僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
ジョージの作曲で、アルバム冒頭を飾った唯一の曲「タックスマン」
ビートルズは、66年に来日公演をしたが、同年8月をもって、
ライブをやめてしまい、来日直前に完成した「リボルバー」も、
ライブでは再現できない、スタジオ技術を駆使した曲ばかり、
録音段階で、ライブの中止は、暗黙の了解だったのだろうか。

アルバムは、「ワン・トゥー」と、低い声で呟くカウントで始まり、
テープを巻くノイズ、咳ばらいに、試奏のギターの音がまざり、
録音の様子を知りたいという、ファンの要望に応えたそうだが、
これをもって、レコーディング・バンドになるとの宣言に思える。

1曲目は、ジョージが作曲した「タックスマン」で、後にも先にも、
ビートルズのLPで、ジョージの曲から始まるのは、これだけで、
さらに、全14曲中、ジョージの曲が3曲というのも、かつてなく、
中期から後期にかけて、ジョージが台頭してくるのが、わかる。

2枚組30曲入りの、通称「ホワイトアルバム」での4曲に続く、
ジョージの曲の多さであり、曲数の割合からすると歴代最高、
ポールが主導権を握り、すごい勢いで作曲するのと対照的に、
寡作になりがちなジョンの隙をついて、ジョージが頭角を現す。

そうは言っても、ジョージの曲なのに、全体を通し目立つのは、
ポールの弾くベースラインで、16分音符のスタッカートを入れ、
力強くハネるベースは、すでに「ドライブ・マイ・カー」で聴けた、
R&Bのサウンドを、さらに昇華し、発展させた、見事な演奏。

そのうえ、ジョージのリードギタリストの、お株を奪ってしまった、
ポールによるアドリブソロは、これまでも、「アナザーガール」、
「涙の乗車券」などで、リードギターの腕前を披露していたが、
それ以上のテクニックと、過激な音色で、曲を印象づけている。

ジョージが、シタールに興味を持ち、インド音楽に傾倒すると、
ジョンやポールも影響を受けて、ジョージほど極端ではないが、
シタールの音を取り入れたし、ポールの弾いたリードギターも、
インド音階のようで、ジョージの雰囲気を出そうとしたのだろう。

当然ながら、最初は、ジョージがリードギターを弾いたそうだが、
何度やっても、うまくいかず、テープ速度を半分にしても駄目で、
これ以上は時間の無駄だと、判断した、ジョージ・マーティンが、
ポールに弾くように言うと、待ってましたとばかり、一発でOKに。

4弦の開放弦を、通奏低音のように鳴らしながら、弾いてみたり、
3弦上で、ハンマリングやプリングの、スラーで上下するあたり、
かなり、シタールの奏法を意識したフレーズで、ジョージとしても、
「インド風で満足」と語ったそうだが、内心では、どうだったろうか。

歯切れの良い、リズムギターは、ジョンなのか、ジョージなのか、
本によって違うが、後期の「オー・ダーリング」の刻みに似ていて、
そっちは、ジョージということなので、リードギターが弾けない分、
リズムギターくらいは、作曲した本人に、弾かせてやりたい気分。

このカッティングで、特徴的なのは、D7#9という、ジャズで使う、
テンションコードなのだが、ジミ・ヘンドリックスが、多用したから、
ジミヘン・コードとも呼ばれるし、ジミが初めて使ったとも言われ、
そうなると、「タックスマン」の方が先だよなあと、反論したくなる。

ビートルズは、ジミをよく聴いていたし、「サージェントペパー」を、
LP発売後、すぐにジミがライブで演奏し、客席にいたポールが、
喜んだというエピソードもあり、タックスマンのポールのギターは、
ジミを意識して弾いたという説もあるが、時系列的にどうだろう。

「タックスマン」を録音したのは、66年の4月で、ジミが渡英して、
エクスペリエンスを結成し、活躍するのは、66年10月であって、
その評判を聞き、ビートルズやストーンズが、ライブへ通うのは、
有名な話だが、それ以前に、両者に交流があったかは、不明。

無名時代、アメリカにいた頃のジミの演奏を、ビートルズが聴き、
そのコードを、すかさず真似てみたり、ソロもジミっぽくするのは、
ロックの伝説としては、すごく面白いし、どちらのファンでもある、
自分としては、つい、どんな会話になるか想像するのも楽しい。

歌詞は、あまりに高い税金が、自分らに課せられていると知り、
こんな過密スケジュールで働いたのにと、腹を立てたジョージが、
「皆さんは誰の為でもなく、私の為に働いているのですよ。」と、
皮肉って書いて、さらにウィルソン党首などの名前まで加えた。

「あなたの取り分が、5%では少なすぎるでしょうか、丸々全部、
持っていかないだけ、感謝して欲しいのですがね。」と歌うのは、
かなり誇張していると思っていたが、当時ビートルズの税率は、
95%だったそうで、それは、おとなしいジョージでも怒るわけだ。

今の時代でも、増税反対キャンペーンソングに使えると思うが、
自分の知る限りは、昨今の消費税が上がる際のニュースでは、
BGMに使われることもなかったし、ニュースや天気予報で流れ、
お茶の間に浸透する曲に、ビートルズは、案外少ない気もする。

この演奏は、今朝、一度、Youtubebにアップして、この記事に、
貼り付けようと、聴き返していたら、どうも、ベースがおかしくて、
ノリが悪いのか、どこか間違えて弾いたのか、原曲を再度聴き、
バンドスコアも見たら、その楽譜のベースラインが、全部間違い。

愛用の全曲バンドスコアでは、「ドン・ターット・ドンター」とあり、
昔から自分も、そのフレーズで、曲の伴奏を口ずさんでいたし、
2拍から3拍にかけての、16分音符には、注意して弾いたが、
正しくは、「ドン・タターット・ドンター」と、2拍の頭も16分音符。

アップしたのを削除して、ベースの部分だけ、丸々やり直すが、
指弾きだと、つっかえてしまうので、全部ピックで弾くことにして、
それでも、昔の癖で、何箇所も、間違えたフレーズに戻ったり、
ピックが空振りして、2時間ほどかけて、多少はましになった。

ベースのフレーズなんかより、根本的に歌を考え直した方がと、
家族に言われ、これがお茶の間を代表する見解、世間一般の、
自分の演奏に対する評価だと、改めて身にしみるが、懲りずに、
これからも、ビートルズの曲に関しては、歌を入れてアップする。

ちなみに、スコアのコーラス部分も、間違いのように思いつつ、
自分では、音が取れないから、そのまま歌うが、ジョージがミで、
ジョンとポールがファと、2度で音がぶつかって、以前にあった、
「ドライブ・マイ・カー」の、ソとファのハモリと同じで、ありなのか。

ポールのギターソロになる時の、ハモリは、音程は問題ないが、
「タックスマーン」と歌う感じが、テレビの実写版「バットマン」の、
「バットマーン」と歌うテーマ曲に、そっくりな気がして、テレビは、
66年からの放映らしく、ジミヘンコードといい、何かある66年。

最近は、「サージェント・ペパー」より、高く評価されることもあり、
ビートルズの活動が、スタジオ主体へと、移り変わる時期のLP.、
「リボルバー」の冒頭を飾った、ジョージ作曲の「タックスマン」を、
ポールのベース、ギターに気合を入れて、歌は相変わらずです。



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香津美が選んだスタンダードから、ウエスが弾く「サテン・ドール」
クラシック音楽でも、ポピュラー音楽でも、おなじみの曲や、
定番と呼ばれる曲は、数多くあるが、スタンダードと呼ぶと、
自分には、ジャズミュージシャンに、好んで取り上げられて、
多くの名演がある曲を指すと、ジャズ畑の発想になってくる。

さらに、ジャズファンの間では、この曲なら誰々の歌が良い、
誰それのピアノ・トリオが最高、いや、サックスのアドリブが、
見事な、あのグループの演奏こそ、この曲を代表するだの、
スタンダードの曲は、一晩では語り尽くせないくらい魅力的。

ただ、自分は、20歳前後に、ジャズギターを習っていたが、
テクニック向上が目的であり、ジャズそのものへの興味は、
ロックやフュージョンに比べて薄いし、そのロックにしたって、
早弾きギタリストがメインという、かなり偏った聴き方だった。

だから、ジャズギタリストたち、それも早弾きの名手である、
ジョー・パス、パット・マルティーノや、ジョージ・ベンソンらが、
弾いた曲に親しんでいて、代表的なスタンダードと言っても、
一般のジャズファンが考える曲とは、けっこう違ったりする。

高3の78年に手に入れ、最初にジャズギターを覚えたのが、
渡辺香津美の教本だったので、そこに掲載されていた曲が、
最初に接したスタンダードであり、その2冊の約20曲こそが、
ジャズの代表的なスタンダードナンバーだと、つい思いがち。

実際は、ウエス・モンゴメリーや、ジム・ホールによる名演が、
レコードで聴ける曲を、例題曲として、香津美は選んだろうし、
同様に、ピアノやサックス教本では、各楽器の名演が選ばれ、
必ずしも、教本の曲は、一般的なスタンダードとは一致しない。

その後、渋谷河合楽器のジャズギター教室に通うようになり、
先生から、ギター以外にも、サックス、トランペットやピアノの、
名盤とするレコードを聴くように言われ、チャーリー・パーカー、
マイルス・デイビス、オスカー・ピーターソンらのLPをレンタル。

FMでもエアチェックして、ジョン・コルトレーン、ビル・エバンス、
カウント・ベイシー楽団と聴いていくと、スタンダードと言っても、
ギターとはずいぶん違うし、それぞれの楽器の良さもわかって、
逆に、ジャズ音楽にギターは不要かと、劣等感を抱いたことも。

ウエス・モンゴメリーのアドリブを採譜し、Ⅱm7~Ⅴ7の進行の、
練習に向いた教材として、香津美が選んだ「サテン・ドール」も、
この教本にある、「枯葉」「ミスティ」「四月の思い出」と合わせて、
スタンダードと思っていたが、他の楽器では、どうなのだろうか。

この曲の香津美の編曲は、テーマを、ウエス・モンゴメリーが、
得意としたオクターブ奏法にしているが、ウエスが、最初から、
テーマを崩しているのに対し、メロディに忠実に書かれていて、
サビでは、和音で弾くようになって、テンションコードが難しい。

続けて、ウエスのアドリブとなるが、単音で1コーラス弾いた後、
ウエスならではの、ブロックコードの見事なアドリブになるのは、
載ってなくて、自分は耳コピは苦手、まして和音は無理なので、
そのままテーマを繰り返して、終わるよう、昔から弾いていた。

ドラムマシンの4ビートに合わせ、ウォーキング・ベースっぽく、
ベースを録音して、香津美の編曲どおりにギターを重ねたが、
音がスカスカなので、ウエスがオルガンと合奏したのに倣って、
ギターシンセをオルガンの音にし、1コーラスだけ、アドリブも。

ウエスのソロデビュー作の、「ウエス・モンゴメリー・トリオ」は、
ギターにオルガン、ドラムからなるトリオで、ベースはいなくて、
オルガンがベースラインも弾くので、ギターが中心でなくても、
オルガン・トリオは、この編成らしいが、自分はベース入りに。

ウエスのオルガン奏者は、メル・ラインという人で、オルガンは、
あまり詳しくないが、第一人者ジミー・スミスの演奏を聴いても、
どうも、つっかえるような感じで、フレーズを弾いている気がし、
メルにしても同様、オルガン特有のノリ、弾き方なのだろうか。

「男女七人秋物語」、「東京ラブストーリー」の音楽で知られる、
日向敏文の、デビュー作のタイトル曲である、「サラの犯罪」は、
「サラ・スマイル」をもじって、「サラズ・クライム」なのだろうが、
オルガンが、途切れ途切れにテーマを弾く、変わったメロディ。

最初に聴いたとき、レコードが針飛びでもしているのかと思い、
何でまた、こんな、つっかえたメロディなのか、不思議だったが、
聴きこむと、それがすごく味わい深く、オルガンの音色だから、
ジャズオルガン特有のノリを再現したのかと、一人納得した。

それで、ジャズオルガンとは、つっかえながら、弾くもんだと、
勝手に思い込んでるところがあり、今回のギターシンセでも、
思いっきり、ひっかける感じで、正真正銘の一発アドリブにし、
ウエスのソロは、何度もやり直す、すごい極端な演奏となる。

このソロは、名演なのか、クロスオーバー創成期のギタリスト、
スティーブ・カーンが、HPで、自筆による採譜を掲載したうえ、
そのアドリブについて分析までしているし、YouTubeを見ても、
完コピ演奏が多く、ただ和音のソロまでは、誰もやっていない。

ジャズギタリスト、渡辺香津美が、ジャズギター教本で選んだ、
スタンダードのうち、ウエス・モンゴメリーのアドリブも載せた、
「サテン・ドール」を、オルガンを加えて、ギターは、教本どおり、
香津美の編曲したテーマ、ウエスのソロを、何とか弾きました。





フィードバック奏法とリフが格好良い「アイ・フィール・ファイン」
中3の冬、ビートルズに憧れたから、高校入学祝いには、
ジョンが弾いていた、リッケンバッカー325をコピーした、
グレコのギターを買ってもらおうと、一人その気になるが、
受験の前に、下見に行ったら、もう売切れてしまっていた。

御茶ノ水の石橋楽器が、グレコに特注した限定品なので、
他の楽器屋へ行っても、当然置いてなくて、ポールが弾く、
リッケンバッカーのベースは、他のメーカーのがあったが、
石橋楽器も、ジョンのモデルは、今後作る予定がなかった。

高校へ入学する意味がなくなった、受験もやめようかなど、
家に帰るなり、大騒ぎ、担任の先生にも、同じように話して、
心配した先生が、母親に連絡するほどで、あきれたように、
父が、「本物を買ってやるから。」と言って、何とか収まる。

リッケンバッカーの輸入代理店、御茶ノ水の黒澤楽器まで、
見に行ったら、ジョンが弾いた325は、その頃は製造中止、
トレモロアームがなく、Fホールの空いた320が飾ってあり、
グレコは売り切れたが、本物が手に入ると、楽しみにする。

黒、青、赤のモデルがあって、ジョンは黒をメインにしたが、
写真集を見ると、青のモデルを抱えた写真も多かったから、
どちらが良いだろうかと、何度も雑誌や写真集を眺めては、
もちろん、受験勉強もして、入試が終わる日を待ちわびた。

入試の帰り道、御茶ノ水に回り、色を再確認しようとしたら、
黒も青も売り切れていて、赤の320が1台残っているのみ、
この際、赤でも良いから、あとでペンキで塗ろうかと思うと、
最後の1台は、店頭見本に残すから、売れないと言われる。

また次に、いつ入荷するか、わからないし、輸入代理店に、
リッケンバッカーが1本もないのは、まずいのでと説明され、
黒か青が入ってくるのを待とうにも、それさえ、時期は未定、
結局は、本物さえも、手に入らないと、半べそになって帰宅。

黒澤楽器の渋谷店が、当時、山手線のガードの先にあって、
主にフォークギターを扱って、エレキは置いていなかったが、
駅前を配達して回る父が、顔見知りだったので、頼み込み、
本店に連絡を入れてくれ、赤の320を売ってもらえることに。

母に連れられ、御茶ノ水へ行くと、売り場のチーフらしき人が、
「とうとう、こいつも出て行っちゃうんだなあ。」と、感慨深げに、
展示してある壁面から、赤の320をおろすと、「ビートルズが、
そんなに好きなんだね。」と言いながら、自分に渡してくれた。

とにかく嬉しくて、コードも弾かず、ただ抱えて、眺めていたら、
「これは、知ってる?」と、ギターを取り上げて、ビートルズの、
「アイ・フィール・ファイン」のリフを弾いてくれ、好きな曲だが、
弾けないと言ったら、その場で、弾き方を詳しく教えてくれた。

バレーコードのFフォームで、10フレットのポジションを押さえ、
小指を使って、リフのラインを弾き、同様に、8、3フレット上で、
繰り返せば良いと、ゆっくりと弾いてくれたので、すぐに覚えて、
早速、友人に聴かせたり、謝恩会でもチューニング中に演奏。

自分の唯一の檜舞台と呼べる、中学校卒業時の謝恩会では、
やはり高校入学祝で、ギブソンSGを手に入れたジョージ役と、
二人きりのビートルズ・コピーバンドで、体育館の舞台に立ち、
周囲を巻き込み、大騒ぎして、入手した320を、お披露目した。

「アイ・フィール・ファイン」では、ジョンは、アコギのJ160Eを、
アンプにつないでいて、リッケンバッカー325ではないのだが、
自分の思い出もあって、今回の演奏は、320を使うことにし、
このあたり、機材も含めて、完コピする達人と、自分との違い。

まあ、機材に関したら、ビートルズと同じなのは、320くらい、
アコギは、モーリスのエレアコで、ベースは、ジャズベースの、
コピーモデル、それもフレットレスだから、ポールのヘフナー、
リッケンバッカーの2台の、どちらとも出てくる音色は異なる。

イントロのフィードバック奏法は、ポールが弾くベースの音を、
ジョンのアコギが拾って共鳴し、アンプに立てかけていたから、
さらにスピーカーから出る音で、ハウリングし、音が鳴り続け、
面白いと思ったジョンが、何度も試して再現、イントロにした。

ジミ・ヘンドリックスやザ・フーより、先にレコードに録音したと、
ジョンは自慢げに語っていたようだが、ジミやサンタナの弾く、
フィードバック奏法は、倍音のようになり、音が伸び続けるが、
この曲では、ギョーンという感じで、ちょっとニュアンスが違う。

フィードバック奏法など知らない、中学校の頃に聴いた時は、
伸びている音が、下敷きに口を当て、歌うような音に聴こえ、
開放弦をはじいて、爪の甲かピックを、弦に軽く当てたりして、
ンニョーンとばかりに、音を震わせているのだと思っていた。

店員さんに教わった、曲を特徴づけるリフは、最近知ったが、
ジョンが気に入っていた曲から、拝借したそうで、YouTubeで、
そのボビー・パーカーの、「ウォッチ・ユア・ステップ」を聴くと、
メロディやコード進行は違うものの、リフは、かなり似ている。

バックのドラムが、ラテンリズムっぽく叩くのまで、同じだが、
リフはメロディーでなく、あくまでも伴奏だから、アルペジオ、
スリーフィンガーや、コードストロークの、リズムパターンが、
似ていても許容されるのと同じで、著作権はセーフなのか。

ちなみに、ボビーのリフは、「アイ・フィール・ファイン」以外に、
レッド・ツェッペリンの「モビー・ディック」にも、使われたそうで、
ジミー・ペイジも確信犯なのか、ジョンのように公言しないが、
ほとんど同じままに弾いて、コード進行まで一緒に聴こえる。

ジョンが弾くリフは、やたらとポジション移動を繰り返すから、
今回の録音で、歌入れも終え、最後のミキシングしていたら、
キュッキュッと、弦をこする音が、数小節ごとに大きく響いて、
あまりの雑音のひどさに、弾いた自分でさえ、聴くに耐えない。

巻き弦のこすれる雑音は、クラシックギターでも悩みの種で、
バレーで押さえた左指を、ポジション移動する際に、いったん、
弦から浮かせ、素早く移動して、また押さえれば良いのだと、
よく解説されているが、言うは易しで、これが昔からできない。

ポジション移動のたびに、指を浮かせると、音は途切れるし、
ギリギリまで音を伸ばして、サッと移ると、つい弦をこするし、
演奏の音の響きを取るか、雑音のないのを取るかの選択肢、
これは伴奏だから、音が途切れても、雑音がないようにする。

ジョンの演奏は、ヘッドフォンで聴いてみても、スライドによる、
雑音はしないし、アコギでエレキより太い弦で、セーハしても、
しっかりと、全部の音が、ミュートされず、鳴り響いているから、
リズムギタリストとして、本当上手かったんだなと、実感する。

途中、ドラムがブレイクして、ジョンとジョージでリフを弾くのが、
すごく息のあった演奏で、シャッフル気味に、はねているから、
リズム音痴の自分では、はねるタイミングが、前後にバラけて、
自分の弾いたギターに重ねるのに、全然合わなくて苦労した。

この二人のリフの絡みは、まったくのユニゾンで弾くのでなく、
片方がコードを刻んだり、低音だけにしたりと、複雑なうえに、
ジョンは、アルペジオのように、音を残したり、隣の弦も弾き、
和音にしたりと、けっこう自由にやっていて、それが格好良い。

「フォーセール」の録音に追われながら、シングル盤は別だと、
しっかり名曲を出してくるビートルズ、イントロのフィードバック、
2本のギターがからむリフ、サビのコーラスと、完成された曲、
「アイ・フィール・ファイン」を、リフの思い出をこめて弾きました。





オクターブ奏法によるアドリブも見事な、ウエス「ロード・ソング」
中学時代、ビートルズばかり聴いていたが、高校に入ると、
ギターの上手い同級生らに刺激され、いきなり方向転換し、
パープル、ツェッペリンを通り越し、歌なしギター・インスト、
ジェフ・ベックのLPを買って、ギターの練習に明け暮れる。

ビートルズに夢中の頃は、他のバンドの演奏を聴くことは、
裏切り行為みたいに思い込んで、意固地になっていたが、
幅広く聴かないと、ギターは上達できないと、ベック以外も、
楽譜やLPを買ったり、友人に借りたりして、一気に広がる。

高1の76年に創刊した、リットーの月刊誌「ロッキンF」は、
読者の投稿欄に加え、、音楽雑誌らしく、メンバー募集や、
楽器やLPの、「売ります・買います」のコーナーがあって、
ネットオークションのない時代、さかんに交流が行われた。

自分も、楽譜を買おうと、掲載されている人に電話をかけ、
その人は大学生だったろうか、お互いにギタリストだから、
いろいろと話もはずんで、「ギターが上手くなりたいのなら、
ジャズをやった方がいいよ。」と、アドバイスまでしてくれた。

さらに、ジャズギターなら、ウエス・モンゴメリーを聴くべきで、
オクターブ奏法がすごいと言うので、オクターブ奏法ならば、
ビートルズ「プリーズ・プリーズ・ミー」で、ジョージが弾いて、
それは、12弦ギターを使う方が、簡単にできると、話した。

「ウエスのオクターブ奏法は、そういうのとは、全然違うよ。
とにかく、聴いてごらん。」と、すごく熱心に勧めてくれたが、
ベックだって、オクターブ奏法を弾いて、オクターバーまで、
使っているよと思って、わざわざ、聴く気にはならなかった。

まだ、クロスオーバーがブームになる前、ジャズそのものに、
興味がないうえ、ジャズは難解だと、敷居が高い感じがして、
それまで聴かずにいた、ロックギターのLPを、買い集めたり、
雑誌に出ている楽譜を、練習することだけで、精一杯だった。

77~78年、クロスオーバー全盛となり、ラリー・カールトン、
リー・リトナー、アル・ディ・メオラらの、ギターを弾くためには、
ジャズギターの習得が不可欠と、渡辺香津美の教本を買い、
ジョー・パスを始め、正統派のジャズギターも聴くようになる。

大学入学と前後して、渋谷河合楽器のジャズギター教室に、
通うようになったのは、あのアドバイス、「上手くなりたいなら、
ジャズギターを」というのが、心の片隅に、あったからだろうし、
ウエスのオクターブ奏法も、いかにすごいかを、実感していく。

晩年のA&M3部作の、イージーリスニング路線の演奏では、
それまでの演奏、特にライブ盤の、スリリングなアドリブとは、
一線を画した、おとなしめの演奏なのだが、トレードマークの、
オクターブ奏法を駆使して、見事にメロディを歌いあげていく。

3部作のラストの、タイトルにもなっている、「ロードソング」は、
数少ないウエス自作曲で、オルガンのジミー・スミスと共演作、
「新しい冒険」では、「O.G.D.」の題名、ジャズミュージシャンの、
作った曲にしては、わかりやすいメロディーで、口ずさめそう。

それまでも、バラード曲で、しっとりとメロディーを歌い上げて、
歌心ある演奏が得意な、ウエスには、イージーリスニングだと、
批評されても、ヒット狙いのプロデューサーに、押し付けられた、
不本意な作品ではなく、リラックスし、楽しんで演奏したと思う。

持っている楽譜には、ギターしか採譜していないから、最初は、
コード進行に合わせて、ベースとリズムギターのみ録音したが、
あまりにスカスカな音で、特にアドリブは、聴けたもんじゃなくて、
ギターシンセで、ピアノ、ホーン、ストリングスの音を、つけ足す。

ドン・セベスキーの編曲は、すごく見事で、テーマの前半部では、
メロディとかけ合うよう、ホーンが入り、中間の転調するところは、
ストリングスが対旋律を奏でるのだが、自分は耳コピが苦手で、
ホーンのリフは多少似せたが、ストリングスは、コードを流した。

前回同様に、ウエスを真似て、ピックを使わず、親指のみ使って、
オクターブ奏法にしたが、ガットギターでは、テンションが強くて、
音が鳴らないので、エレキギターで弾いたものの、音は小さくて、
雑音ばかり目立って、ギターを変えるよりも、まずは練習が第一。

A&M3部作の最後、ウエス・モンゴメリーの遺作となった作品、
「ロードソング」のタイトル曲は、ウエスの自作曲ということもあり、
この3部作のうちでも、アドリブソロが長めで、オクターブ奏法を、
聴かせる名演ですが、音色もニュアンスも、なかなか出せません。










ベートーベンを基に、ジョンが作り、コーラスが美しい「ビコーズ」
ドビュッシーの「月の光」は、ヴェルレーヌの詩を引用して、
作曲者がつけた題名だが、ベートーベン「月光ソナタ」や、
クラシックギターの初心者が、必ず教わる、ソル「月光」は、
後でついた名で、作曲者が月光を意識していたかは不明。

クラシックに限らず、イージーリスニングのインスト曲でも、
作曲者は、どんなイメージで題名をつけたか、別の人が、
後でつけたとしても、聴く側としては、ソナタ、練習曲より、
具体的なイメージがわくし、逆に、それに囚われたりする。

ヨーコがピアノで弾く「月光ソナタ」を、聴いたとき、ジョンは、
何をイメージしたのか、「逆に弾いてくれないか。」と頼んで、
これだとばかりに、LP「アビーロード」の新曲を作るのだが、
「そのまま、歌詞をつけただけさ。」と言うものの、奥が深い。

この逆に弾いてもらったというのが、解釈が分かれていて、
曲のコード進行を逆にした、最後から反対に弾いていった、
音符の並び、アルペジオのパターンを逆にした、さらには、
楽譜を上下ひっくり返したという説まであり、どれが真実か。

YouTubeには、「月光ソナタ」を逆回転した音源があるが、
当然、そのまま「ビコーズ」にはならないし、ピアノ譜を見て、
コード進行を逆にしたり、ひっくり返しても、同じにはならず、
実際どう弾いたのか、ヨーコから、聞き出せないだろうか。

全体的な雰囲気、曲調は、そっくりと言っても良いだろうし、
ジョージ・マーティンが奏でる、イントロのハープシコードは、
「月光ソナタ」そのものにも聴こえるから、逆に弾かずとも、
「ビコーズ」を作れたろうが、ひねりをきかせたかったのか。

ビートルズのコンサートで、カバー曲だが、よく演奏した曲に、
「ロール・オーバー・ベートーベン」があり、「ベートーベンを、
ころばせろ、ひっくり返せ。」と歌っていたから、ジョン特有の、
ユーモアで、作曲した曲まで、ひっくり返したのかもしれない。

後期のジョンの歌詞には、難解なものが多く、そう評されると、
逆手に取って、無意味な単語を並べて、深読みするマニアを、
馬鹿にしては、内心ほくそ笑んでいたろうが、「ビコーズ」は、
すごくシンプルな歌詞で、それでいて、哲学的な広がりもある。

「世界が丸いから」、「風が強いから」、「空が青いから」と歌い、
肝心の「月」は、どこにも出てこないので、「月光ソナタ」から、
月のイメージを、ジョンには感じ取れなかったのか、あるいは、
あえて月を歌詞から外したのか、このあたりも興味深いところ。

まあ、この歌詞の流れからすると、月を入れたら、歌謡曲の、
「月がとっても青いから」になりそうで、やめて良かったろうし、
「空が青いから、泣きたくなる。」は、石川啄木の有名な短歌、
「空の青、海の青にも~」にも通じる叙情性を、すごく感じる。

この曲の特徴は、何と言っても、3人で3回重ねたコーラスで、
初期のビートルズは、ジョンとポールの作曲の才能に加えて、
コーラスグループとしても、抜群のハーモニーを誇っていたと、
思い出させてくれる、後期としては珍しい、3人揃ってのハモ。

ジョン、ポール、ジョージの3声で、それを、3回重ねているが、
これまた、ジョンが全パートを歌っているという説もあるようで、
一番高いパートは、確実にポールだし、サビの部分になると、
ジョージの声も、はっきり区別でき、明らかに3人で歌っている。

ドラムは聴こえないから、リンゴは参加していないかと思うと、
ガイドリズムとして、ハイハットを叩いていたそうで、最終的に、
消されてしまったが、各人が好き勝手に、録音するのではなく、
このLPは、昔のように、4人揃って演奏し、そこへ音を重ねた。

ジョンの、ハープシコードとユニゾンの、アルペジオのギターが、
本当に見事で、中学時代に愛用した、「ひき語りビートルズ」に、
ほぼ完コピで載っていたので、必死にアルペジオを練習したが、
一つのフレーズで、指を変える箇所があって、そこでつまづく。

ギターが上達すると、そこも弾けるようになるが、アルペジオで、
和音を響かせ、伴奏しているのに、指を変えると、音が途切れ、
ストレッチして、別の押さえ方ができないかと、悩んでいたのに、
バンドスコアを買うと、「ひき語り~」が、完コピでないとわかる。

自分に音感があれば、すぐに気づくことだが、イントロの部分も、
低音を強調するように変えていたり、押さえにくかったコードも、
ジョンが弾いたのは、普通に使うのコードフォームで良かったり、
40年も勘違いして、演奏一つとっても、自分には新発見だらけ。

サビで聴けるホルンのような音、最後のリコーダーのような音は、
ジョージが、前年録音した、ソロアルバム「電子音楽の世界」で、
全編に渡り使用した、ムーグ・シンセサイザーで演奏されていて、
リードギターでなくても、ジョージの貢献が大きく、一体感がある。

ちなみに、自分たちは、ムーグ・シンセサイザーと呼んでいたが、
正しい発音は、「モーグ」なので、近年は、製品名も改めたようで、
「バ」が「ヴァ」とかになる以外にも、けっこう、いろいろなところで、
カタカナ表記が変更されていて、人名だと、別人のことかと思う。

ビートルズの実質ラストアルバム、「アビーロード」に収録された、
ジョンが、「月光ソナタ」を基に作り、コーラスワークが見事な曲、
「ビコーズ」を、本物に倣って、歌を9回重ねたので、音としては、
厚みが出たものの、やはり高音がきつくて、息も絶えだえです…。






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