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僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
フュージョンとフラメンコの壮絶なアコギ・バトル、「地中海の舞踏」
歌ものの伴奏をしたり、ピアノやサックスがメロディを弾く、
フュージョンばかりを演奏していると、昔からの悪い癖で、
早弾きの虫が騒ぎ出して、「ああ、ギターを弾きまくりたい、
早弾きがしたい。」と、スピード優先のムチャ弾きを始める。

自分にとって、早弾きと言えば、プリズムの和田アキラで、
そのアキラが、77年、「ロッキンF」に連載のギター講座で、
「ベックより、すごいかも。」と、アル・ディメオラの2枚目の、
「エレガント・ジプシー」を紹介して、初めてディメオラを知る。

「ジェフ・ベック命」のように思っていた、高1~高2にかけて、
「ベックより~」は何よりの殺し文句で、何の予備知識もなく、
早弾きであることも知らないまま、ジャケットに写るギターが、
ベックと同じレスポールだから、間違いないだろうと買った。

ゆっくりと始まる1曲目は、テンポが倍速に変わった途端に、
早いフレーズのテーマとなり、さらに超高速のアドリブには、
本当、ものすごく興奮して、これだけでも、もう元が取れたが、
さらなる早弾きの曲が次々と続いて、一気に愛聴盤となった。

フラメンコギタリストのパコ・デ・ルシアとの、ギターバトルの、
「地中海の舞踏」は、最初のテーマから、すごい早弾きだし、
ディストーションなどで歪ませない、アコギの生音のままで、
正確無比に弾きまくる二人には、とにかく圧倒されるばかり。

ディメオラが、チック・コリアのリターン・トゥ・フォーエバーに、
弱冠19歳で抜擢され、その早弾きが話題になったことさえ、
知らなかった自分には、ましてパコなど、いったい誰なんだ、
フラメンコだから、早弾きもすごいのだろうかと、思ったくらい。

今でこそ、フラメンコの革命児、さらに大御所、大家とされる、
パコだが、この録音時は30歳で、ソロアルバム「天才」こそ、
すでに出しているも、由緒あるフラメンコ界では、若輩者だし、
この曲で、パコを知ったというのが、世間一般ではないかと。

しばらくして、ディメオラのギター譜が2冊出て、デビュー作、
「白夜の大地」と、「エレガント・ジプシー」から数曲が入った、
第2巻を買うが、「地中海の舞踏」は入っていなかったので、
その後に、ジャズライフやギターマガジンに載った譜で練習。

その頃通っていた、渋谷河合楽器のジャズ・ギター教室にも、
その雑誌を持っていって、先生に細かいところを教わったり、
伴奏までは載っていなかったが、先生がパコのパートを弾き、
二重奏で練習して、その後、渋谷店全体の発表会にも出た。

81年、「NHKギターをひこう」の、生徒オーディションに行き、
講師の荘村清志から、「どんな曲が弾きたいのか」と聞かれ、
すかさず、「地中海の舞踏」の名を挙げると、「それだったら、
クラシックを習う必要は、ないんじゃないのかな。」と言われる。

「右手の基礎ができないと、パコは弾けないと思うので。」と、
説明すると、「ああ、なるほどね。」と言いつつも、生返事で、
クラシック奏者からすると、ジャズ、フュージョン、フラメンコの、
早弾きなんて、テクニックのうちに、入らないのかもしれない。

イングヴェイの超絶技巧とされる、パガニーニ風の早弾きも、
バイオリン奏者からすれば、普通に何てことないレベルだし、
楽譜どおりに弾けて当たり前、というクラシックは、本当厳しく、
どれだけ練習をすれば良いのかと、ときどき眩暈がしてくる。

仕方なく、ピックを使って、ディメオラのパートを弾いていたが、
パコのラスゲアード、指弾きによる超高速フレーズは憧れで、
10代の頃には、「フラメンコ入門」を買ったし、つい2年前にも、
クラシックギターに盛り上がっていた中、フラメンコに手を出す。

毎日クラシックギターの基礎練習をしていたから、少しくらいは、
パコのフレーズも弾けるんじゃないか、それなら、フラメンコの、
ラスゲアードの技術も、きちんと覚えたら、「地中海の舞踏」を、
MTRの多重録音で、完コピで再現できるのではと、もくろんだ。

ネットで調べると、DVD付きフラメンコギター教本も見つかるし、
そのものズバリ、教則DVD「パコ・デ・ルシア・地中海の舞踏・
1曲マスター」まであって、ディメオラのパートは大丈夫だから、
この2冊で完璧と、まずは、買っただけで、妙な達成感がある。

ただ、「1曲マスター」の方は、慣れ親しんだスタジオ盤でなく、
スーパーギタートリオによるライブ盤の、パコのフレーズであり、
事前にその懸念もあって、メーカーのHPやレビューを探すも、
どこにも、ライブの文字はなくって、半分賭けで購入した品物。

楽譜自体は、リットーのムック本、「アコースティックギター3」に、
シンコー「アル・ディメオラ奏法」があるから、パコのフレーズも、
出ているが、合いの手に入れるラスゲアードや、ゴルペの叩き、
何フレットで押さえるか、などを知りたかったが、別演奏だった。

それでも、フラメンコの技術解説が丁寧で、ライブ盤のとおりに、
模範演奏してくれるので、これはこれで弾けるようになりたいと、
ライブ盤の楽譜が洋書で出ているのを、アマゾンで見つけ注文、
とは言え、ディメオラもスタジオ以上に弾きまくって、到底無理。

まあ、スタジオ盤でもライブ盤でも、楽譜が手に入ったのだから、
いつか集中すれば、弾けるだろうと、2年前は、そこで満足して、
この7月に入って再び、挑戦してみたら、テーマからつまづいて、
1拍=100のところ、90くらいに落としても、指が追いつかない。

ライブ盤にいたっては、120で始まり、どんどん早くなっていき、
ピックでも追いつかないスピード、いずれ弾けるようにしたいが、
昔から弾けていたつもりの、スタジオ盤のディメオラのパートも、
指がもつれるし、パコのフレーズは、情けないくらいに弾けない。

YouTubeを見ると、ライブ盤を収録した際と思える映像があり、
数年後、ディメオラ、パコに、ジョン・マクラフリンまで加わった、
3人でのバトルなど、本人たちの演奏も、数多く見られるうえに、
国内外を問わず、カバー演奏があり、早弾きの見事な人も多い。

ただ、本人たちも含め、ほとんどが、ライブ盤のアレンジとなる、
「地中海の舞踏~広い河」のメドレーで、メドレーというよりは、
イントロとエンディングだけ、「地中海の舞踏」のテーマを弾いて、
あとは、「広い河」のメロディとアドリブの繰り返しとなっている。

ネタばらしというか、「地中海の舞踏」は、ほとんど即興演奏で、
コード進行を「広い河」から拝借したので、ライブ演奏にあたり、
原曲とも言える「広い河」と、つなげたそうだが、自分が聴くと、
アドリブの度に、「広い河」のテーマになり、「地中海」じゃない。

先のDVD「1曲マスター」も、「広い河」のタイトルにすべきだと、
最初に聴いた方に、こだわる自分としては、文句を言いたいが、
世間一般は、ライブ盤を重視していて、これはディメオラでなく、
パコのファン、アコギのファンが、多いということなのだろうか。

エレキを弾く人や、ディメオラのファンではなく、アコギのファンは、
たった1曲のために、「エレガント・ジプシー」を買うことはなくて、
スーパーギタートリオの、全編アコギによるライブ盤を買うから、
「広い河」の方が、普通に聴き慣れた演奏になるのかもしれない。

ちなみに、「地中海~」の原曲は、「二筋の川」とする説もあって、
「広い河」のどちらもパコの曲なので、図書館でベスト盤を借りて、
聴き比べたら、ライブ盤で弾くメロディは、明らかに「広い河だが、
コード進行は、「二筋の川」の方が、「地中海~」と同じに思える。

とにかくギターを弾きまくりたいが、オケを作るのが面倒な時は、
アコギの二重奏がぴったりで、このブログでも、開設した当初に、
少しずつ、多重録音を始めるようになり、この曲に挑戦していて、
その時は、パコのアドリブになる前に、フェイドアウトでごまかす。

高校時代から、早弾きが好きで、40年近くも弾き続けている曲、
アル・ディメオラとパコ・デ・ルシアの名演、「地中海の舞踏」を、
パコのフレーズは危なっかしくて、フラメンコには、ほど遠いうえ、
得意のつもりのディメオラも、寄る年波か、指がもつれています。




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ジョンとジョージでハモる、「ユー・リアリー・ガッタ・ホールド・オン・ミー」
ビートルズは、デビューアルバムの10曲を、1日で録音し、
アマチュア時代、ハンブルグのライブハウスで鍛えられた、
ライブバンドとしての実力がうかがえるが、続くセカンドも、
多少時間をかけたとは言え、基本は1日で4~5曲を録音。

録音の初日は、小手調べとばかり、やり慣れたカバー曲で、
たて続けに4曲を演奏していて、その最初に演奏したのが、
スモーキー・ロビンソンの、「ユー・リアリー・ゴッタ・ホールド・
オン・ミー」で、本家の発売からは、まだ1年もたっていない。

ビートルズが演奏するカバー曲は、よくも探してきたという、
マニアしか知らない曲、無名なバンドの曲もかなり多いが、
巷にヒットした曲も、気に入ったとなると、先を越される前に、
早々にカバーしたそうで、この曲も、ジョンが好んだらしい。

録音は63年7月18日だが、7月30日にラジオ用に録音し、
11月のアルバム発売に先駆け、8月には放送されていて、
しかも、「BBCライブ」で、この曲をリクエストするハガキを、
ジョンが読んでいるから、すでにライブで披露していた模様。

この曲は、主旋律を、ジョンとジョージの2人でハモっていて、
珍しいというか、公式213曲どころか、未発表のBBC音源、
アマ時代を通じても、唯一となるパターンだろうが、ジョンは、
自分が上のメロディを歌いたいから、ジョージと歌ったのか。

よく聴くと、ところどころ3声になっていて、掛け合いの部分で、
ジョンに対して、ジョージとポールがユニゾンで呼応していて、
サビでは、ポールがジョンの上を歌い、さらに、最後の最後に、
「ベイビー!」とポールがシャウトし、自己の存在をアピール。

この叫びは、演奏が盛り上がってきて、ジョージばかりでなく、
僕にも歌わせてとばかり、とっさに叫んだのだと思っていたが、
後からダビングしたそうで、「ここは、シャウトでしょう。」とでも、
ポールが提案したのか、結局、おいしい所を持っていく感じ。

本当、このシャウトは、実にうまいタイミングで入ってくるから、
もし、自然と盛り上がって、叫んだ感じを演出したのだとしたら、
ポールのプロデューサー目線で、計算できる才能は見事だし、
天然な性格による、単なるひらめきとしても、それもまた見事。

マーティンがピアノで参加しているが、編集でカットされたのか、
もともとなのか、ピアノはイントロとかの単音のリフしか弾かず、
歌のバックでは聴こえず、普通だと、「オー・ダーリン」のように、
3連符でコードを刻む気がするが、ギターの伴奏を重視したか。

ジョンはギブソンJ160Eを弾いたと、どの本にもあるのだが、
シャッフルで刻むコードは、エレキの音で、アンプにつないだ、
J160Eというよりは、ジョージのグレッチに近いし、ラジオでは、
ジョンは、シャッフルでなく3連符を弾くから、これはジョージか。

自分のCDは、昔のボックスセットで、「フォー・セール」までは、
モノラルなので、YouTubeで、ステレオやリマスター盤を聴くと、
ジョージの弾くリフが、左右で別、オクターブを変えているから、
リズムギターにまで手が回らず、やはりシャッフルはジョンか。

YouTubeには、デジタル処理を駆使して、独自のリミックスや、
ステレオ編集する人も多くて、3連符を刻むギターが聴こえる、
バージョンがあり、これが、ジョンのギブソンなんじゃないかと、
勝手に我田引水して、自分の演奏は、アコギで3連を刻んだ。

映画「レット・イット・ビー」では、張り詰めた空気を和ませようと、
昔やったロックン・ロール・ナンバーを再演していて、この曲も、
演奏したが、もともとスローな曲なのに、さらにテンポを遅くして、
メロディーまで変えるから、中学時代は、すごい違和感を感じた。

今聴くとそうでもないが、昔はレコードの演奏と変えられるのが、
ビートルズに限らず、すごく嫌で、ロックギターのアドリブでさえ、
できればスタジオ盤を再現してほしいし、曲全体のテンポだの、
楽器編成を変える演奏だと、ご本人であっても、許せなかった。

そんな自分だから、YouTubeのカバー演奏は、歌もインストも、
できるだけ原曲を再現して、完コピを目指すが、歌声ばかりは、
どうしうようもなく、カバー演奏ということで、お許し願いたいが、
先日、「ビートルズじゃねえじゃん」のコメントがあり、ハッとする。

昨年末あたりから、きちんと、「カバー」である旨を併記したが、
以前は、原曲の演奏者と曲名だけを、タイトルに表記していて、
タグ欄に、「guitar MTR cover」と入力したが、検索する人は、
タイトルだけ見るから、勘違いし、再生する人も多かったようだ。

当初は、ブログ仲間に聴いてもらえれば良いから、曲の題名は、
もじってつけて、検索に引っかからないように、細々とやったが、
題名を変えるのは失礼かと思い直し、作者、題名はきちんとし、
楽譜の写真を載せることで、カバー演奏だとわかるようにした。

さらに、他のYouTubeの例に倣い、カバーと併記をし始めたが、
過去のものは300以上あるから、とりあえずは放置していたら、
検索する人には、大迷惑だったとわかって、ものすごく反省して、
取り急ぎ、ビートルズなどの歌ものだけでもと、変更しておいた。

自分のYouTubeの再生回数は、1年たっても100回未満とか、
コメントをもらうことなど少ないが、今回のコメントがついたのは、
昨年正月の「プリーズ・ミスター・ポストマン」で、3万近い再生、
なぜか検索上位に出たようで、勘違いした方々に申し訳ない。

ビートルズがカバーした曲を、さらにカバーすることになるが、
きちんとカバー演奏である旨は表記、ただし、ビートルズでは、
説明欄には「編曲:ビートルズ」と書いて、原曲の作詞・作曲や、
歌手、演奏者までは載せないという、手抜きのままでアップ。

冒頭、ジョンのMCを少し再現したが、この曲が弱起で始まり、
スローだから、4秒も無音になり、放送事故みたいになるので、
BBCライブでこの曲を演奏する前に、リクエストを読んだ際に、
「ビートルズ、パパパーン!」とおどけた部分を、真似てみた。

ともかく、ジョンとジョージが珍しく、2人で見事にハモった曲、
「ユー・リアリー・ゴッタ・ホールド・オン・ミー」は、いつもよりは、
ポールの高音がない分、少しは声が出せたような気がするも、
なりきりジョンで、裏声になるのは、調子にのりすぎて反省点。








夏と言ったら山下達郎、そしてイントロが格好良い「スパークル」
JR東海のCMに使用され、クリスマスの定番曲となった、
「クリスマス・イブ」のおかげで、今や山下達郎と言ったら、
年末・冬のイメージが、お茶の間では強いかもしれないが、
やはり、山下達郎は夏の代名詞で、この季節にぴったり。

ただ、「山下達郎=夏」というのも、CMの影響が大きくて、
80年にマクセルのカセットテープのCMに、本人が登場し、
海をバックにして、「ライド・オン・タイム」が流れたからで、
その曲の歌詞のどこにも、「夏」という単語など出てこない。

自分が達郎の音楽を聴いたのも、実は、このCMが最初、
名前だけは、ソロLPを出した頃から、月刊ヤングギターの、
新譜の広告で、何度か目にしていたが、全部の楽器を弾く、
マルチプレイヤーらしい、といった友人からの情報くらい。

CMで話題になると、ラジオでもタイトル曲などが流れたし、
その年末には、一人多重録音による、アカペラのLPを出し、
それも雑誌やラジオで話題になり、アカペラは苦手だから、
「ライド・オン・タイム」と、前作の「ムーングロウ」をレンタル。

その頃は、カセットテープの90分を愛用して、片面45分で、
ほぼLPが1枚録音できるので、A・B面が同じ人だったり、
同じジャンルになるようにと、何か借りたいLPがあったら、
B面に合うLPはないかと、友&愛の店内を、よく物色した。

達郎は、新作と一つ前にして、気に入ったら、旧作を順次、
借りようと思ったし、アカペラLPで世間は盛り上がっていて、
「ムーングロウ」1曲目はアカペラ、「ライド・オン・タイム」も、
アカペラバージョン入りと、便乗するように宣伝されていた。

この2枚が気に入って、その後の新譜を買い続け、旧作も、
レコードを集めたが、やがてCDへと移行していく時期には、
「ムーングロウ」「ライド・オン・タイム」は、CDで買い直して、
当時CDは3800円もしたが、それだけの価値ありと思った。

初めて聴いただけに、その2枚が、達郎のイメージとなるが、
旧作も含めて、必ずしも、夏を歌っている曲ばかりではなく、
それどころか、タイトルに夏があるのは、デビュー作にある、
「夏の陽」と、「ライド・オン・タイム」の「夏への扉」の2曲のみ。

自分にとっては、CMの海の映像と、「ライド・オン・タイム」の、
「青い水平線に~」の歌詞が決め手であり、他の曲にしても、
海だの太陽だのが歌詞にあると、勝手に夏まっさかりにして、
イメージが固定してしまうが、おそらく大半の人も同様だろう。

83年「フォー・ユー」は、ジャケットといい、収録されている曲、
特に「ラブランド・アイランド」で、夏のイメージを作り上げたし、
印象的なカッティングから始まる、「スパークル」のサウンドも、
夏全開のイメージで、ここに至って、「達郎=夏」が決定的に。

ところが、「スパークル」の歌い出しを、今回カバーするまで、
「真夏の海から~」と覚えていて、これぞ夏の曲だと納得して、
30年以上聴いてきたのが、実際は「七つの海から~」と知り、
自分勝手な思い込みで、夏にしていたのかと、かなり反省。

そんな勘違いの「スパークル」は、達郎のライブの定番曲で、
このカッティングからコンサートが始まることが多く、83年に、
「メロディーズ」のツアーを、神奈川県民ホールで見たときも、
1曲目は「スパークル」で、すごく納得して演奏に聴き入った。

この曲は、イントロのカッティングがすべてで、曲全体を通し、
このリズムギターが主導して、そこへもう1本のギターのリフ、
チョッパー・ベースのアクセント、タイトなドラムが絡み合って、
ホーンセクション、コーラスのサウンドへ、達郎の歌が載る。

以前、バンドスコアや弾き語り譜、ギター譜を見比べた際に、
ギターマガジンに載ったのが、一番正確だったと思ったので、
ヤングギターも含めて、雑誌の大半を処分してしまった今は、
うろ覚えになるが、手元のバンドスコアとは違うままに弾いた。

2冊あるバンドスコアは、音を出したり、消音するパターンも、
微妙に違っているし、何より1~4弦でコードを弾いているが、
5弦をミュートしつつ、親指で6弦を押さえて、鳴らしたはずで、
無意識に押さえるフォームも、バレーでなく苦手なグリップ。

カッティングパターンは、今、本物を聴いても、自信はなくて、
消音して、カチャカチャとアクセントをつけて、鳴らす部分を、
何箇所か、叩きつけるようにして、アップを省略して覚えたが、
YouTubeで見ても、正確な16ビートカッティングの人ばかり。

ただ、歌詞同様、自分の勝手な思い込みかもしれないから、
ひとまず、スコアどおりのパターンで弾くが、違和感があるし、
YouTubeも参考に試すが、1曲丸まる通すと、いつのまにか、
癖の弾き方に戻るので、開き直って、冒頭から、昔のままで。

そうは言っても、達郎がライブでも愛用するテレキャスターと、
自分のストラトでは音色が違ううえに、どうも低音が出すぎて、
6弦をまともに弾くと、音が汚くなるから、イントロやブレイクで、
ギターだけになる部分は、上の弦のみ弾き、ごまかしている。

楽譜で言うと、ベースは、オクターブのチョッパーを弾くとき、
2回オクターブにするところを、2冊とも、1回になっていて、
これは、YouTubeで、スタジオ、ライブ盤のどちらを弾く人も、
2回フレーズを弾くから、明らかにバンドスコアのミスだろう。

ホーンセクションは、一昨年買ったスコアは主に3管編成で、
30年前のは、6管編成で書かれ、実際のクレジットを見ると、
サックス2人、トランペット2人、トロンボーンにバリトンとあり、
6本が正しいが、録音トラックの関係で、4本にまとめて演奏。

コーラスは、4声なので、メインボーカルも含め、ダブルにし、
歌唱力の無さをカバーしてみたが、下手な歌が二乗になり、
音痴で音程がふらつくのも、余計に目だつ始末、それでも、
一人の声で歌うと、親父カラオケみたいだから、多重録音。

「夏が来れば思い出す」というより、夏になると聴きたくなる、
山下達郎の定番曲から、昔から、イントロを練習していた曲、
「スパークル」は、本当は夏の歌詞でないうえ、いつもながら、
歌に問題ありすぎですが、ギターが弾きたくて、挑戦しました。






たった一度きりのビートルズの来日は、「アイム・ダウン」で締めくくり
ビートルズが来日したのは、49年も前の66年6月29日、
季節はずれの台風で、当初の予定時刻を大幅に過ぎて、
午前3時にようやく、羽田空港に到着、有名な場面となる、
日本航空のロゴのハッピを羽織り、タラップを降りてきた。

武道館コンサートは、6月30日、7月1日、2日で5公演、
7月3日の午前10時には、次の公演先へと羽田を発ち、
写真集「「ビートルズ東京~100時間のロマン」のとおり、
たった103時間の滞在、まさに台風のように通り過ぎた。

まさか、このあと、ビートルズがコンサート活動をやめて、
さらには解散して、この武道館公演が、ビートルズとして
唯一のコンサートになるとは、誰も思わなかっただろうし、
ジョンの存命中は、再結成、再来日を誰もが夢見ていた。

結果的に、最初で最後のコンサートになってしまったから、
日本で演奏が聴けたのは、約30分間、11曲のみであり、
最後の曲は、ポールが歌った「アイム・ダウン」だったから、
これがビートルズとしての最後の演奏、白鳥の歌となった。

この曲は、シングル盤のB面で、自分がLPを集めた頃は、
本国イギリス盤はもとより、アメリカ編集・日本編集盤にも、
収録されず、シングル盤でしか聴けない数曲の一つだが、
ライブの定番曲というせいもあってか、普通に知っていた。

ハンブルグ時代から、ライブの最後は、ポールの絶叫する、
「のっぽのサリー」でしめくくるのが、お決まりになっていて、
それに代るオリジナル曲を作ろうと、ポールが作詞・作曲し、
65~66年のライブは、ほとんどこの曲を最後に演奏した。

ビートルズ本だったか、ブログだったか、記憶が曖昧だが、
リバプール・ハンブルグの人たちでは、アマ時代のライブで、
最後に歌う「のっぽのサリー」で、ポールのキレまくる絶叫が、
今でも語り草になっているそうで、レコードの比でないとか。

そんなノリノリ、キレキレの曲に続けとばかりに、作ったから、
冒頭から、ポールが無伴奏で絶叫し、コーラスも叫んでいて、
間奏ギターをジョージが決めると、次にジョンがオルガンで、
鍵盤をスライドさせて、リンゴはボンゴまで叩きまくっている。

伝説の球場コンサートである、シェア・スタジアム・ライブは、
その記録映画が、ロードショー公開までされたように思うが、
確か、自分は、シネクラブ主宰の「ビートルズ復活祭」で見て、
全編上映したろうか、「アイム・ダウン」だけ、よく覚えている。

汗だくのジョンが、上着のボタンを外し、オルガンの前に座り、
その脇のマイクに、ジョージが寄ってきて、一緒にハモッたり、
オルガンのソロでは、ジョンが腕を突き上げたり、肘を使って、
鍵盤をスライドさせたり、パフォーマンスがすごく派手だった。

「アンソロジー」でリンゴが、「ジョンは完全にキレていた。」と、
何だか苦々しそうに回想しているが、ショーとしては見事だし、
ギターを燃やすジミ・ヘンドリックスに比べれば、おとなしいし、
ロックなんだから、何をいったい、リンゴは気に入らないのか。

そんなわけでもないのだろうが、日本公演に限らず、66年は、
ステージにオルガンが用意されていても、ジョンが弾くことなく、
YouTubeにあるドイツ公演でも、ジョンはカジノを抱えて演奏、
この時、ポールは、ジョンに歌詞を教わるも、2番から歌った。

歌詞を間違えるのは、ジョンが常習犯というイメージが強くて、
ポールは、そんなことないように思えるが、ライブ音源を探すと、
けっこう間違えたり、笑い出していて、レコード盤に記録された、
ジョンのミスが目立ちすぎるのと、2人の性格の印象のせいも。

「アイム・ダウン」が録音された日は、まさにポールの独壇場で、
たった1日で、「夢の人」、「アイム・ダウン」、「イエスタデイ」と、
立て続けに演奏し、歌ったそうで、「アイム・ダウン」で絶叫して、
一転、弦楽バックに、「イエスタデイ」を歌ったポールには脱帽。

自分と比べるのも失礼だが、「アイム・ダウン」のような絶叫は、
そもそも、高音が出ないのは別として、せいぜい2回歌うのが、
限度であって、その後、かすれた声さえ出なくなってしまうのに、
ポールの声帯はどうなっているのか、プロだと誰もそうなのか。

自分は、いつもリズム音痴だと、愚痴っているが、それ以上に、
実際の音痴も重症で、ハモリが濁って、何度も歌いなおしたり、
出だしの無伴奏で歌う部分が、音程がどんどん下がってしまい、
伴奏が入ったときに、半音から1音ずれて、ちょっとひどすぎた。

そこで、空いているトラックに、リズムギターを録音して、歌うが、
メロディーはAの音程なのに、コードはGを弾くから、つられて、
Gで歌う始末で、さらにと、メロディー・ラインまで空きトラックに、
ガイド用で録音したが、それでも音程が合わなくて、打つ手なし。

コーラスは、いつものように、バンドスコアだと省略されていて、
YouTubeの「ビートルズ・ヴォーカル・ハーモニー」を参考にして、
「I realy down」は2声、その後ろで、「down」と伸ばすのは、
3声にするが、ここはライブで省略されていたから、初めて歌う。

ジョージのリードギターは、ステレオでよく聴くと、右チャンのは、
ディレイで振り分けているようでいて、途中でフレーズが変わり、
ツインギターなのかと、不思議に思うと、歌をダビングする前の、
ベーシックトラックでも弾いた音が残って、そのままにした模様。

「アンソロジー」で聴けるベーシックトラックは、これとはまた別の、
リードギターのフレーズが聴けるので、ジョージは、ソロの最初と、
最後は、ある程度フレーズを決めるが、あとはアドリブのようで、
ドイツ公演では、ポールが「タックスマン」で弾いたようなフレーズ。

すでに、「リボルバー」の録音を終えて、ツアーに出ていたから、
「タックスマン」も完成していたはず、自分の曲のリードギターを、
ポールが弾いたのが、やや引っかかるものの、このフレーズは、
格好良いなあと、何気にコピーしたのかと、想像するもの楽しい。

ポールの武道館公演にちなんで、いろいろと演奏してはきたが、
最後にトリのつもりで選曲した「アイム・ダウン」は、企画倒れで、
ビートルズ日本公演の白鳥の歌が、鶏を絞め殺したような声で、
自分の歌えるキーを再確認すべきと、反省だらけとなりました。









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