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僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
歌詞は難解だが、ジョンのストレートな歌声の「ディグ・ア・ポニー」
久々のライブ演奏へ向けての、ドキュメンタリーとして始まった、
「ゲット・バック・セッション」は、たった1度のライブでさえも中止、
人間関係も悪化するなか、テレビから、映画へ方向転換したり、
紆余曲折が続いて、膨大な、未完成の演奏、フィルムが残った。

何とか、まともな演奏をまとめて、アルバムの形にはしたものの、
発売は延期され、原点回帰、「ゲット・バック」とは、かけ離れて、
フィル・スペクターが、オーケストラや、合唱をダビングして完成、
映画のサントラ盤、「レット・イット・ビー」として、ようやく発売した。

ダビングなし、4人での演奏に戻ることが、コンセプトだったから、
ポールが、特に「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」への、
オーケストラ、女性コーラスの起用に怒り、今も根に持ちながら、
「ネイキッド」として、元のシンプルな演奏にしたのも、有名な話。

ただ、ポールやビートルズ側にも問題があり、やりっ放しというか、
未完成なテープと、形ばかりの屋上ライブ、スタジオライブを残し、
あとはよろしく、編集してアルバムに仕上げておいてね、となると、
いつものジョージ・マーティンも、さじを投げたのか、手をつけない。

いわば、最悪な音源だけ残った感のある、一連のセッションだが、
それでも、一時期の、テープの回転操作をして、録音してみたり、
レスリースピーカーを通したりと、ジョンの声を加工したのに対し、
ストレートな生のジョンの歌声が聴ける、それだけで価値はある。

中学時代、ジョンに憧れ、その声を必死で真似ていた自分には、
「ディグ・ア・ポニー」や、「ワン・アフター・909」でのジョンの歌は、
デビュー当時のジョン節と並ぶ、いかにも、ジョンという歌い方で、
アルバム「レット・イット・ビー」の中で、気に入って歌った曲だった。

このアルバムでは、基本的に、4人はダビングなしの演奏だから、
中学時代の、ジョージ役と2人きりのビートルズ・コピーバンドでは、
「サージェント・ペパーズ」などに比べて、はるかに再現しやすくて、
弾き語りに毛が生えた程度だが、2人で演奏して、その気になった。

当時、ビートルズの楽譜は、なぜか、ギターでなく、ピアノに編曲し、
国内盤の全LPに、曲を合わせたものが、分冊で発売されていて、
「ミート・ザ・ビートルズ」や、「レット・イット・ビー」とかを手に入れて、
耳コピが苦手な分、ピアノ譜のイントロや間奏を、参考にしていた。

ピアノ譜だから、ギター用タブ譜どころか、ポジションの指定もなく、
「ディグ・ア・ポニー」のイントロのリフは、開放弦を使って弾いたが、
今回、全曲バンドスコアを見ると、5~9フレットが指定されていて、
映像で確認すると、ジョージだけでなく、ジョンも、ハイポジション。

このあたり、正しい弾き方がわかって、さすがのバンドスコアだが、
その反面、この曲では、ビリー・プレストンが弾く、ピアノのパートが、
載っていないし、ジョージが弾く、歌に絡むオブリガードのギターが、
1番・2番とフレーズを変えていくのに、最初の分しか、出ていない。

ジョージの弾くリズムギターや、一部のハモリが、省略されるのは、
もう慣れたというか、あきらめたが、リードギターは採譜して欲しく、
耳コピすれば良いと言われても、苦手だし、その時間が惜しいから、
市販の楽譜を買うのにと、ないものねだりの、いつもの愚痴となる。

それで、イントロは、せっかくの正しい弾き方を知っても、指を広げ、
ポジション移動するとなると、かなり、ぎこちない演奏となってしまい、
長年覚えた弾き方は、そうそう変えられないと実感し、今さらながら、
クラシックギターで、正しい姿勢、押さえ方を、しつこく言うのも納得。

この曲のテンポは、全体を通じて3拍子だが、イントロでは128で、
歌が始まると、114と遅くなって、さらに、リタルダンドもしているが、
自分のMTRでテンポを変えるのは、至難の技、時間もかかるから、
120で通したが、イントロは、間の抜けたようになり、今後の課題に。

ジョンは、エピフォン・カジノを歪ませ、こもった音色でコードを弾き、
ジョージは、フェンダー・テレキャスターで、エッジのきいた硬い音色、
自分は、どちらも、ストラトにし、ギターのトーンをしぼり、ジョンの音、
トーン全開で、ピックをひっかけるようにして、ジョージの音を出す。

最後の歌詞が、 昔の歌詞集では「dug a pony」、楽譜全集も同様、
CDの歌詞は、「dig a pony」だが、そうは聴こえないと思っていて、
「ネイキッド」は「dug~」、バンドスコアでは、「 cold and lonely」、
ネットでは、「roll a lorry」とあるが、とりあえず、バンドスコアに倣う。

映画では、イントロに続けて、「All I want is」と、ポールが歌ったが、
フィル・スペクターは、そこをカットして、「レット・イット・ビー」に収録、
なぜか、「ネイキッド」も同様にカット、そもそも、この部分の歌詞は、
ジョンがヨーコへ向けたという、愛のメッセージだそうで、何ともはや。

それなら、何をおいても、最初の部分を、ジョンは歌うべきだろうが、
まるで、デビュー曲の、「ラヴ・ミー・ドゥー」で、ハーモニカを吹くため、
ポールに歌ってもらったように、「I I Hi Hi~」とかぶってくるから、
ポールにやらせ、なぜか、ポールは、「You」までは歌わないでいる。

映画「レット・イット・ビー」の、屋上での演奏が、LPにも収録された、
「ディグ・ア・ポニー」は、ジョンらしい歌声が光る、名ライブですが、
自分は、テンポが間延びしたうえ、生唄のジョンとは、どうやっても、
似ても似つかない悪声で、没にすべきところ、無理やりのアップです。


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高中正義の初期傑作、ギターのハモリもすごい「レディ・トゥ・フライ」
フュージョン・ギタリスト、高中正義を、最初に聴いたのは、
76年の夏頃、ラジオから流れた、「スイート・アグネス」で、
これは、当時大人気のモデル、アグネス・ラムに便乗した、
企画もので、こういうことする人っているよな、という印象。

軽快なカッティングで、始まるイントロは、格好良かったし、
シンセとユニゾンのテーマも、すごくメロディックだったが、
サビもゆっくり弾くだけで、ギターのアドリブ・ソロもないし、
ギタリストのソロ作品としては、もの足りない感じだった。

その頃に、加藤和彦の「オールナイト・ニッポン」に呼ばれ、
最近は、スタジオの仕事が多いなど、語ったので、勝手に、
テレビの歌番組で、歌手の伴奏をするビッグバンドの人や、
スーツを着て、スタジオに出勤する姿とかを、イメージした。

それとは別の回だったろうが、加藤和彦も高中も在籍した、
サディスティック・ミカ・バンドの、ロンドンでのライブ音源を、
「カセットテープの録音で、音が悪いんだけれども」と言って、
かけていたから、、高中のギターも、そこで改めて聴いた。

ミキサーが録ったカセット音源だが、迫力ある演奏だからと、
LPで発売されて、自分も買って、組曲「黒船」に感動したし、
高中のギターや、後藤次利のチョッパーにも圧倒されたが、
逆に、「スイート・アグネス」は、もっと弾けるのにという気分。

77年、2枚目のLPが出て、雑誌ヤングギターのレビューで、
「ジェフ・ベックに聴かせたい」とあるから、ベック命の自分は、
もともと、ミカバンドでの演奏で、高中の実力を知っていたし、
お手並み拝見とばかり、次に買うのは、これにしようと考えた。

ちょうど、高2になった春、新玉川線開通記念に、渋谷から、
二子玉川まで、父母と乗車し、レコードでも買ってやろうかと、
父の言葉を、待ってましたとばかりに、目をつけていたLPを、
二子玉川の高島屋にはなくて、渋谷に戻って、買ってもらう。

雷鳴から始まる1曲目は、歌入りで、ベックのインスト路線と、
全然違うじゃないかと、いきなり、つまづくが、間奏になると、
スケールや、アルペジオを交えた、ロックとは違うフレーズで、
短いながらも、スリリングなソロ、これだけで、もう夢中になる。

聴きなれた「スイート・アグネス」や、ドッキリ番組でも流れた、
「マンボNO.5」のカバー演奏も、メロディは全部、ギターだが、
アドリブは少なくて、ツインギター、トリプルギターで音を重ね、
全体を、ギターミュージックとして、作り上げているという印象。

もっと早弾きとかしないのかと、思っていると、ケチャみたいな、
人間カラオケが始まり、曲をとばそうかとしたら、ベースが入り、
スケール練習のようなギターが、6本も重なる、早弾きに続き、
「レディ・トゥ・フライ」のテーマが奏でられると、もう身震いした。

最初に聴いた印象を引きずるから、何をおいても、この出だし、
ギター・オーケストレーションのように、重なってくるギターが、
しかも16分音符の早弾きという、とにかく感動しまくったので、
その後のライブで定番となる、イントロパターンは、なじめない。

発売当初にライブ演奏したかは不明だが、ミカバンドの仲間と、
サディスティックスを結成し、77年にテレビ番組で演奏したり、
78年にライブ録音した際、「レディ・トゥ・フライ」もやっているが、
当然ながら、ギターのハモりは、キーボードでも再現していない。

バックバンドに、ギターの名手、鳥山雄司や是方博邦がいても、
おそらく、ツインギターにアレンジして弾くこともなかったはずで、
何かの機会に演奏していて、YouTubeで見れないかと探すと、
ハモリ入りオケを作って、見事に再現する達人が、何人もいる。

ビートルズの演奏でも、同様だが、、本当に、原曲にそっくりで、
同じギターを使って、音色もそっくりな達人が、世の中には多く、
特に高中では、自分と同年代のフュージョン全盛期を過ごした、
アラフィフなのかなあと思い、自分もがんばろうと、励みになる。

みんな、あのイントロが好きなんだよなあと、嬉しくなってくるし、
倉庫から戻ってきた、高中のバンドスコアにも、載っているので、
24チャンネルあるMTRを使って、じっくりとオケを作ってみるが、
いわゆるスケール練習のようなフレーズが、まともに弾けない。

渋谷河合楽器のジャズギター教室では、バークリー教本を使い、
スケール練習は、徹底的に鍛えられたし、この高中正義の曲も、
イントロのハモリも出ている、ギターマガジンを先生が持ってきて、
どうだ、弾けるかと渡されて、昔から弾いている曲ですよと弾く。

ところが、イントロのスケールは、バークリーの運指とは違って、
早弾き自慢の自分が、ついていけず、楽勝のつもりのテーマも、
16分音符の休符が、全然合っていないし、裏拍がずれていくと、
かなり注意されて、何度も先生に合わせて、ノリの練習をした。

それだけ、練習をした曲だから、オケさえ作れば、一発録音で、
今週の演奏は余裕だと思っていたら、大間違いで、自分の中で、
昔は、うまかったつもりになっているうえ、当時のレベルに比べ、
かなり下がっているから、ギャップが倍増して、現実を思い知る。

地道にスケール練習から、やり直すが、アルペジオフレーズは、
中途半端に、スイープ奏法をかじったから、オルタネイトと混在、
かなり、もつれた演奏になってしまって、週1の更新に戻っても、
オケ作りに余裕が出るだけで、ギターが、うまくなるわけでない。

そのうえ、なまじオケに時間がかけれるから、音を加えようなど、
トライアングルを買ってきて、最後にダビングすると、家族からは、
うるさくて近所迷惑と言われ、必死に16分音符で叩いていると、
メロディが始まらず、何と、リードギターを消して、録音していた。

気を取り直して、ギターをやり直すが、高中のストラトサウンドは、
クリーンな音、コンプサウンドと言われるのに、自分のストラトは、
生音では、ベンチャーズのモズライトみたいで、イントロも含めて、
ベンチャーズか寺内タケシが、高中の曲をカバーしたみたいな音。

少しは歪ませると、今度はキンキンし、じゃあ、少しトーンを絞り、
こもってくる分、高音をイコライザーで上げてと、やればやるほど、
元々の高中の音からは、遠ざかる一方で、演奏のミスに加えて、
音色の方も、うまく再現できず、課題だらけの演奏になってしまう。

ところで、自分の演奏は、いつもカバーだから、YouTubeの題名も、
タイトルのみにしているが、カバーと知らず、検索でヒットしたまま、
再生したら、おいおい、何だこれは、という人も、いるそうなので、
せめて、これからアップしていく曲は、きちんと「カバー」とつける。

77年、高2の春に聴いた、かれこれ、37年前になる高中のLP、
数少ないCDで買い直した、愛聴盤でもある、「TAKANAKA」から、
感動したギターのハモリを、倉庫から戻ったバンドスコアを使い、
再現できると、皮算用したものの、かなりお粗末で、反省大です。





1本のマイクで仲良く歌ったと思い込んでいた、「トゥ・オブ・アス」
74年、中2の夏に、友人に誘われて、新宿武蔵野館へ行き、
ビートルズの三本立て映画を見たのが、彼らとの出会いだが、
どの映画も、名曲が満載だったのに、音楽への印象は少なく、
「ヘルプ!」のコメディ路線に笑って、映画として楽しんでいた。

それだけに、ドキュメント映像である、「レット・イット・ビー」は、
「ヤア!ヤア!ヤア!」や「ヘルプ!」の、若々しい彼らとは、
見た目もヒゲだらけのうえ、スタジオ内の映像が中心だから、
照明の加減も薄暗く、全体に暗い雰囲気で、つまらなかった。

その後、ビートルズのファンとなり、翌年も武蔵野館へ行ったり、
ビートルズ・シネ・クラブの大会や、週末の午後とかのテレビで、
吹き替えは困難だからか、かまやつひろしがナレーションした、
字幕付のものと、5回くらいは見たが、印象は変わらなかった。

ビートルズの演奏場面だらけなので、真剣に画面の彼らを追い、
どんなふうに弾くのか、ギターはどのポジションを押さえるのか、
曲を作り上げていく舞台裏は、コピーバンドを目指す自分には、
貴重な映像だったが、映画というより、今で言うメイキング映像。

このゲット・バック・セッションの後に、最後の力を結束するごとく、
名盤「アビーロード」を作るのだが、LPの発売順に録音されたと、
中学当時は思っていたから、最後に出た「レット・イット・ビー」が、
最後の録音・演奏で、このまま、ビートルズは解散したと思った。

解散にいたるドキュメントと、勝手に思い込み、映画を見たから、
暗く感じてしまうのだろうが、ビートルズについて何の知識もなく、
3本立てで見た時にも、同じ印象だったのだから、普通に見ても、
地下スタジオ、冬の屋上の演奏は、一種異様な感じだったろう。

それでも、最後のハイライト、ルーフ・トップ・セッションと呼ばれる、
アップルビル屋上のゲリラ・ライブは、寒空の下、コートを着込み、
手もかじかんでの演奏だったが、室内に比べれば明るい映像で、
不特定の観客を前に演奏するビートルズは、生き生きとしていた。

音を聴きつけて集まる人、「新曲かな、ファンなんだ」と語る人は、
まだ、ビートルズのビの字も知らない自分にも、すごく印象に残り、
「ビートルズって、ロンドンの人達に、愛されているんだなあ。」と、
ほのぼのとしたし、この歳になると、それだけでウルウルとなる。

「レット・イット・ビー」を何度か見たとはいえ、もう40年近くたつと、
かなり勘違いして記憶していて、以前にもブログに記事に書いた、
「アクロス・ザ・ユニバース」で、ジョンがイントロを見事に弾くのは、
ギターのアップの映像だと思っていたが、全員が写ったアングル。

ジョンとポールがハモった、「トゥ・オブ・アス」も、1本のマイクに、
2人が向かい合って、仲良さそうに、歌っている場面だとばかり、
思っていたが、今回、YouTubeで見たら、ポールが1人で立って、
ジョンは、向いの壁際に座り込み、かなり離れ離れで歌っていた。

この演奏場面は、リンゴは無表情というか、ふてくされているし、
ジョージは、ベースのフレーズをギターで弾かされて、不機嫌で、
顔をかいたりして、集中せず、ジョンは、やる気なさそうな表情で、
たまにポールを睨むように見つめて、こんな寒々としていたとは。

いったい何と勘違いしていたのか、リハーサルでは、2人一緒に、
じゃれあうように歌う姿も見られるが、ジョンはエピフォンのカジノ、
ポールはベースを弾いて、自分の記憶にある、2人ともアコギで、
マイクに向かい合い、ポールが嬉しそうにハモることもなかった。

何か別の曲と、ごっちゃになっていたのだろうかと、映画全編を、
デイリーモーション動画で見つけたが、そんな場面などはなくて、
最悪のセッションでも、歌うときだけは、2人は心を通じていたと、
自分の願望が生み出した、幻の情景だったようで、自分でも驚く。

もちろん、いつも険悪だったわけでなく、現にリハーサルの時は、
ジョンもギターのポーズを決めたり、のっているし、YouTubeには、
「ヘルプ」を替え歌のようにし、笑い合う2人がいるし、昔作った、
「ワン・アフター・909」では、本当に息の合ったハモりが聴ける。

これも勘違いしていて、最近知った事の一つに、映画の中では、
屋上のでライブの場面で最後となるが、実際には、その翌日に、
スタジオライブを行っていて、生ピアノ、生ギターで演奏する曲は、
そこで完成形を録音、屋上ライブは、決して最後の姿でなかった。

「トゥ・オブ・アス」は、その際の演奏だが、これも編集によるのか、
ファンの間で有名なポールとジョージの口論は、この曲のリハで、
起きたように見受けられ、ポールの指定したベースのフレーズを、
ジョージが弾かされたと思ったら、別の曲でのやり取りという説も。

なぜか、一発録音にこだわりすぎて、後から、ポールがベースを、
多重録音すれば良いだろうに、ポールがピアノで弾き語る曲では、
ジョンやジョージが、6弦ベースを弾いたし、「トゥ・オブ・アス」だと、
ギターでベースの代わりをするという、一風変わった方法を取る。

ベースで弾いたほうが良い気もするが、ここは、ジョージのとおり、
エレキギターのトーンを絞って、ベースのようにモコモコした音で、
演奏したが、もともとベーシストでない自分が、ギターで弾いたら、
いかにもギターという感じで、ノリを出しボトムを支えるのは無理。

リンゴはバスドラムを1拍ずつ叩き、16ビートではないが、細かく、
フロアタムをフィルインしていて、これが、リンゴならではというか、
ビートルズのリズムを支え続けた男の、独特のノリを出していて、
リズムマシンでは、再現不可能で、ましてMTR内蔵では、陳腐に。

ジョンとポールの弾くアコギも、自分のモーリスのエレアコの音は、
プラスチック材のせいで、木の響きのないまま、ライン入力されて、
どうにも気に入らないうえに、相変わらずの悪声、音痴とあっては、
全パートがNGだが、中学時代のレパートリーなので、懐かしく歌う。

ジョージ役と2人のコピーバンドには、ギター2本で再現できそうな、
数少ないレパートリーで、これは、ダビングなしでも、いい線いって、
2人でハモッたり、自宅でも、ジョンとポールのハモリを両方覚えて、
リンガフォンのカセットレコーダーで多重録音し、一人満足していた。

中学時代、自分がビートルズと出会った、3本立ての映画の一つ、
「レット・イット・ビー」から、そのサントラ盤LPの、冒頭を飾った曲、
「トゥ・オブ・アス」を、自分の幻想の、ジョンとポールが向かい合い、
嬉しそうにハモる情景を、再び想像しながら、録音、歌っています。





倉庫から戻った楽譜より、まずは、シャカタク「ナイト・バーズ」
十数年前、書斎を子供部屋にする時に、カセット、レコードは、
処分したくないので、押し入れや本棚に溢れんばかりあった、
雑誌や楽譜の大半を処分、残ったうちの、さらに半分程度を、
寺田倉庫の本パックに預け、その後も、追加して預けていた。

品川の倉庫へ行けば、箱の中身が出し入れできるというので、
いずれ見に行けば良いと思い、どれを手元に残しておくかは、
あまり選別しなかったが、もうバンドを組むこともないだろうと、
バンドスコアの大半や、ジャズ、フォークの曲集などを入れた。

結局、一度も倉庫へ行くことはなく、ブログで演奏を始めると、
「あのバンドスコアは捨てたっけ、預けてあると良いけど。」と、
まさか、ドラムやベースの譜面まで、活用する機会が来るとは、
思いもしなかったが、根が出不精なので、先延ばしにしていた。

寺田から、今年いっぱいで、東北の方に倉庫を移転するので、
閲覧はできなくなり、宅配便での出し入れになると通知が来て、
何か1冊楽譜を探そうにも、どの箱に入れたか、覚えてなくて、
全部送ってもらって、詰め直したり、リストにしないといけない。

3年前の1階のリフォームの際、近所のトランクルームを借り、
ギターやレコード、カセットテープ、ゲーム類を、保管してあり、
そこへは、時々、出し入れに行っているので、寺田を解約して、
差額分で、一回り大きい部屋に変更し、そこへ入れることに。

預けた段ボール12箱の大半は、楽譜や音楽雑誌のつもりで、
わくわくしながら梱包を解くと、半分は、漫画やビデオテープ、
アルバム類で、楽譜は、ジャズ、クラシックからピアノ譜も含め、
ほとんど出てきたが、雑誌は、取っておいたつもりの号もない。

それでも、高中正義、松岡直也、カシオペア、スクエアという、
フュージョン系のバンドスコアが出てきたのには、歓喜の嵐で、
これで向こう1年は、ブログのレパートリーにも事欠かないと、
弾ける弾けないなど考えない皮算用で、目次を何度も見返す。

まずは、第一弾として、マニアックに走ることなく、大ヒット曲、
これぞ、フュージョン・サウンドだと、お茶の間にも知らしめた、
シャカタクの「ナイト・バーズ」に決めて、久々に原曲を聴くと、
本当に見事すぎる曲で、メロディ、編曲ともに完成されている。

ただ、レコードでしか持っていないので、図書館でベスト盤の、
CDを借りたら、シングル盤に編集されたテイクなのだろうか、
途中のシンセのサビが半分の小節だったり、エンディングで、
延々とアドリブを弾くところを、その前でフェイドアウトしている。

LPでは6分以上の曲だから、シングルカットに際し、短くして、
3~5分にするのは、他の曲でもよるあることだが、ベスト盤は、
元の長さにしてくれないのか、せめて「シングルバージョン」と、
表記すべきと思いつつ、お茶の間には意味ない、こだわりか。

それにしても、ヒット曲になる、お茶の間にまで浸透する時とは、
こういうものなのか、当時、ラジオで聴き、良いなと思っていたら、
あれよ、あれよという間に、あちこちのラジオ番組、レコード店、
喫茶店、カフェバーで、耳にするようになり、テレビのBGMまで。

この曲が収録された、同タイトルのアルバム「ナイト・バーズ」は、
シャカタクの2枚目だが、日本では、こちらの方がデビュー作で、
売れるとわかると、本来の1枚目も発売され、単に無名だから、
国内盤を発売してなかったのに、「幻のファースト」と宣伝された。

ギタリストを中心に、クロスオーバー、フュージョンを聴いてきた、
自分にとっても、すごく新鮮なサウンドで、当然、1枚目も買って、
他の気に入った音楽と出会った時と同様に、もっと聴きたいぞと、
飢餓感が高まり、この手の音を求め、レコード屋で探したりする。

それは、レコード会社も同じで、本当、よく見つけてきたという程、
インストのアルバムが発売され、アイスランドから「メゾフォルテ」、
オランダから「フルーツケーキ」と、天気予報のBGMにまでなる、
売れ線メロディのバンドも紹介され、空前のフュージョンブーム。

テクニック重視、マニアックになりがちな、クロスオーバーの中で、
ジャズギタリストのジョージ・ベンソンが、ヴォーカルで売れたり、
「歌わないヒーロー」なるアルバムまで出した、クルセイダーズが、
歌姫、ランディ・クロフォードを起用と、下地ができていったところ。

サックス奏者のグローバー・ワシントンも、ヴォーカルを起用して、
いわゆる「お洒落、クリスタルなサウンド」が、広まっていく中で、
満を持したような、シャカタクの「ナイト・バーズ」は、売れて当然、
ただ、ここまで爆発的に売れたのは、バブル前の時代の流れか。

シャカタクの音楽は、ブリティッシュ・ジャズ・ファンクとされたが、
自分は、細かい分類は不明で、クロスオーバーとフュージョンは、
リアルタイムで経験した自分が、そう呼んでいた頃で区分しつつ、
結局、ジャズっぽいインストは、何でもフュージョンと思っている。

実際、ビル・シャープが演奏するピアノの、アドリブラインを聴くと、
ジャズのビパップのフレーズが多く、ジャズギターの教則本にも、
出てくるフレーズで、ジャズっぽいし、バンド全体のリズムとかが、
16ビートなので、「ファンク」と呼んだのか、これこそフュージョン。

少しは記事らしいことを書こうと、いろいろと、書き連ねたものの、
とにかく、理屈は無用、このうえなく、心地よいサウンドを聴かせ、
一世を風靡したのが、シャカタクであり、その代表曲、これ1曲で、
彼らのすべてがわかると言っても過言でない、「ナイト・バーズ」。

演奏は、ドラムを打ち込み、ベースとギターはそのまま弾いて、
ピアノやシンセは、ギターシンセで、右手、左手を別々にという、
いつものオケのやり方、コーラスは、ストリングスにしていたが、
エレクトーンのBGMみたいになるので、悪声だが、少し歌った。

1週間で1曲にして、演奏のクオリティを上げると言ったものの、
シンセの音は、プリセットで多少似た音を探す程度で、手抜き、
ベースは、ライブではチョッパーだが、レコードは指弾きなので、
それに倣うと、どうもノリが出せないしと、相変わらずのレベル。

80年代、「男女七人夏物語」などの、ドラマのテーマも手がけ、
フュージョンブームの中心にいた、イギリス出身のシャカタクの、
82年のセカンドアルバムの、タイトル曲にして、最大のヒット曲、
「ナイト・バーズ」を、バンドスコア奪還(?)記念のアップです。





ギターのリフが格好良く、謝恩会で弾いた「デイ・トリッパー」
日本一のビートルズ・コピーバンドを目指した、中学の頃、
ジョージ役の同級生と、二人だけで、いつも練習していて、
ただ一度だけ、人前で演奏したのが、卒業前の謝恩会で、
中学校体育館の舞台に、200人を前に、二人して立った。

演奏する曲を、どのように決めたか、あまり覚えていないが、
全曲コピーに取り組んでいたプライドから、「抱きしめたい」、
「シー・ラブズ・ユー」、ましてや、有名すぎる「イエスタデイ」、
「ヘイ・ジュード」、「レット・イット・ビー」とかは、当然に外す。

二人だけでもさまになり、ジョージ役のリードギターの腕を、
フォークソングを演奏する、同級生たちにも見せつけたいと、
教室でフォーク、歌謡曲を歌い、女子たちにキャーキャーと、
言われる連中への対抗意識で、自分の方がむきになった。

「デイ・トリッパー」は、イントロからギターのリフが格好良く、
何度もリズムがブレイクして、リフだけとなるのが目立つし、
間奏のギターソロも、短いながら、ロックっぽいフレーズで、
何より、ビートルズが、日本公演で演奏した曲なので決定。

お互いに、家から、延々とキャスターを転がし、運び込んだ、
お揃いのヤマハのギターアンプに、自分はリッケンバッカー、
ジョージは、ギブソンSGをつなぐと、ビートルズを気取って、
わざと大きな音で、チューニングを始め、客席にアピール。

バングラデシュ・コンサートで、冒頭、ラビ・シャンカールが、
シタールを少し弾いたら、拍手がわいて、「チューニングで、
そんなに拍手してもらって。」と笑ったのも、すごく意識して、
「アイ・フィール・ファイン」などのリフも、立て続けに弾いた。

それで、チューニングを終えると、曲だったのか、間違えて、
演奏をやめたのかと、ちょっとしたざわめきと、笑いがわき、
すかさず、ジョージが、「デイ・トリッパー」のリフを弾き始め、
3回目から、自分も叩きつけるように、リズムギターを弾く。

何となく、演出がうまくいったような気分で、嬉しくなったし、
歌いながら、客席を見渡すと、自分たちが注目されていて、
浮かれてしまった自分は、途中のブレイクで、マイクに向け、
「イェー、ウイ・アー・ビートルズ!」と、大声で叫んでしまう。

ジョージが、「何やってんだ」とばかり、あ然として横を向き、
弾き慣れたリフを止めてしまって、ほら、弾いて、弾いてと、
合図を送って、何とか、演奏を再開したが、「お前のせいで、
間違えたじゃないか。」と、あとで、文句を言われて、平謝り。

それでも、この演奏は、ジョージとのハモリも決まっていて、
友人が録音してくれたテープを聴いても、よい感じなので、
高校の同級生に、ジョージ役は、ギターがうまかったんだと、
自分のことのように自慢して、このテープを聴かせたりする。

「バックで鳴っているリズムギターは、リッケンバッカー?」と、
ギターに詳しい友人に尋ねられ、そうだと答えると、「すごく、
良い音しているよ。」と言われ、自分のギターの腕ではなくて、
楽器をほめられたのだが、何だか、すごく嬉しい気分になる。

実際の録音では、ジョンは、リッケンバッカーを使ってなくて、
これまたビートルズ本によって、エレアコのギブソンJ160E、
ストラトと意見が分かれ、同様にジョージが弾いたギターも、
グレッチだストラトだの書いてあり、いつもながら真偽は不明。

「デイ・トリッパー」は、口パクのPVやテレビ映像が残っていて、
ジョンはリッケンバッカー325だが、ジョージはグレッチの他、
ギブソンES-345を弾いていて、これまた、よくあるパターン、
見た目重視なのか、録音とは別のギターを抱えていたりする。

この曲は、ジョンが作ったが、歌い出しはポールになっていて、
シンコー「全曲解説シリーズ」には、「リードボーカルを聴けば、
どちらが作者か判るという公式が破られた。」とあり、そもそも、
そんな公式など存在したのか、作曲も演奏も、謎が多すぎる。

ジョンとポールのコーラスは、よく聴くと、上下が入れ替わるし、
主旋律の交代、Aメロとサビの交代は、普通にやっているうえ、
ジョージも真ん中だったり、下だったり、ハモのパートを変えて、
複雑このうえなく、いつも自分は、聴き取れる部分だけ鼻歌に。

ジョージ役とは、二人きりだから、ジョンの曲、ポールの曲とも、
基本的にメロディは自分が歌って、ジョージは、ハモリ専門で、
自分が、ジョンとポールのパートを、混ぜこぜで覚えていても、
それに合わせてくれて、ハーモニー感覚、音感の差を感じた。

今回、バンドスコアに沿って、正しいハモリを、確認していくと、
やはり自分は、最初にポールのパートを歌い、途中からジョン、
またポールに戻ったりと、聴き取りやすい音程で覚えていたが、
それが必ずしも、上だけ下だけにならないのは、不思議な感じ。

スコアは、間奏の3声のコーラスが、途中から2声になっていて、
大半の曲で、省略される、ジョージの弾くリズムギターに続いて、
コーラスまで、完全コピーとは程遠い手抜きで、一体どうしたら、
こういうのを平気で出版できるのか、ロックの楽譜はひどすぎる。

こんな時、頼りになるのが、YouTubeの、ビートルズのハモリを、
解説してくれる達人で、間奏の3声も、よくわかったが、メロは、
ポールが「Got a good reason」と、一人で歌った後、低音部の、
「 For taking it easy way out」 に移り、こっちが正しいのか。

ギター教室の発表会、自分の結婚式より、多くの人前という、
人生最大の桧舞台で演奏した、思い出の「デイ・トリッパー」を、
その時と同じリッケンバッカーでリズムを弾き、コーラスの方は、
中3と違って、高音が出なくなり、蚊の鳴くようなかすれ声です。









今年に入ってから、調子に乗り、週に2曲を演奏してきましたが
そろそろ息切れなので、基本的に、週末の1曲ペースに戻します。

ブログをやめたり、中断するわけでなく、仕事が多忙になったとか、
健康上の理由でもなく、あまりに雑すぎる演奏が、1曲に戻せば、
少しは、ましにならないかとの安直な考えと、ビートルズ以外にも、
オケ作りをして、ギターを弾きたい曲があり、時間が足りないから。

クラシックギターの練習も続けるし、大好きな早弾きについても、
あと何年指が動くか、それまでは、スピードが落ちないよう練習と、
やりたいことがありすぎて、まだまだ、老け込んでいる暇もない。

週に1度の更新は続けるので、これからも、訪問をお待ちしてます。




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