僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
12弦なのか、誰のハモリなのか、諸説ある「ワーズ・オブ・ラヴ」
ビートルズのコピーバンドまでいかなくても、ビートルズに憧れて、
楽器を始めた者ならば、同じ楽器を手にしたいと思ったはずで、
ジョンのファンならば、リッケンバッカー325は、まず外せないし、
ポールならば、ヘフナーのバイオリンベースこそ、必須アイテム。

ジョンは、アコギのギブソン・J160Eに、後期に使うエピフォンの、
カジノ、ポールも後期のリッケンバッカー4001ベースがあれば、
それで満足できるだろうし、リンゴは、モデルチェンジこそあるも、
ほぼビートルズ時代を通じて使ったのは、ラディック・ドラムセット。

ジョージは、初期には、グレッチ、特にカントリージェントルマンと、
リッケンバッカーの12弦ギターを使うが、グレッチ・テネシアンや、
エピフォン・カジノに、ギブソン・J160E、後期は、レスポールに、
ストラトキャスター、テレキャスターと、かなりギターを持ち替えた。

中学時代、バイブルだった「ビートルズ事典」を片手に、写真集や、
雑誌のピンナップを食い入るように見ては、楽器屋に足を運んで、
あれが欲しい、これが欲しいと夢見たが、ビートルズ研究が進み、
最近のビートルズ本を読むと、あっと思うようなことも、かなりある。

ポールがジャズベースを使ったとか、武道館ではカジノで弾いた、
「ひとりぼっちのあいつ」が、ジョンもジョージもストラトで録音とか、
一番びっくりしたのは、「ヘルプ」で、映画では、ジョンがJ160Eを、
抱えていたのに、実際の録音では、アコギの12弦ギターという話。

同じ映画の中の、「悲しみをぶっとばせ」で弾いていたフラマス製、
12弦ギターを「ヘルプ」で使ったのも驚きなら、その12弦にしても、
「ビートルズ事典」で、ギルド製と書いてあり、ずっと信じていたから、
フラマスって何、どこのメーカーなんだと、二重の意味で混乱する。

12弦ギターというと、エレキの12弦、リッケンバッカー360/12は、
ジョージが「ビートルズがやって来る」の撮影直前に、手に入れると、
サントラ盤も、次の「フォーセール」でも、新しい玩具をもらったように、
12弦ばかり弾いたイメージがあったが、実際は、6曲と3曲程度に。

「フォーセール」の「ワーズ・オブ・ラヴ」は、イントロや間奏リードが、
12弦ギターの印象的な曲なのだが、今回、自分で演奏してみると、
3弦のオクターブの音が鳴っていないようで、基本はユニゾンの音、
12弦ギターではなくて、6弦ギターをダビングしているように思える。

自分は、グレコ製のコピーモデルで、リッケン12弦を持っているが、
リアマイクが取れたり、ジャックのノイズもひどく、弦を交換するのも、
面倒くさいから、この何年か、ビートルズの曲をアップしているのに、
12弦は使わないまま、6弦ギターを2回重ね、音をごまかしている。

12弦ギターは、1弦と2弦は同じ音程、3弦から6弦は通常の弦に、
オクターブ上の音程となる弦を加えているから、6弦で録音する際、
3~6弦は、12フレット上の演奏をダビングして、さらに1~2弦も、
ユニゾンで重ねることで、12弦ギターで弾いた音に近づけている。

そうして、「ワーズ・オブ・ラヴ」を弾いてみると、3弦以下で弾く音を、
オクターブ上で重ねると、本物の音と違っていて、リマスターだとか、
ステレオ盤を、YouTubeで何種類か聴いてみると、耳をすませても、
3弦のオクターブ上の音は鳴っていなくて、12弦でない可能性が。

日経「全曲バイブル」の執筆者の1人で、主にPC波形分析担当の、
米村幸雄も自身のブログで、あくまでも個人の見解と断ったうえで、
執筆チームは、12弦ギターだとするが、オクターブ音の形跡がなく、
6弦ギターと主張していて、自分も、その可能性が大きいと思える。

ただ、「弦が切れてて、という証言が出たら、一溜まりもないが。」と、
半ば冗談めいて書いていて、自分がビートルズのギターに憧れた、
中学時代に、あれこれ資料を調べた際に、12弦ギターによっては、
3弦がオクターブでなく、ユニゾンのモデルもあると、読んだ覚えが。

ユニゾンの弦と、オクターブの弦では、当然、太さが違っているから、
ヘッド側ナットの溝の幅も違うわけで、ユニゾン弦のタイプを買ったら、
細いオクターブ弦では合わないだろうと、中学生なりに考えていたが、
逆にユニゾン弦を張って、ジョージがこの曲を弾いたのもありえる話。

また、この曲にまつわる謎が、デビュー前から、カバーしていた曲で、
もともと、ジョンとジョージのハモリで、ライブ演奏もしていたそうだが、
録音では、ジョンとポールのハモリへと変更していて、CDの解説にも、
そう書いてあるところ、やはりジョージが歌っているんじゃないか説も。

「これがビートルズ」の中山康樹も、「おそらくは、いや絶対にジョンと、
ジョージによるものだ。」とし、「全曲バイブル」では、3人のコーラスで、
トラック2に、最初に3人で歌い、トラック4に、さらに3人でダビングと、
マルチトラック表に書いてあるが、2声のまま、3人で歌うのだろうか。

いつも頼りにする、YouTubeのビートルズ・ヴォーカル・ハーモニーは、
低音がジョン、高音がポールと、ハモを解説し、寄せられたコメントの、
「上がジョージではないか?」、「下はジョンとジョージなのでは?」に、
「いいえ、ジョンとポールです。」と、きっぱりと断言するほど自信あり。

ジョンとポールのハモリは一体化するが、ジョージはアクが強いのか、
すぐにジョージと分かることが多くて、「ユー・キャント・ドゥ・ザット」や、
「ヘルプ」とかで、ポールとジョージが、バックコーラスとつけている際、
ポールの声が聴き取れないくらい、ジョージの声が目立って聴こえる。

ところが、これもビートルズ・マジックなのか、3声でハモッった途端に、
低音と真ん中の、どちらがジョンで、どちらがジョージが分からなくて、
ポールも本当に高音なのかと、迷うことがあり、「全曲バイブル」での、
3人のハモリが正解だとしたら、ジョージかポールか不明なのも納得。

ただ、BBCライブで、この曲が演奏され、これは、完全にポールの声、
さらに、自分が演奏して感じたのは、歌のバックで聴けるアルペジオは、
けっこう難しくて、ジョージには悪いが、これを歌いながら、1曲を通して、
ノーミスで弾ききるのは、ジョージには無理、ギターに専念しただろうと。

ジョンが敬愛したバディ・ホリーの曲、「ワーズ・オブ・ラヴ」のカバーは、
それゆえ、原曲に忠実だったようで、キーも同じにしたから、メロディが、
珍しく低くて、いつものつらい高音がないのに、自分の音域が狭いから、
低すぎて出ない状態で、それでも、なりきりジョンで歌い、演奏しました。



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どちらが作ろうと、2人でハモれば正解、「エヴリー・リトリ・シング」
ビートルズ時代に、ジョンとポールが作った曲は、2人の共同名義、
レノン=マッカートニーとクレジットされ、どちらかが1人で作っても、
共作とすることが、デビュー当時からの約束で、解散まで続くのは、
2人の友情の証しと見るのは、自分の思い入れが過ぎるだろうか。

洋楽ポップスに多い、ソング・ライティング・チームのようにとらえて、
主にジョンが歌詞を、ポールが作曲担当と言われた時期もあったが、
お互いに歌詞も書けば、曲も作ったし、完全に共作した曲もあれば、
全部が単独、サビは片方、一部を手伝うなど、いくつかのパターン。

今日では、どの曲が共作か、単独か、メインで作ったのはどちらか、
細かいことまで、ジョンとポールのインタビューで、わかってきたが、
その時々で、言うことが違ったり、2人の記憶の食い違いもあって、
一番、2人の意見が分かれるのが、「イン・マイ・ライフ」だとされる。

解散後のインタビューで、「サビを、ポールに手伝ってもらった。」と、
ジョンが語ったので、単独曲ではないとされたが、後年、ポールは、
最初の歌詞しかできていなかったので、残りの歌詞と全メロディを、
自分が作ったと語り、逆に、ポールの単独曲に近いような物言いに。

このあたり、ジョン派とポール派で、ちょっとした論争もあるようだし、
ジョンはジョンで、ポールの作とされる「エリナー・リグビー」に関して、
歌詞の大半は自分が書いたと語り、まあ、どっちもどっちというのか、
それこそが、レノン=マッカートニー名義なのだろうと、勝手に納得。

中学時代に愛読した、ミュージックライフ編「ビートルズの軌跡」には、
72年のジョンのインタビューで、どのように曲を作ったかを語ったり、
ジョンの作品、ポールの作品、共作というリストまで載っていたので、
ファンになった早い段階で、別々に作っていたのは、もう知っていた。

ただ、2人きりのビートルズコピーバンドのジョージ役と、そのことで、
これは誰が作った曲などと話すことは、あまりなくて、そんなことより、
どちらが歌っているか、どの楽器を使っているかに、関心があったし、
その際、メインボーカルの方が作ったんだろうなと、漠然と思うくらい。

どちらが作ったにせよ、ジョンやポールが歌い、一体となってハモり、
そこへ、ジョージのコーラスが加わって、たまには、リンゴも歌ったり、
そして、何より、4人で演奏しているのだから、ビートルズの曲として、
聴けば良いだけなのだが、ビートルズ本を読むと、興味もわいてくる。

「フォーセール」のB面4曲目の小品、「エヴリー・リトル・シング」では、
CD解説に、ジョンの曲とあるも、ジョン自身が共作のリストに載せて、
中山康樹「これがビートルズ」は、共作で、アルバム1・2を競う名曲と、
「全曲バイブル」は、Aメロがジョン、サビがポールの完全な共作と書く。

サビでポールが加わるところも、メインボーカル=主に作った方という、
基本的な図式にあてはまるのだが、最近では、シングルヒットを狙い、
ポールが1人で作ったという説が出て、作曲していないジョンが歌った、
珍しい曲だとまで言われて、昔からのファンにとり、戸惑うことが多い。

ジョージが録音に遅刻して、代りにジョンがリードギターを弾いた説は、
昔からあるそうだが、ジョンは、まず、アコギを弾きながら、歌うわけで、
あとでリードギターをダビングするなら、その時にジョージが弾けば良く、
今すぐ、ミックスダウンまでする必要でもなければ、ジョンはないかと。

「全曲バイブル」には、イントロのリードギターだけになっている部分で、
ジョンが、カウント代わりに、アコギのボディを叩いたとあり、自分のは、
モノ版なので、気づきもしなかったが、YouTubeで、リマスターを聴くと、
コツコツ音がして、「ヘルプ」のパーカッションのような叩き方とは違う。

ボディを叩く音で、リードギターを弾いたと、言われるのも変な話だが、
ジョージの弾く12弦ギターの間奏と同時に、エレキの低音の音がして、
これは、オクターブ音がしないから、12弦とは別で、ジョンがエレキで、
リフを弾いたのは間違いないようで、エンディングでも、この音がする。

後日、ジョージが12弦を弾く時に、一緒にダビングしたかは不明だが、
ポールとされるピアノ、リンゴのティンパニの音も、あとから加えていて、
ビートルズで初となるティンパニの導入は、サビだけのアクセントとして、
ダ・ドーンと鳴っていて、とりあえず自分は、フロアタムの音で代用した。

低音の鍵盤を、単音で鳴らすピアノは、ティンパニと同時に弾くほかに、
Aメロの6小節のうち、2小節だけ弾いていて、愛用のバンドスコアでは、
いつも省略が多いのに、なぜか、1曲を通して、ピアノを採譜してあって、
一応そのとおり弾き、リマスターでも聴こえない部分は、音量を絞った。

この曲の一番の特徴は、何と言っても、ジョンとポールのハモリであり、
Aメロも、ジョンのダブルトラックではなく、ジョンとポールかもしれないし、
サビの、ポールが上、ジョンが下という、お約束のハモリが、すごく良く、
高いほうがジョンにも聴こえるという、2人の声が溶け合う見事なハモリ。

初期のビートルズは、本当に、この2人の魔法のようなハモリが特徴で、
艶があり、ドスのきいたジョン、ハイトーンだが、青くて、くぐもったポール、
その対照的な2人の声が、ハモった途端に、どちらか、わからなくなるし、
時に、上と下のパートを、スルリと入れ替える見事さが、もうたまらない。

ジョンが、自分の声を嫌い、声色を変えたり、エフェクトまで加えていくし、
ポールは野太い声を好むようになり、またハモリも複雑になってきたり、
初期のみずみずしいハモリは、「フォーセール」あたりが、最後だろうか、
この曲は、短い小品ながら、そのハモの魅力が、垣間見える曲の一つ。

地味な(?)「フォーセール」で、さらに印象の薄い、B面後半の曲ながら、
ポールがシングル用に作ったという説もある佳曲、ジョンが作曲しようが、
ポールが作曲しようが、2人がハモれば、そんなことなどどうでも良いと、
名曲「エヴリー・リトル・シング」を懲りずに、なりきりジョンで歌っています。





いじけたジョンの歌声に、謎のハモリの「パーティはそのままに」
全曲がオリジナルとなった、「ビートルズがやって来る」に続く、
「フォーセール」は、年末商戦に間に合わせて発売するために、
アメリカやイギリスツアーの合間に、録音するという多忙さで、
曲が不足したのだろう、全14曲のうち、6曲がカバー曲となる。

ただ、アマチュア時代から、ライブバンドとして鍛えられたうえ、
デビュー後も、BBCライブで、レコードとは別に、カバー曲を、
数多く演奏していたから、これまで同様、持ち歌になっていて、
ジョンが絶叫する「ミスター・ムーンライト」など、名演といえる。

前後のアルバムが、映画のサントラ盤という、話題もあったり、
同時期のシングル盤が、「アイ・フィール・ファイン」だったから、
フォーク調の曲が主体の、「フォーセール」のオリジナル曲は、
地味に思われがちなのだが、珠玉の小品、隠れた名曲だらけ。

ビートルズのアルバムを、日本編集盤で集めていた自分には、
「セカンドアルバム」や「No.5」よりも、こっちが気に入っていて、
ジョージ役と二人きりの、ビートルズコピーバンドでも、演奏して、
ギター1本で、さまになる曲も多くて、好んで弾き語りをしていた。

それでも、LPで聴く宿命というか、B面の曲は、つい疎くなって、
まして、B面の後半となると、A・B面を続けて録ったカセットでも、
最後まで聴かないこともあって、印象が薄くなることは多々あり、
「パーティーはそのままに」は、かなりあとで、その良さに気づく。

「パーティに彼女が来ないし、落ち込んだ姿を見せたくないから、
僕はおさらばするよ。」と、いじけつつ、切々と歌うジョンの声が、
すごくせまってきて、サビでポールが高音になる部分も見事だし、
ジョージも得意のチェット・アトキンス奏法で、いいとこを見せる。

そのチェット奏法は、すでに「オール・マイ・ラビング」で弾いたが、
厳密には1拍ごとに低音弦を鳴らし、そこへメロディーや伴奏を、
高音弦で加えていく奏法に対して、ジョージは多少低音を弾くが、
コードをスリーフィンガーや、アルペジオのように弾いている感じ。

ジョージは、チェットと同じグレッチのギターを、愛用するほどで、
当然に憧れのギタリストで、コピーしたろうが、ビートルズの曲は、
ソロギター演奏ではないから、チェット奏法のエッセンスをもらい、
ロックにカントリーテイストを加えることで、曲をひきたてたと思う。

この曲のメロディは、2声のハモリになっていて、両方をジョンが、
多重録音で歌ったそうだが、いや、ポールが低音に回っている、
この低い声はジョージだと、諸説あるようで、自分では、昔から、
ビートルズは、いつも3人でハモッていると、単純に思っていた。

「テル・ミー・ホワイ」や「ひとりぼっちのあいつ」が、ジョン1人だと、
いつ頃から言われたのか、中学時代にバイブルのようにしていた、
「ビートルズ事典」でも、同じメロディを二度歌うダブルトラックには、
触れても、どれも、ジョン、ポール、ジョージのハモリとなっていた。

この10年くらい、中山康樹「これがビートルズだ」や、川瀬泰雄の、
「真実のビートルズサウンド」を読み、今まで何の疑問もないまま、
聴いていた曲に、ハモリや演奏の謎があるし、「全曲バイブル」で、
さらに細かい分析まで知って、本当に驚いたし、すごく面白かった。

ハモリにしても、誰が演奏したかにしても、いまだに結論が出ずに、
本によってバラバラな曲も多いが、外野があれこれ詮索するより、
ポールに、「これ弾いてます?歌ってます?」と、聞けば良いだけ、
サーの称号をもつ方に、そんな質問は、失礼に当たるのだろうか。

「これがビートルズ」では、ジョンが1人でデュエット、サビに移って、
高音部にポールが加わり、「ウー」のコーラスが、ジョン、ポールに、
ジョージの3声だと説明するが、「全曲バイブル」では、トラック3に、
ジョンの歌、トラック4にジョンとポールのコーラスとだけ載っている。

「全曲バイブル」のとおりだと、バックコーラスで、3声にできなくて、
さらにダビングか、ジョージが加わる必要があり、それより何より、
低音がジョージというのは無視され、ジョンとポールで歌ったとして、
メインのハモリは、ポールなのかジョンなのかと、疑問はまだ残る。

いつも頼りのYouTubeの、ビートルズ・ヴォーカル・ハーモニーは、
ハモリには議論があるが、自分の見解ではポールだろうと述べ、
ポールは、ジョンの声色を真似るのが得意だからと、結論付けて、
コーラスに加え、サビも一部3声とするが、それが誰かは触れず。

メロの低音は、普通にジョンの声に思えるし、ジョージだとすると、
もっと訛りが強いというか、歯を食いしばり、口を開けない感じで、
アクのある特徴的な声のはずで、ポールが真似したと言われると、
確かに、少しこもった声は、ポールが無理やり出す低い声のよう。

いろいろ悩むが、以前の「テル・ミー・ホワイ」のときと同じことで、
自分が歌う分には、本物が誰だろうと、全部自分1人の声になり、
どうでも良いわけで、ただ、バンドスコアは、コーラスも2声なのを、
ヴォーカル・ハーモニーを参考に、3声で歌い、音を厚くしておく。

ジョンのリズムギターについても一言、イントロとエンディングでは、
カーター・ファミリー奏法という、低音弦で主にルート音を弾いて、
コードをズンチャッとやる弾き方で、後に「ロッキー・ラクーン」でも、
ポールもやるが、ジョンのアコギの腕前も、この曲の聴かせどころ。

ビートルズのアルバムとしても、収録されたオリジナル曲としても、
一見地味な印象の「フォーセール」から、ジョンの歌声がせつなく、
ジョン、ポール、ジョージの誰だか謎の、ジョンの声色のハモりの、
「パーティーはそのままに」を、まさに、なりきりジョンで歌ってます。





ジョージの12弦に、ジョンがリードの「ユー・キャント・ドゥ・ザット」
64年のLP「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」は、
翌年発売の「ヘルプ!」と同様に、ビートルズの主演映画の、
サウンドトラック盤という性格で、A面には映画で使用した曲、
B面は、アルバム用の新曲や、映画未使用曲で占められた。

悪名高き(?)米盤では、イギリスで発売されたアルバムから、
勝手に曲数を減らしては、浮いた分で、別のアルバムを出す、
それが慣例だったし、映画のサントラ盤は、映画の曲のみに、
オーケストラの演奏を加えて、アルバムの形に仕上げていた。

さらに、「ハード・デイズ・ナイト」として、サントラを出したのに、
「サムシング・ニュー」という、映画の曲を含んだアルバムだの、
なぜか「恋におちたら」と、「キャント・バイ・ミー・ラブ」の2曲を、
シングル主体の編集盤「ヘイ・ジュード」にまで、収録していた。

日本編集盤は、デビューからの1・2枚目は、ジャケット写真が、
ほぼ米盤と同じだが、曲目は全く違って、その際に漏れた曲を、
「ビートルズNo.5」として出す以外、「ヤァ!ヤァ!~」からは、
基本的には、本国イギリス盤と、同じ曲目で出すようになった。

B面の5曲目となる、ジョンの曲「ユー・キャント・ドゥ・ザット」は、
もともとは、映画に使われる予定で、最後のコンサート場面で、
撮影もされたのだが、没になったようで、ジョンは自信作なのに、
シングル盤でも、ポールの曲がA面にされ、どう感じていたか。

シングルA面は、ポールの歌う「キャント・バイ・ミー・ラブ」だが、
この場合、A面・B面ともに、「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」に収録の曲、
シングル盤をアルバムに入れないという、ビートルズの主義は、
どこへ行ったのか、サントラ盤は例外なのか、これもまた謎に。

パリで録音済みの、「キャント・バイ・ミー・ラブ」へのダビングと、
「ユー・キャント・ドゥ・ザット」の録音は、ジョージ21歳の誕生日、
64年2月25日で、その記念でもないが、同月プレゼントされた、
リッケンバッカー12弦ギターを、その日に、初めて使ったらしい。

そのサウンドが余程気に入ったのか、LPの大半の曲で使って、
次の「フォー・セール」でも多用、「ヘルプ」以降は、飽きたのか、
ほとんど弾かず、「ラバーソウル」収録、日本公演でも演奏した、
「恋をするなら」が、ビートルズ時代で、12弦を使った最後の曲。

そもそも、前期なら、ジョンがリッケン325で、ポールはヘフナー、
後期なら、カジノにリッケンベースと、トレードマークとなるような、
同じ楽器を使い続けるのに比べ、ジョージは、昔から、けっこう、
ギターを持ち替えていて、ギタリストとしてのこだわりだったのか。

「ユー・キャント・ドゥ・ザット」では、ジョージが12弦ギターを使い、
リフを弾き続けることもあってか、リードギターはジョンが弾いて、
「涙の乗車券」や、「タックスマン」で、ポールがリードを弾く前に、
ジョンもリードを弾いたわけで、ジョージの立場は、ちょっと微妙。

解散後の回想で、「ゲット・バック」でリードギターを弾いたことを、
「ポールは、人に親切にしたくなると、いつでも、ソロのパートを、
くれました。」と語って、「A面の大部分を、自分が取ってしまって、
申し訳なく思っているとか、そんなようなときに~。」と、続けた。

ポールの曲が大半で、その分、ジョンがリードギターを弾くとは、
そんな曲が、あったろうかと思いつつ、ジョンが牽引していた頃、
このアルバムは、A面どころか、大半の曲がジョンの作った曲で、
しかも、リードギターとは、ジョンとポールの性格の違いだろうか。

この曲での、リードギターは、コードを主体に、弦をかき鳴らして、
2本の弦をチョーキングしたり、ワイルドというか、泥臭いというか、
ジョージとは違った独特の味わいがあるが、自分の演奏となると、
微妙な音程、ニュアンスが出ないし、こじんまり、こぎれいになる。

YouTubeには、ライブ映像があり、ジョンが珍しくリードを弾くのに、
なぜカメラマンが写していないと、さかんに怒りのコメンがあるが、
当時は、ギターソロだから、ギタリストの手元をアップにするとか、
楽器をやる人向けの発想が、そもそも、なかったのではと思える。

70年代の、レッド・ツェッペリンや、ディープパープルの映像でも、
アドリブを弾きまくる、ジミー・ペイジや、リッチー・ブラックモアより、
体を揺すっているヴォーカリストを、カメラが追っていることがあり、
がっかりするが、世間一般では、ヴォーカルが主人公ということ。

この曲でも、リードを弾くジョンの手元よりは、コーラスをしている、
ポールとジョージを写すほうが、当然のカメラワークなのだろうし、
さらに、映画での未公開映像となると、あて振り、口パクだろうが、
演奏する4人より、歓声をあげる客席がメインとなり、何ともはや。

バンドスコアは、サビで、「green」と、一部だけ3声になるところで、
ジョージのパートが省略されているので、いつものYouTubeにある、
ビートルズ・ヴォーカル・ハーモニーを見ると、ポールのハモリでも、
ライブの方が見事だからと、そちらも解説していて、すごく為になる。

本当に、この人はビートルズが好きなんだというのが、すごくわかり、
どの曲でも、アメイジング、フェイバリットと、嬉しそうに連発しながら、
いかに、このハモリが素晴らしいか、節回しが見事なのかと語って、
自分の英語力では、細かい部分までわからないが、熱さは伝わる。

ジョンの真似をする人には、「ユー・キャント~」は良い教材になると、
ライブ映像のジョンの顔のアップを写し、ジョンの口の開け方とかを、
解説してくれるのだが、あいにく、よく聞き取れなくて、どうせだから、
放り出したままの英会話教材、「家出のドリッピー」でも出してくるか。

ジョンの口の開け方は、映画「ヘルプ」の、「悲しみをぶっとばせ」を、
自分は、昔から参考にしていて、口を横一文字に引っ張ったようにし、
舌を前歯の裏につけるのが特徴だと思っているが、だからといって、
いまだにジョンの声にはならないし、発音にしても、勉強不足のまま。

ジョンが映画用に書き下ろしながら、没になったうえ、シングル盤も、
B面の地位に甘んじたものの、ジョン自らが、リードギターも弾いた、
「ユー・キャント・ドゥー・ザット」を、ドスの効いた声は無理としても、
ちょっと風邪気味で、しゃがれた分、少しはましかと、歌っています。







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