモリは、ポールとジョージが、ほとんどユニゾンで、ジョンとは、
ずれて歌うから、ハモリを間違えることの多い自分でも、中学の頃に、
覚えたとおりだが、最初の「Help」を、ジョンは歌わず、呼応するよう、
「I need somebody」と続けるのは、バンドスコアで初めて知った。
さらに、最後の「Help me」を繰り返す際でも、ジョンは、「Help」は、
歌わずに、「me」だけを叫んでいて、これは、確かに映画で見ても、
ジョージとジョンを交互にアップ、ただ、「Won't you please~」で、
ジョンが上のパートへ行くはずが、バンドスコアでは下になっている。
こんな時には、YouTubeのビートルズ・ヴォーカル・ハーモニーが、
頼りで、覚えていたとおり、ジョンが高音と判明し、それは良いが、
このファルセットの高音が、自分の音域より上で、かすれてしまい、
何度か無理して歌うと、もうその日は、低い声も出なくなってしまう。
その高音で伸ばすときに、ジョンがギターのボディを叩いていると、
これまた、ビートルズ本に書いてあり、そんなの気がつかないよと、
演奏場面を見直すと、カメラが引いて、4人の全景になった場面で、
確かにジョンは叩いていて、当て振りでもやるほど、お気に入りか。
そこに合わせるように、ジョージが弾く、半音下降のアルペジオは、
ライブでは雑だが、レコードでは、ハイテクのスイープ奏法のごとく、
リズムも正確なら、ミュートも完璧で、何でも、うまく弾けないからと、
歌や演奏を先に録音して、あとから別トラックにダビングしたそうだ。
川瀬泰雄「真実のビートルズ・サウンド」は、このフレーズに触れて、
2・3弦が開放で、4・5弦を半音ずつ下げていくのに、気づいた時、
嬉しかったと書いてあるが、自分が、中学時代に持っていたスコア、
赤盤の表紙のものは、音も間違っているアルペジオフレーズだった。
これも、映画を見ると、ジョージが、4弦と5弦だけを押さえて下降し、
2・3弦の開放を鳴らしているのが、はっきりとわかり、それ以外も、
ジョンがどのポジションでコードを弾いているか、リンゴが叩くのは、
シンバルかオープンハイハットかなど、映像のある曲はありがたい。
映像のジョンは、愛用のギブソンJ160Eを弾いているが、録音は、
映画の「悲しみをぶっとばせ」の場面で弾いた、フラマスの12弦で、
確かに、オクターブ弦の音や、ユニゾン弦のダブリングの音がして、
自分は、アコギを2回重ねて、片方はハイポジションで弾いている。
ビートルズの主演映画第二弾の主題歌「ヘルプ」は、キャッチーで、
軽快な曲だが、実はジョンの苦しみを歌っていたという、いわくつき、
それでも、映画を思い浮かべ、体をゆすりながら歌ってしまう自分で、
かなりのなりきりジョンとはいえ、ファルセットがどうしても無理です。
新宿武蔵野館に見に行ったのが、ビートルズとの出会いで、
コメディ路線の「ヘルプ!」、日常のドキュメンタリータッチで、
4人が明るくはじけている「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」に魅かれる。
友人に借りた「オールディーズ」で、一気に大ファンになると、
きっかけの映画も、3本立てを、翌年の夏にも見に行ったり、
ビートルズ・シネ・クラブの復活祭や、テレビ放映でも見たり、
音声を収録した海賊盤を買って、台詞までも覚えようとした。
リバイバル上映に何度も足を運んだのは、ビートルズ以外は、
「燃えよドラゴン」くらいだし、テレビを録画できるようになって、
何度も繰り返して見たのは、「私をスキーに連れてって」とか、
「トップガン」くらいで、ビートルズ映画は、自分の中で断トツ。
DVDも、ギターや手品の教則DVDは、数多いが、映画では、
子供たち用のアニメを別にすれば、ビートルズの作品だけで、
この歳になっても、というか、ますます、ビートルズに回帰して、
何度見ても飽きず、新しい発見があるのは、彼らの曲と同様。
「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」は、始まるなり、
あのジャーンのイントロが響き渡り、そのテーマ曲をバックに、
ファンに追いかけられ、駅構内を走り回るビートルズが登場し、
その場面だけでも、見ていて楽しく、全編に躍動感があふれる。
「ヘルプ!4人はアイドル」は、何やらおどろおどろしい感じの、
生贄の儀式の場面から始まるが、いきなり、「♪ヘールプ!」の、
歌声と共に白黒画面に切り替わり、演奏するビートルズの姿が、
映し出されて、あれ、前作みたいに白黒になったのかと戸惑う。
すると、色付きのダーツの矢が画面に突き刺さり、何かと思うと、
儀式を中断した司祭が、苦々しく、ビートルズの映画を見ていて、
腹立ち紛れに、ダーツを投げつけているという光景だとわかるし、
「THE BEATLES」や、「HELP」のタイトルも、画面にかぶってくる。
これは、凝った演出だし、何よりも、演奏のカメラワークも見事で、
リンゴの叩くスティックさばき、ジョージのギターを押さえる手元、
ジョンのかき鳴らすアコギの弦の振動、ベースのネックを抱えて、
振りかざすポールと、顔のアップと共に、テンポよく切り替わる。
コピーバンドの演奏で、ポール役の人が、よくベースを縦にして、
ロックギタリスト並みのポーズをとる光景を見て、ポール自身は、
こんなことしていたっけと思っていたが、歌っているジョンの方に、
ピントが合う中、シルエットで写るポールがポーズをきめていた。
映画の邦題の「4人はアイドル」のとおりに、演奏している4人は、
「誰か助けてくれ」という歌詞とは裏腹に、にこやかに笑っていて、
掛け合いコーラスが、疾走感あふれる曲、まさに映画の主題歌、
そう思って長年聴いていたが、ジョンは、そうではなかったと言う。
後年、ジョンはアイドルの多忙な日々に疲れ、どうか助けてくれと、
心の真の叫びだったと語ったそうで、自分は、そんなことも知らず、
映画の画面を思い浮かべては、格好良いなあと、口ずさんでいて、
ジョンの苦しみに気づくこともないまま、ジョン派を公言していた。
ただ、この曲は、映画のタイトルが先行していて、それに合わせて、
ジョンが曲を書いたはずだし、嬉々として歌っていたじゃないかと、
突っ込みを入れたくなるが、そこはジョン、当時は自分も気づかず、
後になって、この叫びが本心だったと判ったのだ、と言ったらしい。
自分は、実際のジョンの言葉を見ていないが、「ビートルズ革命」で、
「ヘルプ」を気に入った曲に挙げ、「本当に、その気で作ったから」、
「あの歌にこめられているとおりの気持ちで歌った。」と、語っていて、
確かに、70年のジョンは、ヘルプが心の叫びと思っていたようだ。
この話は、いつものことだが、ビートルズに夢中だった中学時代や、
30才になって、CDのボックスセットを買ったときには、気がつかず、
この十数年の、自分にとって、比較的新しめとなるビートルズ本で、
知ることになるわけで、音楽、演奏も含めて、初耳のことが多すぎ。
「全曲バイブル」に「213曲全ガイド」、「ビートルズを聴こう」にまで、
載っているから、どこかでジョンが語ったのだろうが、ジョンの癖で、
けっこう思いつきで言ったり、後付けのつじつま合わせ、我田引水、
何より、周囲が期待するように、話を盛ることもあるので、要注意。
ジョンは、ヘルプの頃の自分を自虐的に、「太ったエルビス時代」と、
言っていたそうで、そう言われると、映画の中でテーマを演奏する、
黒のタートルにタイツ姿は、ポールやジョージに比べて、足も太く、
全体的に横に広がった感じで、顔も丸く、確かに太っているようだ。
ところが、この曲を数ヵ月後にライブ演奏したとき、ジョンお得意の、
歌詞の度忘れもある映像は、ジョンの頬はこけていて、ストレスで、
過食と拒食を繰り返していたのだろうか、やっぱり、辛かったんだ、
気づいてやれずに、ごめんよジョンと、今さらながらに感じてしまう。
ポールにしても、当時はわからなかったと、回想しているようだが、
そのポールがつけたコーラス、蛙の歌の輪唱よりも、高度なハモリ、
追いかけっこをするようなカウンターメロディが、この曲をよりポップ、
キャッチーにしていて、2人がいたからこそ、単独曲も磨きがかかる。
このハモリは、ポールとジョージが、ほとんどユニゾンで、ジョンとは、
ずれて歌うから、ハモリを間違えることの多い自分でも、中学の頃に、
覚えたとおりだが、最初の「Help」を、ジョンは歌わず、呼応するよう、
「I need somebody」と続けるのは、バンドスコアで初めて知った。
さらに、最後の「Help me」を繰り返す際でも、ジョンは、「Help」は、
歌わずに、「me」だけを叫んでいて、これは、確かに映画で見ても、
ジョージとジョンを交互にアップ、ただ、「Won't you please~」で、
ジョンが上のパートへ行くはずが、バンドスコアでは下になっている。
こんな時には、YouTubeのビートルズ・ヴォーカル・ハーモニーが、
頼りで、覚えていたとおり、ジョンが高音と判明し、それは良いが、
このファルセットの高音が、自分の音域より上で、かすれてしまい、
何度か無理して歌うと、もうその日は、低い声も出なくなってしまう。
その高音で伸ばすときに、ジョンがギターのボディを叩いていると、
これまた、ビートルズ本に書いてあり、そんなの気がつかないよと、
演奏場面を見直すと、カメラが引いて、4人の全景になった場面で、
確かにジョンは叩いていて、当て振りでもやるほど、お気に入りか。
そこに合わせるように、ジョージが弾く、半音下降のアルペジオは、
ライブでは雑だが、レコードでは、ハイテクのスイープ奏法のごとく、
リズムも正確なら、ミュートも完璧で、何でも、うまく弾けないからと、
歌や演奏を先に録音して、あとから別トラックにダビングしたそうだ。
川瀬泰雄「真実のビートルズ・サウンド」は、このフレーズに触れて、
2・3弦が開放で、4・5弦を半音ずつ下げていくのに、気づいた時、
嬉しかったと書いてあるが、自分が、中学時代に持っていたスコア、
赤盤の表紙のものは、音も間違っているアルペジオフレーズだった。
これも、映画を見ると、ジョージが、4弦と5弦だけを押さえて下降し、
2・3弦の開放を鳴らしているのが、はっきりとわかり、それ以外も、
ジョンがどのポジションでコードを弾いているか、リンゴが叩くのは、
シンバルかオープンハイハットかなど、映像のある曲はありがたい。
映像のジョンは、愛用のギブソンJ160Eを弾いているが、録音は、
映画の「悲しみをぶっとばせ」の場面で弾いた、フラマスの12弦で、
確かに、オクターブ弦の音や、ユニゾン弦のダブリングの音がして、
自分は、アコギを2回重ねて、片方はハイポジションで弾いている。
ビートルズの主演映画第二弾の主題歌「ヘルプ」は、キャッチーで、
軽快な曲だが、実はジョンの苦しみを歌っていたという、いわくつき、
それでも、映画を思い浮かべ、体をゆすりながら歌ってしまう自分で、
かなりのなりきりジョンとはいえ、ファルセットがどうしても無理です。

自分がビートルズを聴き始めたのは、中2の74年夏で、とっくに、
ビートルズは解散していたし、各メンバーのソロ作品も、すでに、
最初の主要なアルバムは出揃っていて、完全な後追い世代で、
後期のサウンド革命や解散も知ったうえで、前期の曲を聴いた。
初めて聴いたレコードは、友人が貸してくれた「オールディーズ」、
これは、ビートルズが現役時代に出した、唯一のベスト盤であり、
すでに各2枚組の前期、後期のベスト盤、赤盤・青盤も出ていて、
ラジオの特番もあり、発売順と関係なく、いろいろな曲が聴けた。
「オールディーズ」は、A面が、「シー・ラヴズ・ユー」から始まって、
次が「フロム・ミー・トゥーユー」と、デビューした頃のヒット曲だが、
3曲目は、「恋を抱きしめよう」と、「ラバー・ソウル」の頃にとんで、
B面の最後も、「エリナー・リグビー」から、「抱きしめたい」となる。
「サージェントペパーズ」の録音に時間をかけ、年末商戦向けの、
アルバムを作らなかったので、苦肉の策で出されたベスト盤だが、
前期・後期を分ける「ペパーズ」以前のシングル曲がメインとなり、
後追いながら、後期を敬遠しがちな初心者に、うってつけだった。
そして、そんな初心者の自分でも、デビューしたばかりの曲に比べ、
「ラバー・ソウル」、「リボルバー」の曲は違っていると、わかったが、
単純にギターバンドの編成から、ピアノ、オルガン、ストリングスが、
加わったという、サウンドの変化を感じただけにすぎない気もする。
自分で最初に買ったLPは、日本編集の1枚目「ビートルズ!」で、
かなり聴き込んでいるが、「フロム・ミー・トゥーユー」を口ずさむと、
いまだに、そのまま続けて、「恋を抱きしめよう」を歌ってしまうから、
「オールディーズ」のテープを、どれだけ再生しまくったのかと思う。
「恋を抱きしめよう」は、「デイ・トリッパー」と、両A面という形で出た、
シングル盤で、A・B面のないCDや、好きな曲だけダウンロードし、
音楽を聴く今日では、曲順さえ意味を持たないが、ドーナッツ盤は、
どちらがA面かは大きいし、下手すればB面は捨て曲の歌手も多い。
ビートルズに捨て曲なしが、中学時代からの持論で、それどころか、
シングルヒット曲をLPに入れなくても、LP向けに名曲を作っていたし、
ジョンとポールで、どっちがA面かを競ったという話もあり、ついには、
両A面のシングルとなったが、自分は両A面というのは疑問がある。
両A面とは、どういうスタンスになるのか、レコードの売り上げ順位は、
セットと考えて、1位になったら、どちらも1位を取ったことになるのか、
ラジオなどで個々の曲として、リクエストがあれば、別々にカウントし、
有線大賞など、片方が受賞するのか、この曲に限らず不思議に思う。
そんな疑問を当時の日本のレコード会社も抱いたのか、両A面という、
概念がなかったのか、「恋を抱きしめよう」をA面とし、シングルを出し、
そのうえ、原題「We Can Work It Out」、「僕らは上手くいく」なのに、
「抱きしめたい」にあやかるような邦題で、売らんかなの意図が明白。
そう皮肉を言いつつも、「恋を抱きしめよう」を口ずさんでいる自分は、
ビートルズを聴き始めた頃には、邦題ゆえに魅かれたのかもしれず、
トホホな邦題が多い中、「悲しみをぶっとばせ」、「涙の乗車券」とか、
「恋する二人」「恋におちたら」など、邦題がヒットに貢献した気もする。
「オールディーズ」を聴いていて、「恋を抱きしめよう」がデビュー時と、
明らかに違って聴こえたのは、ジョンの弾くハーモニウムの音に加え、
途中で急にワルツになるのが、何だかすごいことに思ったし、それは、
「イエスタデイ」や「エリナー・リグビー」の、オーケストラ以上に感じた。
ハーモニウムの音が、アコーディオンやスチームオルガンにも聴こえ、
ワルツの部分は、まるでサーカスを思わせて、完全に後付なのだが、
「ペパーズ」の「ミスター・カイト」における、サーカス小屋のサウンドは、
この曲があってこそ、ジョンがイメージを膨らませたと、取れなくもない。
このワルツは、ジョージが提案したそうで、ポールの案と思っていたが、
こうやって、ビートルズ時代は、4人で曲を作り上げたのだと感慨深く、
曲自体が、「うまくいくさ」と楽観的なポールのメロディに、サビの部分、
「人生は短いしな」と突っ込んでくるジョンが、スパイスをきかせている。
必ずしも、ポールが楽観的、能天気で、ジョンが悲観的で皮相的だと、
役割分担しているのでもないだろうが、「シーズ・リービング・ホーム」で、
家を飛び出し、恋人の元へ向かう女性の喜びを歌うポールに対して、
「育ててやったのに」と親の恨み節を歌うジョンが、見事な対比だった。
「みんなのうた」のおばあさんの歌で、茶の間に浸透した吉田山田が、
「ガムシャランナー」で、「頑張れば夢は叶う」、「ただ、頑張るだけじゃ、
叶わない」と歌ったとき、これは、ジョンとポールだ、吉田山田だって、
レノン=マッカートニーのパクリみたいだと、勝手に結び付けていた。
「恋を抱きしめよう」にミュージックフィルムがあるのは、昨年の暮れに、
「ビートルズ1+」の映像集が出るまで、知らなかったし、別テイクでは、
ジョンが楽譜の代りに、変顔のイラストを置いて、ポールをからかって、
最後にポールが吹き出し、ドヤ顔のジョンという微笑ましい場面がある。
レコーディングでは、ジョンが映像と同様に、ハーモニウムを弾いたが、
それはダビング時で、最初はジョンがアコギで、ジョージはタンバリンで、
これまた、アコギはジョージ説もあるものの、16ビートのカッティングは、
ジョージには無理だから、ジョンだと切って捨てるビートルズ本まである。
さらに、ジョンが、ギブソンJ160Eと、フラマス12弦ギターの説もあって、
「ヘルプ」では、映画で弾くギブソンと違って、確かに12弦の音がするが、
「恋を抱きしめよう」は、エフェクトが掛けられた、ダブリングの音であって、
12弦のオクターブ弦の響きではないように思えて、相変わらず謎だらけ。
ポールがアンプラグド形式で、この曲を歌ったのが、YouTubeで見られて、
アコギを弾いているうえに、一般的なコードの押さえ方と少し変えていて、
Cコードで1弦3フレットを、小指で押さえたり、Gコードで2弦3フレットを、
薬指で押さえていて、これは、他の曲にも出てくるジョンの癖の押さえ方。
ポールが、サビのハモリで、ジョンのパートに固執して、歌っているように、
ギターでも、ジョンのカッティングパターンを再現して、コードの押さえ方も、
ジョンを真似たかと思いつつ、2人が出会った頃、バンジョーのコードしか、
知らないジョンにポールが教えたから、もともとポールの手癖の可能性も。
近年のライブで、「ペーパーバック・ライター」を演奏する際、カジノを抱え、
「これがオリジナルだ。」とコメントしたように、ポールがビートルズの曲を、
再演する時は、自分が弾いた楽器を使う説があり、「恋を抱きしめよう」も、
ポールがギターを弾いた疑惑もあるが、ここは、ヘフナーベースでしょう。
YouTubeでは、海賊盤のリハーサルテイクが聴けて、ポールの弾き語りで、
サビの部分もなく、ギターのストロークも8ビートで、レコードのギターは、
やはりジョンで決まりだろうが、こうしたテイクは、「ホワイト・アルバム」の、
イーシャーデモも同様、曲を仕上げていく過程が分かり、すごくありがたい。
ハーモニウムは、ギターシンセで、ハーモニカやアコーディオンの音にして、
フワーッと湧き上がるような、立ち上がりの音は、アタック音を調整するが、
サビでは最初から鳴り続けて、足踏みオルガン式で強弱をつけていたのか、
ピアニカで吹いたら良い気もするが、子どもたちのピアニカは処分していた。
自分が最初に聴いたLP「オールディーズ」に収録の、「恋を抱きしめよう」は、
今も歌詞を覚えていると思ったら、思い違いの単語もあったり、年のせいか、
ろれつが回らなかったりで、何よりも、ポールの高音がきつくて、かろうじて、
ジョンのハモリはと思ったら、音程が不安定で、ちょっと、いいとこなしでした。
ビートルズは解散していたし、各メンバーのソロ作品も、すでに、
最初の主要なアルバムは出揃っていて、完全な後追い世代で、
後期のサウンド革命や解散も知ったうえで、前期の曲を聴いた。
初めて聴いたレコードは、友人が貸してくれた「オールディーズ」、
これは、ビートルズが現役時代に出した、唯一のベスト盤であり、
すでに各2枚組の前期、後期のベスト盤、赤盤・青盤も出ていて、
ラジオの特番もあり、発売順と関係なく、いろいろな曲が聴けた。
「オールディーズ」は、A面が、「シー・ラヴズ・ユー」から始まって、
次が「フロム・ミー・トゥーユー」と、デビューした頃のヒット曲だが、
3曲目は、「恋を抱きしめよう」と、「ラバー・ソウル」の頃にとんで、
B面の最後も、「エリナー・リグビー」から、「抱きしめたい」となる。
「サージェントペパーズ」の録音に時間をかけ、年末商戦向けの、
アルバムを作らなかったので、苦肉の策で出されたベスト盤だが、
前期・後期を分ける「ペパーズ」以前のシングル曲がメインとなり、
後追いながら、後期を敬遠しがちな初心者に、うってつけだった。
そして、そんな初心者の自分でも、デビューしたばかりの曲に比べ、
「ラバー・ソウル」、「リボルバー」の曲は違っていると、わかったが、
単純にギターバンドの編成から、ピアノ、オルガン、ストリングスが、
加わったという、サウンドの変化を感じただけにすぎない気もする。
自分で最初に買ったLPは、日本編集の1枚目「ビートルズ!」で、
かなり聴き込んでいるが、「フロム・ミー・トゥーユー」を口ずさむと、
いまだに、そのまま続けて、「恋を抱きしめよう」を歌ってしまうから、
「オールディーズ」のテープを、どれだけ再生しまくったのかと思う。
「恋を抱きしめよう」は、「デイ・トリッパー」と、両A面という形で出た、
シングル盤で、A・B面のないCDや、好きな曲だけダウンロードし、
音楽を聴く今日では、曲順さえ意味を持たないが、ドーナッツ盤は、
どちらがA面かは大きいし、下手すればB面は捨て曲の歌手も多い。
ビートルズに捨て曲なしが、中学時代からの持論で、それどころか、
シングルヒット曲をLPに入れなくても、LP向けに名曲を作っていたし、
ジョンとポールで、どっちがA面かを競ったという話もあり、ついには、
両A面のシングルとなったが、自分は両A面というのは疑問がある。
両A面とは、どういうスタンスになるのか、レコードの売り上げ順位は、
セットと考えて、1位になったら、どちらも1位を取ったことになるのか、
ラジオなどで個々の曲として、リクエストがあれば、別々にカウントし、
有線大賞など、片方が受賞するのか、この曲に限らず不思議に思う。
そんな疑問を当時の日本のレコード会社も抱いたのか、両A面という、
概念がなかったのか、「恋を抱きしめよう」をA面とし、シングルを出し、
そのうえ、原題「We Can Work It Out」、「僕らは上手くいく」なのに、
「抱きしめたい」にあやかるような邦題で、売らんかなの意図が明白。
そう皮肉を言いつつも、「恋を抱きしめよう」を口ずさんでいる自分は、
ビートルズを聴き始めた頃には、邦題ゆえに魅かれたのかもしれず、
トホホな邦題が多い中、「悲しみをぶっとばせ」、「涙の乗車券」とか、
「恋する二人」「恋におちたら」など、邦題がヒットに貢献した気もする。
「オールディーズ」を聴いていて、「恋を抱きしめよう」がデビュー時と、
明らかに違って聴こえたのは、ジョンの弾くハーモニウムの音に加え、
途中で急にワルツになるのが、何だかすごいことに思ったし、それは、
「イエスタデイ」や「エリナー・リグビー」の、オーケストラ以上に感じた。
ハーモニウムの音が、アコーディオンやスチームオルガンにも聴こえ、
ワルツの部分は、まるでサーカスを思わせて、完全に後付なのだが、
「ペパーズ」の「ミスター・カイト」における、サーカス小屋のサウンドは、
この曲があってこそ、ジョンがイメージを膨らませたと、取れなくもない。
このワルツは、ジョージが提案したそうで、ポールの案と思っていたが、
こうやって、ビートルズ時代は、4人で曲を作り上げたのだと感慨深く、
曲自体が、「うまくいくさ」と楽観的なポールのメロディに、サビの部分、
「人生は短いしな」と突っ込んでくるジョンが、スパイスをきかせている。
必ずしも、ポールが楽観的、能天気で、ジョンが悲観的で皮相的だと、
役割分担しているのでもないだろうが、「シーズ・リービング・ホーム」で、
家を飛び出し、恋人の元へ向かう女性の喜びを歌うポールに対して、
「育ててやったのに」と親の恨み節を歌うジョンが、見事な対比だった。
「みんなのうた」のおばあさんの歌で、茶の間に浸透した吉田山田が、
「ガムシャランナー」で、「頑張れば夢は叶う」、「ただ、頑張るだけじゃ、
叶わない」と歌ったとき、これは、ジョンとポールだ、吉田山田だって、
レノン=マッカートニーのパクリみたいだと、勝手に結び付けていた。
「恋を抱きしめよう」にミュージックフィルムがあるのは、昨年の暮れに、
「ビートルズ1+」の映像集が出るまで、知らなかったし、別テイクでは、
ジョンが楽譜の代りに、変顔のイラストを置いて、ポールをからかって、
最後にポールが吹き出し、ドヤ顔のジョンという微笑ましい場面がある。
レコーディングでは、ジョンが映像と同様に、ハーモニウムを弾いたが、
それはダビング時で、最初はジョンがアコギで、ジョージはタンバリンで、
これまた、アコギはジョージ説もあるものの、16ビートのカッティングは、
ジョージには無理だから、ジョンだと切って捨てるビートルズ本まである。
さらに、ジョンが、ギブソンJ160Eと、フラマス12弦ギターの説もあって、
「ヘルプ」では、映画で弾くギブソンと違って、確かに12弦の音がするが、
「恋を抱きしめよう」は、エフェクトが掛けられた、ダブリングの音であって、
12弦のオクターブ弦の響きではないように思えて、相変わらず謎だらけ。
ポールがアンプラグド形式で、この曲を歌ったのが、YouTubeで見られて、
アコギを弾いているうえに、一般的なコードの押さえ方と少し変えていて、
Cコードで1弦3フレットを、小指で押さえたり、Gコードで2弦3フレットを、
薬指で押さえていて、これは、他の曲にも出てくるジョンの癖の押さえ方。
ポールが、サビのハモリで、ジョンのパートに固執して、歌っているように、
ギターでも、ジョンのカッティングパターンを再現して、コードの押さえ方も、
ジョンを真似たかと思いつつ、2人が出会った頃、バンジョーのコードしか、
知らないジョンにポールが教えたから、もともとポールの手癖の可能性も。
近年のライブで、「ペーパーバック・ライター」を演奏する際、カジノを抱え、
「これがオリジナルだ。」とコメントしたように、ポールがビートルズの曲を、
再演する時は、自分が弾いた楽器を使う説があり、「恋を抱きしめよう」も、
ポールがギターを弾いた疑惑もあるが、ここは、ヘフナーベースでしょう。
YouTubeでは、海賊盤のリハーサルテイクが聴けて、ポールの弾き語りで、
サビの部分もなく、ギターのストロークも8ビートで、レコードのギターは、
やはりジョンで決まりだろうが、こうしたテイクは、「ホワイト・アルバム」の、
イーシャーデモも同様、曲を仕上げていく過程が分かり、すごくありがたい。
ハーモニウムは、ギターシンセで、ハーモニカやアコーディオンの音にして、
フワーッと湧き上がるような、立ち上がりの音は、アタック音を調整するが、
サビでは最初から鳴り続けて、足踏みオルガン式で強弱をつけていたのか、
ピアニカで吹いたら良い気もするが、子どもたちのピアニカは処分していた。
自分が最初に聴いたLP「オールディーズ」に収録の、「恋を抱きしめよう」は、
今も歌詞を覚えていると思ったら、思い違いの単語もあったり、年のせいか、
ろれつが回らなかったりで、何よりも、ポールの高音がきつくて、かろうじて、
ジョンのハモリはと思ったら、音程が不安定で、ちょっと、いいとこなしでした。

74年、中2の夏休みに、友人に誘われて、新宿武蔵野館まで、
ビートルズの映画を見に行ったのが、ビートルズとの出会いで、
最初は、音楽よりも映画の方が気に入り、特に「ヘルプ」などは、
以前に見た、クレイジーボーイズのコメディ路線で面白かった。
もともと、映画のパンフを集めたり、映画音楽を聴くのが好きで、
気に入った映画は、全部の曲を聴こうと、「80日間世界一周」、
「スヌーピーとチャーリー」、「燃えよドラゴン」などサントラ盤を、
買っていたので、友人にビートルズのサントラはないか尋ねる。
今思えば、「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」と「ヘルプ」は、米国編集盤が、
純粋なサントラ盤だし、「レット・イット・ビー」もサントラに近いが、
友人が貸してくれたのは、ベスト盤「オールディーズ」で、これは、
「抱きしめたい」、「シー・ラヴズ・ユー」と、ヒット曲が満載だった。
映画からも、「ハード・デイズ・ナイト」、「キャント・バイ・ミー・ラブ」
「ヘルプ」、「涙の乗車券」があり、サントラ盤が聴きたいという、
自分の要望に応えてくれていたし、それ以上に、音楽そのもの、
ビートルズが、ものすごく気に入り、まさに人生を変えた1枚に。
思い出すにつけ、不思議なのが、「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」の中で、
「シー・ラブズ・ユー」も歌ったし、「恋する二人」、「恋におちたら」、
「アンド・アイ・ラヴ・ハー」もあるし、「ヘルプ」もタイトル曲も含め、
名曲ばかりなのに、映画を見て、すぐに夢中にならなかったこと。
「レット・イット・ビー」にしても、解散していくドキュメントのような、
暗い印象はあったが、タイトル曲に、「ドント・レット・ミー・ダウン」、
「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」や、「ゲット・バック」と、
初心者が敬遠しがちな後期にあって、ストレートな曲が多かった。
もちろん、映画のストーリーだけではなく、音楽にも魅かれたから、
友人にLPを借りたのだろうが、あの時、スクリーンから流れた曲、
「ハード・デイズ・ナイト」のイントロのジャーン一発に、ノックアウト、
そんな劇的な出会いではなかったのは、ちょっと残念な気がする。
「オールディーズ」は、活動期間中に出た、唯一の公式ベスト盤で、
デビュー当時から、中期の「ラバーソウル」、「リボルバー」を網羅、
シングルヒット曲に名曲が満載で、後追い世代の自分にとっては、
赤盤・青盤もあったが、曲数も手ごろで、入門用にぴったりだった。
リアルタイム世代は、ビートルズが変化していく過程を体験できて、
次はどんな新曲か、いつ出るのかと、楽しみにしていたのとは逆に、
後追い世代だと、すべての曲は出揃って、順番もバラバラで聴くし、
解散したこともわかっているという、後出しジャンケンのような気分。
自分などは、初めて曲を聴いた映画館で、「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」と、
ラストアルバムである「レット・イット・ビー」の曲を、同時に聴いたし、
LPも、「オールディーズ」が最初だから、「フロム・ミー・トゥ・ユー」と
「抱きしめたい」を、「イエスタデイ」や「エリナー・リグビー」と同時に。
「オールディーズ」は、赤盤・青盤でいう赤の時代、前期の曲を収録、
ただ、前期も、ビートルズの曲は変化していて、初心者の自分でも、
初期の「抱きしめたい」「シー・ラヴズ・ユー」と、中期の「ミッシェル」、
「恋を抱きしめよう」とは、明らかに別物という雰囲気が感じとれた。
そうした中、「バッドボーイ」だけは、さらに違う印象で、後になって、
この曲は、レノン=マッカートニーによる、オリジナル曲ではなくて、
アマ時代のレパートリー、カバー曲だと知り、シャウトするジョンも、
良いことは良いが、このLPの中では、一番ランキングが低かった。
「オールディーズ」が出た背景は、毎年、クリスマス商戦に向けて、
発売日に間に合うよう、苦労して新曲を用意し、録音してきたが、
66年後半は、コンサートを中止すると同時に、レコーディングにも、
時間をかけることになり、年末のLP発売など、気にもとめなくなる。
苦肉の策として、レコード会社は、ベスト盤の発売を決めたようで、
既発の曲ばかりでは売れないと判断したのか、唯一の新曲として、
イギリスでは、シングル、アルバムともに収録されていなかった曲、
「バッドボーイ」を入れて、日本盤では、帯に大々的に明記された。
後にビートルズ本で、「ヘルプ」に収録の「ディジー・ミス・リジー」と、
同じ日に録音したと知って、「ヘルプ」も最後の最後に曲が足りず、
カバー曲を録音して、「バッドボーイ」が、没になったのか、それを、
「オールディーズ」で、何か曲が必要となって、使ったのかと思った。
ところが、実際は、もっと話が複雑で、悪名高き(?)米盤のやり方、
英国のLPから曲を間引きし、浮いた曲で、別のLPを作っていたが、
「ビートルズⅥ」を出すのに、浮かせた曲では足りず、キャピトルに、
「何でも良いから、2曲寄こせ」と言われ、カバー曲を録音したとか。
結果オーライではないが、そのおかげで、ジョンがビートルズ時代、
最後にカバーした曲として、見事なシャウトの曲が、2曲も残って、
「ツイスト&シャウト」には及ばないとしても、ダブルトラックでもなく、
レスリーのエフェクト加工もしていない、ドスの効いた歌声が聴ける。
中学時代、目標かつ憧れだった日本一のビートルズ・コピー・バンド、
バッドボーイズは、たぶん、この「バッドボーイ」がバンド名の由来で、
偶然の一致ということはないだろうが、自分たちのテーマ曲のように、
この曲を歌うことはなかったし、ライブで披露したことはあったろうか。
バッドボーイズは、各メンバーが、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴと、
芸名のごとく名乗り、ピアノやシンセは使わなくても、4人編成のまま、
ほとんど完コピで、ビートルズの曲を再現したし、コーラスも見事で、
各ボーカルも、声質は本物と違っていても、雰囲気がそっくりだった。
YouTubeでよくヒットする、札幌のコピーバンドは、ジョン役の人が、
そっくりの声ではないが、すごくドスの効いた声でシャウトしていて、
日本のコピーバンドに多い、ムード歌謡やフォークの歌い方と違い、
格好良く、ポール役の人が、「自慢のジョンです。」と言うのに同感。
日本のバンドは、英語の発音だけでも、海外に比べハンディなのに、
年配の人は、カラオケ演歌が得意なのか、ムード歌謡の雰囲気で、
若い連中は、まるで「ゆず」のように、甲高い金切り声で歌っていて、
バッドボーイズのような正統派のバンドは、そうそういないのだろう。
肝心の自分はどうかと言われたら、ジョンの声に憧れても、叶わず、
昔、声楽をやっている人から、「音痴は練習でましになるし、悪声も、
ロックだから人好き好きだが、君は話し声でも破裂音がひどいから、
歌には向かない、ギターだけ弾いていなさい。」と、言われたことも。
破裂音なんて、当時気にもしなくて、要は下手ってことだろうくらいに、
思っていたが、こうして自分の歌を録音して聴くようになると、カ行で、
舌打ちしたようなノイズがひどく、パ行では、唇の辺りでノイズが出て、
サ行は、歯抜けのスースーした音で、これは発声練習以前の問題。
それでも、何とか、めげずに歌っているが、英語の発音が難しいうえ、
歌詞カードの間違いは、CDになっても、修正していないものが多くて、
自分のヒヤリングが悪いのかと、必死で歌詞カードを見ながら歌うと、
やはりカードが違っていて、また歌い直して、声が枯れていくばかり。
ジョージの弾くリードギターは、左右から鳴るが、かなり、ずれていて、
ボーカルのダブルトラックのようにと、ユニゾンでダビングしたものの、
間奏だけでなく、歌の合間のオブリガードまで、アドリブで弾いたから、
自分のフレーズを、そっくりに、なぞるのが、できなかったと思われる。
ジョンの弾くリフは、「ロール・オーバー・ベートーベン」などで聴ける、
典型的なロックンロールのリフとは違って、通常、ルート音に対して、
5度、6度、7度、6度と動くところを、1度、2度、♭3度、5度、6度で、
まるでベースラインのように動き、原曲のホーンのリフを真似ている。
ポールのベースも、ジョンとユニゾンにするとか、ロックのリフにせず、
オクターブ高いルート音から始めて、3・4拍目は、低い音程に戻って、
原曲ではどうだったか、かなり、いじっているように思うし、だいたい、
ジョンのボーカル自体、わりとソフトな原曲と違い、叫びまくっている。
ビートルズの公式ベスト盤にして、自分が初めて聴いたLPでもある、
「オールディーズ」から、ジョンが敬愛するラリー・ウィリアムスのカバー、
「バッドボーイ」は、ジョンのシャウトがすさまじくて、ポールの曲よりは、
音程が低いものの、ドスの効いた声に程遠いまま、かすれています。
ビートルズの映画を見に行ったのが、ビートルズとの出会いで、
最初は、音楽よりも映画の方が気に入り、特に「ヘルプ」などは、
以前に見た、クレイジーボーイズのコメディ路線で面白かった。
もともと、映画のパンフを集めたり、映画音楽を聴くのが好きで、
気に入った映画は、全部の曲を聴こうと、「80日間世界一周」、
「スヌーピーとチャーリー」、「燃えよドラゴン」などサントラ盤を、
買っていたので、友人にビートルズのサントラはないか尋ねる。
今思えば、「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」と「ヘルプ」は、米国編集盤が、
純粋なサントラ盤だし、「レット・イット・ビー」もサントラに近いが、
友人が貸してくれたのは、ベスト盤「オールディーズ」で、これは、
「抱きしめたい」、「シー・ラヴズ・ユー」と、ヒット曲が満載だった。
映画からも、「ハード・デイズ・ナイト」、「キャント・バイ・ミー・ラブ」
「ヘルプ」、「涙の乗車券」があり、サントラ盤が聴きたいという、
自分の要望に応えてくれていたし、それ以上に、音楽そのもの、
ビートルズが、ものすごく気に入り、まさに人生を変えた1枚に。
思い出すにつけ、不思議なのが、「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」の中で、
「シー・ラブズ・ユー」も歌ったし、「恋する二人」、「恋におちたら」、
「アンド・アイ・ラヴ・ハー」もあるし、「ヘルプ」もタイトル曲も含め、
名曲ばかりなのに、映画を見て、すぐに夢中にならなかったこと。
「レット・イット・ビー」にしても、解散していくドキュメントのような、
暗い印象はあったが、タイトル曲に、「ドント・レット・ミー・ダウン」、
「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」や、「ゲット・バック」と、
初心者が敬遠しがちな後期にあって、ストレートな曲が多かった。
もちろん、映画のストーリーだけではなく、音楽にも魅かれたから、
友人にLPを借りたのだろうが、あの時、スクリーンから流れた曲、
「ハード・デイズ・ナイト」のイントロのジャーン一発に、ノックアウト、
そんな劇的な出会いではなかったのは、ちょっと残念な気がする。
「オールディーズ」は、活動期間中に出た、唯一の公式ベスト盤で、
デビュー当時から、中期の「ラバーソウル」、「リボルバー」を網羅、
シングルヒット曲に名曲が満載で、後追い世代の自分にとっては、
赤盤・青盤もあったが、曲数も手ごろで、入門用にぴったりだった。
リアルタイム世代は、ビートルズが変化していく過程を体験できて、
次はどんな新曲か、いつ出るのかと、楽しみにしていたのとは逆に、
後追い世代だと、すべての曲は出揃って、順番もバラバラで聴くし、
解散したこともわかっているという、後出しジャンケンのような気分。
自分などは、初めて曲を聴いた映画館で、「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」と、
ラストアルバムである「レット・イット・ビー」の曲を、同時に聴いたし、
LPも、「オールディーズ」が最初だから、「フロム・ミー・トゥ・ユー」と
「抱きしめたい」を、「イエスタデイ」や「エリナー・リグビー」と同時に。
「オールディーズ」は、赤盤・青盤でいう赤の時代、前期の曲を収録、
ただ、前期も、ビートルズの曲は変化していて、初心者の自分でも、
初期の「抱きしめたい」「シー・ラヴズ・ユー」と、中期の「ミッシェル」、
「恋を抱きしめよう」とは、明らかに別物という雰囲気が感じとれた。
そうした中、「バッドボーイ」だけは、さらに違う印象で、後になって、
この曲は、レノン=マッカートニーによる、オリジナル曲ではなくて、
アマ時代のレパートリー、カバー曲だと知り、シャウトするジョンも、
良いことは良いが、このLPの中では、一番ランキングが低かった。
「オールディーズ」が出た背景は、毎年、クリスマス商戦に向けて、
発売日に間に合うよう、苦労して新曲を用意し、録音してきたが、
66年後半は、コンサートを中止すると同時に、レコーディングにも、
時間をかけることになり、年末のLP発売など、気にもとめなくなる。
苦肉の策として、レコード会社は、ベスト盤の発売を決めたようで、
既発の曲ばかりでは売れないと判断したのか、唯一の新曲として、
イギリスでは、シングル、アルバムともに収録されていなかった曲、
「バッドボーイ」を入れて、日本盤では、帯に大々的に明記された。
後にビートルズ本で、「ヘルプ」に収録の「ディジー・ミス・リジー」と、
同じ日に録音したと知って、「ヘルプ」も最後の最後に曲が足りず、
カバー曲を録音して、「バッドボーイ」が、没になったのか、それを、
「オールディーズ」で、何か曲が必要となって、使ったのかと思った。
ところが、実際は、もっと話が複雑で、悪名高き(?)米盤のやり方、
英国のLPから曲を間引きし、浮いた曲で、別のLPを作っていたが、
「ビートルズⅥ」を出すのに、浮かせた曲では足りず、キャピトルに、
「何でも良いから、2曲寄こせ」と言われ、カバー曲を録音したとか。
結果オーライではないが、そのおかげで、ジョンがビートルズ時代、
最後にカバーした曲として、見事なシャウトの曲が、2曲も残って、
「ツイスト&シャウト」には及ばないとしても、ダブルトラックでもなく、
レスリーのエフェクト加工もしていない、ドスの効いた歌声が聴ける。
中学時代、目標かつ憧れだった日本一のビートルズ・コピー・バンド、
バッドボーイズは、たぶん、この「バッドボーイ」がバンド名の由来で、
偶然の一致ということはないだろうが、自分たちのテーマ曲のように、
この曲を歌うことはなかったし、ライブで披露したことはあったろうか。
バッドボーイズは、各メンバーが、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴと、
芸名のごとく名乗り、ピアノやシンセは使わなくても、4人編成のまま、
ほとんど完コピで、ビートルズの曲を再現したし、コーラスも見事で、
各ボーカルも、声質は本物と違っていても、雰囲気がそっくりだった。
YouTubeでよくヒットする、札幌のコピーバンドは、ジョン役の人が、
そっくりの声ではないが、すごくドスの効いた声でシャウトしていて、
日本のコピーバンドに多い、ムード歌謡やフォークの歌い方と違い、
格好良く、ポール役の人が、「自慢のジョンです。」と言うのに同感。
日本のバンドは、英語の発音だけでも、海外に比べハンディなのに、
年配の人は、カラオケ演歌が得意なのか、ムード歌謡の雰囲気で、
若い連中は、まるで「ゆず」のように、甲高い金切り声で歌っていて、
バッドボーイズのような正統派のバンドは、そうそういないのだろう。
肝心の自分はどうかと言われたら、ジョンの声に憧れても、叶わず、
昔、声楽をやっている人から、「音痴は練習でましになるし、悪声も、
ロックだから人好き好きだが、君は話し声でも破裂音がひどいから、
歌には向かない、ギターだけ弾いていなさい。」と、言われたことも。
破裂音なんて、当時気にもしなくて、要は下手ってことだろうくらいに、
思っていたが、こうして自分の歌を録音して聴くようになると、カ行で、
舌打ちしたようなノイズがひどく、パ行では、唇の辺りでノイズが出て、
サ行は、歯抜けのスースーした音で、これは発声練習以前の問題。
それでも、何とか、めげずに歌っているが、英語の発音が難しいうえ、
歌詞カードの間違いは、CDになっても、修正していないものが多くて、
自分のヒヤリングが悪いのかと、必死で歌詞カードを見ながら歌うと、
やはりカードが違っていて、また歌い直して、声が枯れていくばかり。
ジョージの弾くリードギターは、左右から鳴るが、かなり、ずれていて、
ボーカルのダブルトラックのようにと、ユニゾンでダビングしたものの、
間奏だけでなく、歌の合間のオブリガードまで、アドリブで弾いたから、
自分のフレーズを、そっくりに、なぞるのが、できなかったと思われる。
ジョンの弾くリフは、「ロール・オーバー・ベートーベン」などで聴ける、
典型的なロックンロールのリフとは違って、通常、ルート音に対して、
5度、6度、7度、6度と動くところを、1度、2度、♭3度、5度、6度で、
まるでベースラインのように動き、原曲のホーンのリフを真似ている。
ポールのベースも、ジョンとユニゾンにするとか、ロックのリフにせず、
オクターブ高いルート音から始めて、3・4拍目は、低い音程に戻って、
原曲ではどうだったか、かなり、いじっているように思うし、だいたい、
ジョンのボーカル自体、わりとソフトな原曲と違い、叫びまくっている。
ビートルズの公式ベスト盤にして、自分が初めて聴いたLPでもある、
「オールディーズ」から、ジョンが敬愛するラリー・ウィリアムスのカバー、
「バッドボーイ」は、ジョンのシャウトがすさまじくて、ポールの曲よりは、
音程が低いものの、ドスの効いた声に程遠いまま、かすれています。

| ホーム |