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僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
ジョンの三重唱に、リンゴのドラムがさえ渡る「テル・ミー・ホワイ」
デビュー当初のビートルズは、オリジナル曲が少ないこともあって、
1枚目・2枚目ともに、全14曲のうち、6曲がカバー曲を占めたが、
早くも3作目「ビートルズがやって来る」では、全曲がオリジナルで、
しかも、13曲のうち10曲もが、ジョンの単独の作曲になっている。

デビューから2年も経たずに、ジョンの才能が一気に爆発というか、
ものすごい成長を遂げ、中山康樹は、「これがビートルズ」の中で、
このアルバムをジョンの最高傑作とし、デビュー前から疾走し続け、
ピークに達したと賞賛する一方で、以後は下降していくとの辛口も。

ジョンは、ボーカリストとしても、デビュー時には、完成されていたし、
このアルバムでは、怒涛のごとく、自作の曲で独占状態にしたから、
次第にポールの曲が増えてきたり、後期に、ジョージも台頭すれば、
相対的に、ジョンは後退したと思われても、仕方ないのかもしれない。

まあ、映画「レット・イット・ビー」のやる気のないジョンは、例外として、
生みの苦しみもなく、次から次へ曲がわいてくるは、この頃だろうし、
「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」撮影中、アップテンポの曲が欲しいと言われ、
「テル・ミー・ホワイ」をササッと作り、映画タイトルも決まれば同様に。

リンゴが何気なく発した、「ハード・デイズ・ナイト」の語呂が良いから、
映画のタイトルに決まると、じゃあ、その題名で曲を作ってくれとなり、
それで、あの傑作が作れてしまうジョン、次の映画「ヘルプ!」の時も、
タイトル曲を任されるし、ポールに抜かれてく(?)のは、まだまだ先。

映画「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」の、ラストシーン、
テレビ局コンサート1曲目が、アップテンポの「テル・ミー・ホワイ」で、
「なぜ泣くの?悪かったら謝るから」といった、情けない歌詞の割には、
元気はつらつの演奏、ジョンも笑顔で歌うという、不思議な気もする。

映画では、当然のようにジョンが歌い、ポール、ジョージのハモだが、
CD解説には、「3部のコーラス部分は、全てジョンが歌い~」とあり、
「これがビートルズだ」でも、「ひとり三重唱」「3人のジョン」と書かれ、
実際はどうか、自分には、低音は明らかに、ジョージの声に聴こえる。

愛用の「全曲バンドスコア」では、そのジョージのパートが省略され、
なぜか上下2声のハモリで書いてあり、コーラスの採譜の手抜きは、
このスコアでは、もう当たり前のことで、そんなときに頼りになるのが、
YouTubeのビートルズ・ヴォーカル・ハーモニーで、今回もお世話に。

その解説によれば、高音がポール、真ん中ジョン、低音ジョージと、
いつもの定位置だが、1回目の「~ lied to me」で、裏声になるのは、
そこだけ、ポールと高音が入れ替わったジョンで、高音、低音ともに、
ポール、ジョージに、ジョンがつけ加え、ダブルトラックにしたそうだ。

日経「全曲バイブル」には、4トラックのうち、2・3・4トラックを使って、
ジョンのボーカルを録音とあるから、全部のパートを歌った気もするし、
ただ、2・3トラックは、ジョンの声をダブルトラックにするためのもので、
そうなると、2つ同じ音程で歌う必要があって、3声にはならなくなる。

細かい話だが、そのダブルトラックのジョンの声は、映画で使うのと、
モノミックスでは違ったそうで、どちらも、ダブルトラックにはしないで、
ジョンの地声のままだが、映画では3トラックを、レコードのモノ版は、
2トラックの歌声を使って、ステレオ版は、両方重ねたダブルトラック。

ビートルズの場合、誰が歌ったか、どの楽器なのかも、謎が多いうえ、
なぜ、モノミックスとステレオで、別テイクだったり、音量バランスだの、
リバーブの掛かり具合が違っているのかも謎だし、映画のサントラも、
別のバージョン、シングルトラックと、わざとやっているのかと思うほど。

ネット検索すると、「Tell me~」のサビのコーラスが、全部ジョンで、
掛け合うように歌うところは、ポールとジョージになるという説もあって、
どちらにしても、自分が再現すれば、一人3重唱、ないし6重唱となり、
どれがジョンだろうとポールだろうと、全部同じ声になるだけなのだが。

歌にばかり触れているが、この曲では、演奏もかなり高度なレベルで、
ポールは、「オール・マイ・ラビング」でも披露した、ジャズ奏者が使う、
ランニング・ベースで伴奏していて、それに呼応するように、ドラムも、
シャッフルビートで、ビッグバンドのように、決めのフレーズを叩き込む。

ポールが、時にルート音を外して、自由に動き回るベースを弾いても、
マーティンのピアノがルート音を弾いて、それを補っているという話が、
全曲バイブルに出ていて、それを読むまで、ピアノが入っていることに、
全然気づかなくて、40年も聴いているのに、いまだに新発見がある。

当然ながら、愛用のバンドスコアには、ピアノのパートは出ていなくて、
YouTubeのステレオリマスターで、音を探るものの、音感がないから、
ギターシンセのピアノ音で、コード進行に沿って、主にルート音を弾き、
さらにダビングで、ギター用のコードのまま、ピアノの音で鳴らしておく。

歌について、あいかわらずの悪声、かすれ声、音痴という自分なので、
メロディでジョンだけになる部分は、そこさえも、6回くらい声を重ねて、
エコーも深くし、ごまかすべきだが、映画館で聴いたシングルトラックの、
ジョンの声が好きなので、批判をかえりみず、自分でもシングルにした。

ビートルズの初の主演映画の挿入歌で、そのサントラ盤となるLPから、
全13曲中、ジョンが単独で作った10曲の1つ、「テル・ミー・ホワイ」は、
ジョンの三重唱に、2人のコーラスと音の塊の曲で、ベースやドラムも、
ノリノリの勢いある曲を、懲りない、なりきりジョンで、6回を重ねてます。



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未発表のカバー曲で、ジョンのせつない歌声が見事な「つのる想い」
ビートルズを聴き始めたのは、74年、中2の夏休みの後半で、
ちょうど秋に転校してきた帰国子女と、ビートルズで意気投合、
彼がジョージ、自分がジョンになり、一緒にギターを弾いたり、
中学時代は、とにかく、ビートルズ一色の日々を過ごしていた。

中3の春、オールナイトニッポンで、近々ビートルズ特集をやり、
海賊盤などかけるみたいだと、ジョージが聞きつけてきたので、
それまでの、ラジオとテレコを繋ぐより、良い音で録音したいと、
買ってもらう予定だった短波放送ラジオを、ラジカセに変更する。

中学になっても、ほとんど9時過ぎには寝ていて、土曜8時の、
「刑事コロンボ」も深夜放送を見る感じで、9時の洋画劇場は、
「猿の惑星」や「イージーライダー」などの時に、必死で起きる、
そんな自分だったから、ラジオの深夜放送は、初めて聴いた。

公開スタジオには、憧れの、日本一のビートルズコピーバンド、
バッドボーイズが来ていて、リクエストにも応えていたようだが、
ほとんど中継されず、ラジオ局へ行ったら、全部聴けたのにと、
残念な反面、そうなると海賊盤の放送が聴けないと悩むところ。

今思えば、バッドボーイズの演奏は、生中継にしていなくても、
別の番組で放送したかもしれず、そうした情報には疎かったが、
とりあえず、目的だった海賊盤は、かなりの曲数が放送されて、
買ったばかりのラジカセを、操作ミスすることもなく、無事録音。

当時のビートルズの海賊盤は、勝手に編集したベスト盤とか、
ハリウッドボウルや武道館のライブ、ゲットバック・セッションが、
主流だったが、未発表曲集もいくつか出ていて、その中の名盤、
「イエロー・マター・カスタード」から、ラジオで数曲かけてくれる。

レコード用に録音しながら、没になった曲のうち、カバー曲とされ、
ジョンの歌う「アイ・ゴット・ア・ウーマン」、ポールの「ルシール」に、
ジョージの「クライング・ウェイティング・ホーピング」と、名演揃い、
さらに、ジョンがせつなく歌う、「つのる想い」がすごく気に入った。

当時、バイブルにしていた、「ビートルズ事典」の海賊盤リストや、
月刊誌「音楽専科」の海賊盤特集で、何度も内容を確認してから、
新宿のオムへ出かけて、「イエロー・マター・カスタード」を買って、
その後、正規盤は後回しにして、海賊盤を数枚ほど買い集めた。

ライブは、会場録音やテレビからだが、ゲットバック・セッションは、
明らかに、関係者の横流しだと思えるし、そうなると未発表曲集も、
テープが出回ったのかと想像していたら、20年近くもたってから、
「BBCライブ」が出て、大半の曲が収録されていて、すごく驚いた。

歌いまわしや、ギターソロに、編曲まで、海賊盤と同じだったから、
秘蔵音源テープが流出したのではなく、ラジオ放送されたものが、
海賊盤になっただけのことで、英国のリアルタイムのファンならば、
「あ、ラジオで聴いたやつだ。」と気づくはずだが、どうだったのか。

「イエロー~」の姉妹盤のようなジャケットの、「アウトテイクス」も、
レコードになった曲の没テイクだと言われ、2枚ほど出ていたが、
曲名を見比べると、BBCライブの曲ばかり、70年代の日本では、
誰もラジオ放送には、思いもよらなかったのか、気づかぬふりか。

未発表音源では、「アビーロード」の前に、「ホット・アズ・サン」が、
作られたのだが、テープを盗まれて、多額の金で取り戻した際に、
空港のX線検査で消去されてしまったと、まことしやかに語られて、
幻の音源のはずなのに、なぜか、海賊盤が何枚も作られていた。

「ピース・オブ・マインド」も、未発表曲と言われたが、音がひどく、
海賊盤だから仕方ないと思うなか、2枚組「アップルトラックス」は、
音質も良かったし、「イエロー~」も、普通に聴くには十分の出来、
ラジオのエアチェックが音源だったのだから、当然といえば当然。

「イエロー~」で一番気に入ったのは、ジョンが切々と歌い上げる、
「つのる想い」で、本当、ジョンは声色を作ったり、機械加工せず、
そのままの地声が一番良くて、特にダブルトラックにもしない頃で、
それだけに、BBCライブは、どの曲でも、ジョンの歌声が冴える。

「つのる想い」は、アマ時代からのレパートリーだから、77年発売、
ハンブルグのライブ盤の、「デビュー・ビートルズ・ライブ62」にも、
入っていたが、「会った途端に一目惚れ」という邦題になっていて、
思わず?マークで、英語の原題は同じなのに、何がどうしたのか。

LP「レット・イット・ビー」の過剰なプロデュースで、悪名高い(?)、
フィル・スペクターが在籍した、テディベアーズが原曲を歌った際、
「会った途端に一目惚れ」の邦題がつき、後にビートルズの弟分、
ピーター&ゴードンがカバーした時には、「つのる想い」だったとか。

「ビートルズ事典」では、海賊盤の曲目リストで、「つのる想い」だし、
ハンブルグのテープの存在を伝えた記事でも、「つのる想い」として、
紹介されていたから、自分には、この題名の方がしっくりくるのだが、
昔から、原曲に親しんだ人には、「会った~」が正しい題名になるか。

演奏も、自分にとっては、このBBCライブのテンポ、コーラスこそが
決定版となるが、デッカのオーディションで、この曲を演奏した時は、
もっとテンポが早くて、ジョンの歌い方も、どことなくロカビリー調で、
トニー・シェルダンのバックバンドだった頃の雰囲気に、すごく近い。

デッカが62年1月で、ハンブルグが同年12月だが、ハンブルグは、
曲のテンポもBBCと同じで、ドラムがリンゴになったせいもあるのか、
バンドの方向性が固まってきたのか、ただし、自分と同じ理由から、
デッカ版から、この曲を聴いた人には、BBCは違和感かもしれない。

当のジョン本人は、どうだったのか、75年発売「ロックンロール」は、
フィル・スペクターをプロデューサーに迎えた、カバー曲アルバムで、
ここでも、「つのる想い」を録音しているが、結果的には未収録となり、
今日ボーナストラックで聴けるものは、BBCともデッカとも全然違う。

この曲は未発表曲だから、愛用の全曲バンドスコアには載ってなく、
シンコーから出た「BBCライブ」にも、著作権の関係とかで未収録、
いつも楽譜に頼り切っている自分には、この曲は無縁となるところ、
どうしても歌いたくて、コードを弾き、それらしくコーラスをつけてみる。

ポールとジョージのコーラスは、ジョンの歌う主旋律をはさむように、
三声でハモるうえ、ポールが音を伸ばすとき、ジョージは下降したり、
かなり凝ったこともしているが、自分の音感では、音が取れないので、
コード進行に沿って、ウーとかワーとかハモる程度で、お茶をにごす。

肝心のジョンが歌うメロディにしても、ハモリと混ぜこぜで覚えていて、
音質の悪い海賊盤で聴いていたから、区別がつきにくかったのだと、
言い訳したいところだが、公式盤の曲でさえ、勘違いが多いのだから、
やはりハーモニー感覚が欠如していて、我ながら、よくそれで歌うなと。

ビートルズを聴き始めた、かなり早い段階で、出会った未発表曲で、
今日ではBBCライブで知られる曲、本当に、ジョンの歌声も見事なら、
コーラスも素晴らしくて、どうして、レコードに入れなかったのかと思う、
カバー曲「つのる想い」を、いつもながら、なりきりジョンで歌いました。






オーディションに落ちたカバー曲が、最高によみがえった「マネー」
デビュー当時のビートルズは、自分たちのオリジナル曲が、
少ないせいもあって、1・2枚目のアルバムは、カバー曲が、
14曲のうち6曲と半数近いが、どれもが見事なカバー演奏、
持ち歌と呼んで良いほどで、原曲以上の出来の曲まである。

2枚目のLP「ウィズ・ザ・ビートルズ」の最後は、前作と同様、
ジョンが叫ぶ、ロックンロールのカバー曲で締めくくられるが、
前の「ツイスト&シャウト」が、録音当日の最後の最後になり、
ジョンが声をふりしぼった1テイクに対して、今回は7回演奏。

スタジオの閉まる時間を過ぎ、ジョンの声も限界になった中、
全員一丸となった迫力の「ツイスト&~」も、見事な演奏だし、
繰り返し演奏した「マネー」も、基本は全員での一発録音で、
採用されたテイク5に、あとから、ピアノを何度かやり直した。

そのジョージ・マーティンの弾くピアノが、イントロから目立ち、
BBCライブやテレビ出演での、ギターだけの演奏と比べると、
アマ時代からのレパートリーだから、手馴れたものであるが、
ピアノが入った方が、よりヘビーな感じが出て、はるかに良い。

ビートルズはデッカのオーディションの際、この曲を演奏して、
YouTubeで聴くと、バックの音は、まるでベンチャーズのよう、
真偽のほどは不明だが、「シャドウズのようなギターバンドは、
もう流行らない」が、落選の理由とされるのも、妙にうなづける。

「歴史に、『もしも』はない」とは、言い古された言葉だが、もし、
デッカのオーディションに合格したら、EMIのプロデューサーの、
マーティンと出会うこともなく、ドラムはピート・ベストのままで、
その後の音楽スタイルは、かなり変わっていたかと思えてくる。

もちろん、ジョンとポールがいるから、2人で、「抱きしめたい」、
「シー・ラブズ・ユー」のヒット曲は、世に出せたろうし、ドラムも、
遅かれ早かれ、3人との人間関係で、ピートは首だったろうが、
マーティンなくして、初期のピアノが入ったサウンドはなかった。

さらに、ヒットするように、テンポの変更、サビから始めるなどの、
編曲のアドバイスはもとより、「イエスタデイ」での弦楽四重奏に、
「イン・マイ・ライフ」のピアノ間奏、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」の、
壮大なオーケストラといい、マーティンの貢献は計り知れない。

「マネー」のピアノは、原曲でも、イントロから演奏されているが、
マーティンは、コード進行を無視するかのように、同じパターンを、
繰り返し、ブルースやロックンロールの典型的スリーコードとは、
ところどころ、音がぶつかってしまい、奇妙な響きになっている。

キーがEで、E7、A7、B7とコードが動く際、ピアノのリフは同一、
それも、左手がE、右手がGから始まり、G#でないから、E7は、
Emのよう、A7では、EとGは構成音だが、主たる1・3度でなく、
B7ではEもGも不協和音で、右手のリフで途中にBが出る程度。

自分の演奏を聴くと、ギターのチューニングが合っていないのか、
コードを間違えているのかと思って、何度もギターをやり直したが、
バンドスコアのとおりに、音を追っているし、ピアノの音を消したら、
ちゃんとベース、ギターは、コード進行に沿って、音も合っている。

音楽理論に詳しい人、音感が鋭い人には、何でもないのだろうが、
キーがEなので、E音からのリフで続けるのは、ペダルノートとか、
分数コードになっているから、それで良いのか、フリージャズとか、
現代音楽の範疇でなく、ブルースでも常套手段なのか、混乱する。

さらに、やっかいなのが、マーティンは、モノミックスを終えてから、
ステレオミックスのために、トラックを変えて、ピアノを録音し直し、
その際、ピアノのフレーズを微妙に変えたようで、間奏の前では、
ギュイーンとグリッサンドを入れたり、ブレイクでコードを鳴らした。

通説では、モノとステレオの違いは、イントロのピアノのエコーが、
深くかかったり、ドラムのリムショットらしき、ガイド音が聴こえるか、
さらに、リードギターが弱起で、スライドして入ってくるかの差だが、
「全曲バイブル」では、「イントロのピアノが全く違う。」と断定する。

ステレオ版では、ベースとギターの入るタイミングも違うこともあり、
ピアノのフレーズは、オクターブ違ったり、オクターブ加えたように、
聴こえるのだが、音感のない自分は、高くしたのか、低くしたのか,
わからなくて、いわゆる「オクターブ等価性」よりは、単なる音痴。

ジョンとジョージの使ったギターは、これまた、いくつか説が分かれ、
ジョンがアコギのJ160Eで、ジョージがエレキのグレッチが主だが、
ジョンがリッケンバッカー325で、ジョージがJ160Eという説もあり、
自分は、ライブ映像と同じ、ジョンが325、ジョージがグレッチかと。

歌詞を間違える常習犯のジョンが、今回は意識して、歌詞を変更、
原曲の「I Need Money」を、アマ時代は、「I Want Money」に、
レコードでは、「Now Give Me Money」になり、「金が要る」から、
「金が欲しい」、さらには、「今すぐ、金をよこせ」と、ドスをきかせる。

エンディングのアドリブに近いシャウトでは、「自由になりたい!」と、
ジョンは叫んでいて、すでに、アイドルに窮屈さを感じていたのか、
冒頭の歌詞、「人生で大切なのは、自由だって言うが、そんなもの、
鳥か蜂にくれてやれ」に呼応するよう、ジョンの詩人らしさが出たか。

最初の「Free」のところは、訳詩によっては、「ただ、無料」とされて、
「人生のうち、ただで手に入るものも良いだろうが~」と訳されるが、
「ただより金」でなく、「自由より金」の意味の方が、インパクトがあり、
売れっ子となったジョンが、「金をくれ」「自由だって欲しい」と皮肉る。

最初に書いたように、この曲は、アルバムの最後をしめくくる曲で、
ジョンの叫びで終わるところ、当時はイギリス以外は勝手に編集、
日米とも、セカンドアルバムには入れたが、米盤ではA面4曲目で、
日本盤はB面6曲目で、最後は「ティル・ゼア・ワズ・ユー」に交代。

ビートルズがアマ時代から得意としたカバー曲、結果的に落選の、
デッカのオーディションで演奏した「マネー」は、リンゴのドラムで、
重いリズムになったうえ、マーティンのピアノでグレードアップして、
ジョンのシャウトもさえ渡りますが、それだけに歌うのはきついです。





真夏のフュージョン、夏男・角松敏生の「ミッドサマー・ドライビング」
自分にとって、夏の代名詞の歌と言ったら、山下達郎だが、
その達郎のフォロワーと呼ぶのは、失礼になるのだろうか、
角松敏生も、夏全開の曲を数多く作り、ほぼ同年代となる、
杉山清貴や、少し後発のチューブと共に、よく聴いていた。

角松の曲を聴いたのは、82年の5月で、その春に就職して、
地方へ配属されていた先輩が、連休で東京に戻ったからと、
楽器屋やレコード屋を回るのに、つきあった際、渋谷西武の、
ディスクポートで、2枚目のLPが流れてきて、すぐ気に入る。

ヤングギターにも、インタビューが載っていて、売り出し中の、
フュージョン・ギタリストのカルロス・リオスを、起用したことで、
2人の対談記事になっていて、カルロスは、トム・スコットとか、
ジノ・バネリのバックで、見事なギターを披露していた注目株。

すぐに、友&愛で1・2枚目をレンタルすると、曲自体も良いし、
16ビートのごきげんな曲からバラードと、ギターを抜きにして、
角松の音楽が気に入り、録音したテープは、擦り切れるほど、
結局、2枚ともLPを買い、その後も、毎年新作を買い続けた。

おそらく角松本人は、セルフプロデュースとなる3枚目からが、
やりたい音楽に近づけたのであり、デビューから1・2枚目は、
やらされた感があるのかもしれず、当時、AOR好きの友人も、
3枚目を絶賛していて、1枚目が特に好きな自分とはギャップ。

とにかく最初に聴いた印象が一番という、昔からの自分の癖で、
レンタルした1枚目に針を落とし、「ダンス・シャワー」が始まり、
次々と珠玉の名曲が流れたのに惹かれて、さらに2枚目では、
カルロスのギターソロも格好良いから、その2枚が双璧をなす。

今、聴き返すと、3枚目「オン・ザ・シティ・ショア」も名曲揃いで、
楽曲のバランスなど、世間一般には、こちらに軍配が上がるが、
昔は、バックミュージシャンにこだわったり、ギターソロのほうに、
注目ばかりして、曲そのものよりも、演奏を重視する癖がある。

ジャケ買いならぬ、バックバンド買いと言うのか、特にギターで、
アルバムを探すことが多く、ほとんど知らなかった安部恭弘も、
TOTOのスティーブ・ルカサーの幼馴染で、知る人ぞ知る名手、
マイケル・ランドウが全面参加と知って、そのLPを買ったりした。

フュージョンやAORファンは、皆が、そんな聴き方をしたろうし、
自分は、洋楽よりもニューミュージックの方が、しっくりきたから、
海外のミュージシャンを起用したLPや、パラシュートの面々が、
バックをつとめた歌謡曲を聴いたり、マニアよりミーハーに近い。

自分と比較するのも何だが、同世代、同学年の角松にしたって、
そんな風にして、さらに多くの楽曲と出会って、吸収したと思うし、
マニアックさから言うと、自分とは比べものにならないレベルで、
12インチレコードを、月に100枚以上は買ったと、語っていた。

カルロス・リオスなどという、当時のフュージョンファンでさえも、
そう知らないギタリストを起用するくらい、フュージョンに対して、
造詣の深い角松だったから、自身がDJのFM東京の番組でも、
よくフュージョンをかけてくれて、自分の知らない曲も多かった。

そんなフュージョン好きが高じてか、自らギターを弾きまくって、
全曲インストとなる、「シー・イズ・ア・レディ」を、87年に出して、
これがまた、ものすごい名盤で、いつものバックバンドに加え、
一流のスタジオミュージシャンも参加、とてつもないアルバム。

角松のギターテクニックは、フュージョンのギタリストと比べたら、
当然、彼らのレベルには及ばないが、歌心あふれるソロのうえ、
何より、それぞれの曲のメロディーが、飛びっきり良いのだから、
その辺のフュージョンアルバムより、はるかに出来の良い作品。

リードギターの音は、当時のフュージョンを反映しているようで、
かなり作りこんだ音色で、オーバードライブで歪ませ、コーラス、
ショートディレイで音に広がりを持たせ、ハーモナイザーも使い、
微妙にピッチをずらし、ダブリング効果を出しているような感じ。

よく、ギターマガジンで、カシオペアやプリズムの機材が載ると、
ラックのエフェクターを何段も積み重ね、ディレイだけでも数台、
そこまでやる必要があるのかと思ったし、今、もっと不精になり、
MTRの内蔵エフェクトで、アンプの歪みと、コーラスだけ使った。

メロディは、ところどころハモっているが、スコアには出ていなくて、
自分の音感では、3度なのか5度なのか、さらに上でハモるのか、
下でハモるのかも聴き取れず、とりあえず、サビメロは、下の3度、
メロ後半は、1・3回目がオクターブ下で、2回目は、上3度にする。

フュージョンに限らず、ビートルズにしたって、楽譜に頼りきりで、
ハモリの音を取るのは特に苦手で、ギターを抱え、音を探っても、
不協和音になっていなければ、その音で合っているように錯覚し、
実際と違ったり、ハモリの音にしても、団子の塊のように聴こえる。

リズムギターは、よく聴くと、左右のチャンネルから別々に鳴って、
ツインギターの掛け合いのようで、角松の小技がきいている部分、
当然ながら、楽譜は片方だけなので、音程は取れない自分でも、
リズムくらいはと、ヘッドフォンを片方ずつ聴き、多少コピーした。

ベースは5弦ベースとされ、一番低い音はBなので、5弦がBだが、
自分のは4弦ベースのうえ、、4弦をBに下げると、弦がベロベロ、
B音を使う数小節のみ、別に録音して、D音は、やたらと出るから、
大半の部分は、4弦EをDに下げて演奏して、フレーズを再現した。

基本的に、鍵盤はピアノの伴奏のみだが、プロの使う録音機材と、
自分の、MTR1台だけの宅録とでは、音の広がり方が違うのか、
バッキングがスカスカの音になるので、ストリングスを小さく流して、
原曲とは雰囲気が違っても、多少なりとも、音に厚みをつけておく。

ホーンセクションは、クレジットをみると、トランペット3名、サックス、
トロンボーン、バス・トロンボーンと、6人で演奏しているようだが、
楽譜は単音から三声なので、ギターシンセのホーン系統の音色で、
ユニゾンで、6本を重ねるが、実際には、もっとハモリになるはず。

ピアノにしても、ホーンの音にしても、歌やギターのハモリ以上に、
自分では音程が取れないから、バンドスコアどおりに演奏するが、
たいてい、鍵盤は、左手が省略されていて、ホーンセクションでも、
トップの音くらいしか採譜されないから、かなり貧弱な音になる。

夏男、角松敏生のインストアルバム「シー・イズ・ア・レディ」から、
「西日の強い海辺のハイウェイ」のイメージと、本人が言っている、
「ミッドサマー・ドライビング」を、バンドスコアに頼りきった演奏で、
最後だけ、30秒伸ばして、好き勝手にギターを弾きまくってます。
 





ジョージの歌をジョンとポールで支える「デビル・イン・ハー・ハート」
中学時代は、少年マガジン、少年サンデーの漫画週刊誌か、
中1コース・時代の学年学習雑誌を、主に読んでいたのだが、
ビートルズに夢中になると、楽譜の出ているヤングギターや、
特集記事が掲載のミュージックライフ、音楽専科を読み出す。

音楽専科は、ビートルズの海賊盤の特集が、充実していたし、
片岡義男「僕のビートルズ」という小説も掲載され、その中に、
若きジョンに、ミミ伯母さんの友人が、リバプールに寄港した、
アメリカの船員から、レコードをもらってきてくれる話があった。

14歳のジョンが、アメリカのロックンロールと出会った場面で、
実際には、ラジオとかで先に聴いたのだろうが、リバプールは、
アメリカの船が来たり、地元の船乗りもアメリカへと行ったから、
ロンドンよりも、本場のレコードが入手しやすい状況だったろう。

さらに、後にビートルズのマネージャーとなる、エプスタインは、
本業がレコード店で、「どんなレコードでも揃える」をモットーに、
仕入れていたから、ビートルズもアマ時代から、店にたむろし、
めぼしい曲を探していたそうで、いち早くヒット曲をカバーした。

ほとんど無名のバンドの曲も、マニアックなくらいにチェックして、
セカンドアルバムでカバーした、「デビル・イン・ハー・ハート」は、
シングル盤1枚で解散した、女子高生コーラスグループの曲で、
マイナーレーベルのうえに、ヒットしなかった曲の、しかも、B面。

よく見つけてきたというほどで、何でもジョージが歌いたがって、
ジョンとポールが掛け合いコーラスをつけたそうで、それが見事、
基本的には、イントロのギターからコーラスも、原曲に忠実だが、
他のカバー曲と同様に、ビートルズの持ち歌のように聴こえる。

そのうえ、歌詞の内容が、年下のジョージが歌うのにぴったりで、
「彼女の心に悪魔がいる」、「いや、信じられない、天使なのに」と、
年上の2人が半ばからかうように諭し、それを受け入れたくない、
純情な少年という図式で、カバー曲を選ぶセンスも本当すごい。

LP「ヘルプ」あたりから、ポールがリードギターを弾いたりするが、
それまでは、ジョージがメインボーカルの時も、リードはジョージ、
ジョンのリズムギターに、ポールがベース、リンゴはドラムという、
ほぼ一発録りが主で、コーラスやパーカッションがダビングされた。

エンディングで、イントロと同じリードギターのフレーズを弾く際に、
ジョージは1小節フライングして、弾き始めてしまい、手を止めて、
また次の小節から、正しくやり直しているが、なぜ、録音自体を、
やり直したり、別テイクと編集せず、このままレコードにしたのか。

ジョンが歌詞を間違えていても、そのままレコードにするくらいで、
レコーディングのスケジュールに追われるあまり、OKにしたのか、
そのせいで、ジョージは歌に専念し、ジョンがリードを弾いたから、
ミスをしたという説もあり、それはそれで、ジョンにすごく失礼かと。

YouTubeでリマスターを聴くと、リードが右チャンネルから鳴るとき、
左からも聴こえ、それが、単に左右に振ったのでなく、微妙に違い、
「全曲バイブル」で、ジョンはアコギのJ160Eを弾いたとされるが、
左チャンで鳴っているカッティングは、エレキの音にしか聴こえない。

ジョージが、ギターをダビングしていて、リードの合間に弾いていた、
リズムが左から鳴っているとすると、ジョンのギターの音はしないし、
このリズムギターは、ジョンのリッケンバッカーとするのが妥当だが、
J160Eをアンプにつなぎ、ハイを上げると、エレキの音になるのか。

とりあえず、自分の録音は、リードギターを左右それぞれに弾いて、
リズムギターも、エレキとエレアコの両方で弾いて、エレアコの方は、
ミキシングでかなり音を絞って、鳴るか鳴らないかにしておいたが、
ほとんど自己満足のこだわりで、それより音色を似せることが先か。

歌は、ジョンとポールのハモリに対して、ジョージが掛け合うのだが、
愛用のバンドスコアは、ハモリが3声なので、ジョージも歌うのかと、
楽譜どおり3声にしておき、サビだけジョージがダブルトラックなのは、
ダビングで、ハモリとサビをジョージが追加したのかと、勝手に推測。

いつものことだが、ビートルズの曲を演奏するとき、YouTubeを見て、
リマスターや別テイク、ライブ、さらに、世界中の老若男女を問わず、
アップされているカバー演奏を参考にしていて、この曲では、特に、
海外の中高生らしきトリオの演奏がすごく見事で、毎日聴いている。

「juanperugia12」という連中で、納戸のような場所で歌っていたが、
最新映像では、ドラムも加わったうえ、スーツ姿でステージに立ち、
ギターもリッケンバッカーやグレッチに新調して、ほんの、つい最近、
彼らを知ったのに、何だか、成長を見届けたような気になっている。

ビートルズの2枚目「ウィズ・ザ・ビートルズ」収録で、日本編集盤でも、
「ビートルズNo.2」の収録、、ジョージの歌をジョンとポールが支える、
「デビル・イン・ハー・ハート」は、海外の若者に、はるか及ばないので、
全員のハモりをダブルトラックにして、厚みを出し、ごまかしています。








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