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僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
開放弦が響き渡る、アッカーマンの「無垢の心と誘惑の影」
84年頃、ジョージ・ウィンストンのピアノ曲「あこがれ/愛」が、
CMで流れて、その1曲をきっかけに、彼の所属したレーベル、
ウィンダムヒル・レコード自体が、日本で知られるようになって、
ニューエイジ・ミュージックのブームを、牽引する存在となった。

85年に来日記念として、2枚のベスト盤「心の美術館」が出て、
自分は、「あこがれ/愛」が収録されている2枚目を買ったが、
そこで紹介されたギタリストの、個々の作品を買うまではせず、
それでも、LPはテープに録音し、ウォークマンで愛聴し続けた。

90年、旅行先で流れていたピアノ曲が、ウィンダムヒルよりは、
日本人向けなメロディアスな曲ばかりで、店の人に尋ねたら、
倉本裕基のアルバム「愁湖」だと、CDジャケットを見せてくれ、
まったく知らない奏者だったが、レーベルや番号を控えておく。

翌週、仕事帰りに、銀座の山野楽器へ回って、CDを探したら、
取り寄せる必要もなく、店頭にあり、無名だと思っていたのは、
自分だけかと、早速購入、せっかく山野楽器へ来たのだから、
近所に置いていないような、CDも買おうと、あたりを物色した。

ウィンダムヒルは、LPの頃、アルファレコードから出ていたが、
いつの間にか、ポニーキャニオンの扱いとなったようで、当時、
30枚ものラインアップが発売、山野楽器にもコーナーがあって、
癒し系のピアノCDを買うなら、ギターも買わなければと、探す。

今思えば、いくつものベスト盤に加え、ギターのみのベスト盤、
「ギター・サンプラー」も出ていたし、ウィリアム・アッカーマンに、
アレックス・デ・グラッシ、マイケル・ヘッジスなる三羽ガラスの、
各アルバムもあったが、アッカーマンの「パッセージ」を買った。

このアルバムは、アッカーマンにとっては、4枚目の作品だが、
ウィンダムヒルがLPで出た当時の、日本デビュー作品であり、
彼の代表曲の4曲が、再録音され、入門には向いていたろうし、
自分もディスクマンで持ち歩き、繰り返し聴くCDの一つとなる。

当時は、そうして気に入った曲でも、楽譜は見つけられなくて、
02年にアコギに気合が入った頃に、輸入楽譜など扱っている、
プー横丁を知り、マイケル・ヘッジス、アレックス・デグラッシの、
楽譜を買ったが、アッカーマンの楽譜を買うのは、つい最近。

このあたり、その時々の自分の気持ちまで、メモしてないから、
CDを買うときには、他の誰よりも、アッカーマンのCDを選んで、
楽譜を買うのは、一番最後になったのか、ちょっと不思議だが、
02年は、ヘッジスに夢中で、CDと合わせて楽譜を買ったせい。

このブログを始めて、さぼりがちだったギターにも、気合が入り、
いろいろな楽譜を集めだすと、輸入楽譜は、Amazonで買うと、
かなり安く入手できると知って、買い控えていたアッカーマンや、
ウィンダムヒル・ギターサンプラー、ピアノサンプラーまで揃える。

アッカーマンの曲は、いわゆる変則チューニングが大半であり、
それもフォークでも使われる、オープンG やオープンDといった、
開放弦が和音になるものとは別、独自のもので、曲ごとに違い、
作曲と並行しながら、変則チューニングも決めていくのだろうか。

YouTubeには、かなり昔の、アッカーマンのライブ映像があって、
曲ごとに解説を交えながら、ステージ上でチューニングしていて、
てっきり、スタッフとかが、奥でチューニングしてくれたギターを、
とっかえひっかえ、弾くのだとばかり思ってたから、かなり驚く。

MCは、ただでさえ英語のうえ、あまりよく聞き取れないのだが、
観客の笑い声も多くて、黙々と演奏する、クラシックギターとは、
大違いだなと思いつつ、そもそもクラシックのコンサート自体を、
テレビ放送でしか知らないから、意外と話も多いのかもしれない。

自分は、クラシックで使う、6弦をDに下げるのさえ、面倒くさいし、
弦を張り替える時も、1弦は、正しい音程に上げているだけでも、
途中で切れないか、おっかなびっくり巻いているので、映像での、
アッカーマンのチューニングは、風船割りのように、ドキドキする。

2枚目のアルバムでは、ソロギターだったが、「パッセージ」では、
チェロと合奏した、「無垢の心と誘惑の影」は、基本的にギターは、
合奏でも、ソロと同じに弾き、6弦から、C#・A・C#・G#・A・Eの、
変則チューニングで、カポタストを2フレットにつけての演奏となる。

変則チューニングによる、アッカーマンの曲は、テクニック的には、
さほど難しくないが、ソルやタレガの、初級向け練習曲と同様で、
ゆっくりゆえに、いかに雑音を出さないか、開放弦を響かせるため、
隣の弦を消音しないよう、指を立てるなど、繊細さが要求される。

ウィンダムヒル・レコードの創設者の、ウィリアム・アッカーマンの、
代表曲の一つ、「無垢の心と誘惑の影」を、エレアコで演奏するも、
右指の爪の表面が、隣の弦に触れる雑音、左指が押さえる際の、
こすれる音が、かなりひどいうえ、ミストーンもあり、課題が大です。





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ジョンの「アイル・ビー・バック」に、ポール再来日を願って
昨年末の、「奇跡の来日」の興奮も、覚めやらないうちに、
ポールは再度来日することとなり、改修で取り壊し予定の、
国立競技場の最後の日々を飾る、野外コンサートに加え、
ビートルズとして唯一演奏した場所、武道館公演を企画。

これでもかと言うくらい、話題は尽きず、ブログ仲間たちも、
記事で取り上げ、盛り上がっていた矢先、来日した途端に、
体調不良となり、公演中止が決定、必死でチケットを取り、
楽しみにしていたファンたちの落胆は、計り知れないくらい。

ただ、ポールの年齢を考えると、ちょっとした肺炎とかでも、
命に関わる事態になりかねないから、ここは回復を祈って、
またの来日を待ちたいし、ことポールのコンサートとなると、
ある意味、待たされることには、自分たちは、もう慣れっこ。

映画「ターミネーター」での、シュワルツェネッガーよろしく、
ポールも「アイル・ビー・バック」と言うのか、定かでないが、
そもそも、この言葉は、64年の、ビートルズの3枚目のLP、
B面最後の曲のタイトルだから、昔からファンにはお馴染み。

初の主演映画、「ビートルズがやって来る」のサントラ盤の、
意味合いもあって作られた3枚目のアルバムは、本国では、
映画の曲をA面に、まったく別の新曲をB面に分けて収録、
米盤は、映画の曲にオーケストラ曲を加え、完全サントラ盤。

日本では、ジャケット写真を映画の場面に、変更しているが、
曲目としては、イギリスと同じ内容、自分は国内盤どころか、
英盤、米盤とも持っていなかったから、特にB面の曲などは、
ラジオから録音するとかして、バラバラに聴いたように思う。

その後、FM東京で、全LPを放送したので、通して聴けたが、
このアルバムは、カバー曲なし、全13曲がオリジナル曲で、
しかも10曲は、ジョンの作品、それも、ほぼ単独作品という、
ジョン・レノンの才能が爆発したごとく、ジョン色に染まってる。

そうした中、たった3曲のポールの作品も、すごく光っていて、
ビートルズ本では、ここがジョンの最盛期、ポールが次第に、
頭角を現していくなどと、分析しているが、その二人が揃って、
同じバンドにいたのは、本当に、奇跡としか言いようがない。

アルバム最後を飾るのが、ジョンの「アイル・ビー・バック」で、
「ア・ハード・デイズ・ナイト」で始まるLPは、A面が映画の曲、
B面が新曲としつつ、「家へ帰れば」「アイル・ビー・バック」と、
ある意味、コンセプト・アルバムっぽいと、評されることもある。

この「アイルー・ビー・バック」は、恋人との別れを歌っていると、
歌詞から思えるのだが、幼い頃に失踪した、ジョンの父親が、
映画の撮影中に、連絡してきたことから、父について歌ったと、
言われていて、いったい、ジョンはどんな気持ちだったろうか。

まるで、菊池寛の「父帰る」や、ドラマにでも出てきそうな話で、
自分を捨てた父が、有名になった息子を知り、名乗り出てくる、
育ててくれた伯母は、厳しいながらも、愛情を注いでくれたが、
最愛の母、ジュリアを事故でなくしている、そんな矢先の再会。

自分は、フロイトでもユングでもないから、専門家がするような、
精神分析などはできないが、ワイドショーが好みそうな設定で、
あまりに絵に描いたような再会をした、ジョンの心中を思ったら、
どうにも、やるせない気持ちになり、いたたまれなくなってくる。

心の叫びがロックだと、使い古された言葉を出す気などないが、
自分の気持ちを、楽曲という形に昇華していくことで、自分さえ、
第三者のように見つめることができて、ふっきれていくのではと、
日記をつけることで気持ちを整理する、自分の経験で推察する。

ジョンは、この曲を、デル・シャノンの曲のコード進行を借りたと、
語ったそうで、それは「悲しき街角」のことだと、言われていて、
その原題こそ「Runaway」、まさに、「家出」した父と符合するし、
それを思って、コードをかき鳴らしながら、作曲したのだろうか。

今では、アンソロジーや海賊盤で、未発表テイクが聴けるので、
演奏を仕上げていく過程がわかり、最初は8分の6拍子で演奏、
次に通常の4拍子にしたが、どちらも、ジョンはリッケンのエレキ、
ジョージはエレキの12弦ギターを弾き、かなり硬質なサウンド。

最終的にジョンのフォークギター、ジョージのガットギターという、
アコースティックサウンドとなるのは、「アンド・アイ・ラヴ・ハー」と、
同じような流れで、最初から完成形を聴いている、自分たちには、
これ以外はなかっただろうというほど、イントロから何から見事に。

ジョンの単独作と言われてるが、例によって、ポールの話では、
一緒に作ったそうで、まあ、ハモっているから、そうなのでしょう、
おっしゃるとおりです、良かったですねと、ジョン派の自分だと、
だんだん底意地悪い反応をしてしまうが、実際に、ありえる話。

ジョンは、同じコード進行で、ポールも曲を作ったんだと、語って、
どの曲か言っていないが、たぶん同じアルバムのポールの曲、
「今日の誓い」と踏んでいて、二人で一緒に作っていたからこそ、
そんなこともあるのだと、仲の良いライバルだった二人に納得。

ポールの回復と再来日を願いつつ、二度と戻ってくることのない、
ジョンとの違いに、皮肉な運命を感じて、そのジョンに代わって、
3枚目のアルバムの、最後を飾る名曲「アイル・ビー・バック」を、
いつもの悪声、音痴をものともせずに、なりきって歌っています。





ジョージ・ウィンストン「あこがれ/愛」を、小胎のギター編曲で
84年頃、トヨタのCMで、ジョージ・ウィンストンが奏でる、
ピアノの曲、「あこがれ/愛」が流れて、話題になったが、
ウィンストンが所属した、ウィンダムヒル・レコード自体も、
この曲がきっかけで、日本で知られるようになったと思う。

当時は、ネットなどなかったが、ラジオや雑誌などを通じ、
CMの曲が、「あこがれ/愛」という題名で、演奏したのは、
ジョージ・ウィンストンと次第にわかり、ウィンダムヒルは、
ニューエイジ・ミュージックのくくりで、一大ブームとなる。

テクノ、ヘビメタと、電子楽器や、荒々しい曲が全盛の中、
生ピアノや生ギターが主体の、アコースティックな響きは、
新鮮に感じたし、大自然の風景写真の、LPジャケットも、
心落ち着く、癒し系のイメージを、定着させる要因となる。

今でいうところの、コンピレーション・アルバムになるのか、
自分は相変わらずベスト盤と呼ぶが、来日記念盤として、
「心の美術館」の2枚が出て、当然に、「あこがれ/愛」が、
収録された2枚目を買い、所属するギタリストたちも知る。

ウィンダムヒルの創設者は、大工が本業だったギタリスト、
ウィリアム・アッカーマンで、叙情的、牧歌的な曲を弾いて、
アレックス・デ・グラッシは、高速アルペジオを得意として、
アルバム収録の「オーバーランド」は、イントロからすごい。

変則チューニングと、タッピングハーモニクスの開拓者の、
マイケル・ヘッジスによる、「エアリアル・バンダリーズ」は、
当時は、メロディのない、環境音楽というイメージがしたし、
ギターをダビングしてると思い込み、そう惹かれなかった。

曲が気に入ると、自分でも演奏したくなるのは、昔からで、
ウィンダムヒルのギター楽譜を探したが、見つからなくて、
今は、輸入楽譜が何冊も出ているが、おそらく本国でも、
まだ出版されず、そうした情報でさえ、すぐ入ってこない。

ジョージ・ウィンストンのピアノ譜は、ドレミか全音あたりで、
出ていたのを、立ち読みした記憶があり、当時通っていた、
渋谷河合楽器のギター教室で、ショパンなどのピアノ曲を、
ギターで練習したから、その楽譜も買おうかと、迷うところ。

そんな話を先生にもしていたから、ある時、楽譜売り場に、
「あこがれ/愛」のギター編曲が入った曲集が、入荷したと、
教えてくれて、目玉商品のように、冒頭にその曲を載せた、
ドレミ楽譜出版の「魅惑のギター・ソロ・アルバム2」を買う。

新しめの曲として、「フラッシュダンス」「メモリー」もあるが、
大半は、「恋は水色」「スターダスト」のイージーリスニング、
「峠の我が家」「埴生の宿」と、音楽の教科書みたいな曲で、
昔の曲集に、ヒット曲を少し加えたのが、見え見えな一冊。

それでも、「あこがれ/愛」を、ギターで弾いてみたかったし、
編曲の小胎剛は、新書「ギター教室・ただいまレッスン」で、
面白おかしく、クラシックギターの心構え、技術面について、
述べたのを、愛読していたから、間違いないだろうと思った。

今も愛奏している江部賢一の、ジャズに近い編曲に比べて、
多少、杓子定規な和声だったり、簡単すぎる印象もあるが、
クラシックギターらしい編曲ばかりで、開放弦による低音部、
アルペジオによるメロディなど、買って損のない編曲だった。

簡単すぎる、と言っても、自分の指弾きのレベルからすると、
ピックで弾くように、初見で、どんどん弾いていくのは無理、
しかも、音がシンプルだけに、どこまで響かせ、消音するか、
雑音を出さずに、丁寧に弾けるかと、実はすごく難しかった。

そのうえ、「あこがれ/愛」は、他の曲とは別レベルのように、
一段と見事なギター編曲で、原曲の、空間的な音の広がり、
静寂さを再現しているが、それだけに、雑音が出てしまうと、
台無しで、今の自分のレベルでは、かなり汚い演奏となる。

また、自分はギタリストだから、ピアノの曲でも気に入ったら、
ギター編曲を探して、サティ、ドビュッシーなどを演奏するが、
6和音しか出ず、1オクターブ低いギターで、移調までしたら、
クラシックやピアノのファンからは、邪道とされるのだろうか。

数年前に、ジョージ・ウィンストンの楽譜が、ヤマハ渋谷店に、
限定入荷中とネットで知り、限定とか残部僅少の宣伝文句に、
弱い自分は、慌てて買いに走ったが、あとで、Amazonでは、
普通に在庫ありで、値段もはるかに安いと知って、落ち込む。

それでも、10代の頃には、よく1階の生演奏を聴きに行った、
道玄坂のヤマハへ、久しぶりに顔を出して、懐かしかったし、
その後すぐに、閉店してしまったから、高い買い物とはいえ、
旧交(?)を温めることができ、まあ良かったと、無理に納得。

ヒーリング・ミュージックのジャンルを、開拓したと言って良い、
ウィンダムヒルのジョージ・ウィンストンの、CMでも有名な曲、
「あこがれ/愛」を、ブームとなる85年に出た、小胎剛による、
ギター編曲で、ピアノの音を目指すも、雑音に手こずってます。






ジョージが初めて一人で作詞作曲した、「ドンド・バザー・ミー」
ビートルズというと、デビュー前から、主にジョンとポールに、
スポットがあたって、演奏する曲も、二人の曲か、カバー曲、
ジョージは、カバー曲で細々と歌っていたが、2枚目となる、
「ウィズ・ザ・ビートルズ」で、「ドント・バザー・ミー」を作った。

ジョージが、初めて単独で、作詞・作曲した作品で、以前は、
最初のバンド、クオリーメンの頃、ポールと一緒に作った曲、
「インスパイト・オブ・オール・デンジャー」、ハンブルグ時代、
ジョンと作った、歌なしの「クライ・オブ・シャドー」の2曲くらい。

ある記者から、「二人のように、曲を書かないのか」と聞かれ、
「ほっといてくれ」と返事し、それが曲の題名になったそうで、
何だか、できすぎの気もするが、デビュー時のリハーサルで、
初対面のジョージ・マーティンとの逸話にも、通じるユーモア。

ベテラン・プロデューサー、マーティンから、レコーディング中、
「何か気になることがあったら、遠慮なく言ってくれ」と言われ、
ジョンでさえ、もじもじしていたところ、「あなたのネクタイが、
気に入らないなあ」と、ジョージが、ジョークをとばしたという。

怖いもの知らずの若造というか、年上のジョンたちに囲まれ、
可愛がられつつ、背伸びしてきたジョージだから言えたろうし、
おかげで、一気に場が和んだそうで、マーティンは音楽より、
彼らの個性に魅かれ、「ボーイズ」と親しく呼ぶ関係になった。

ホワイト・アルバムになり、ようやく書かれたリンゴの曲でも、
同じような質問に、「まあ、見捨てないでいてくれよ」と答えて、
それが曲の題名になった、という話があるが、こっちばかりは、
どうにも、ジョージの話のパクリ疑惑、やらせ疑惑がしてくる。

ジョージの曲は、LP製作の最終日間際、当日も最後の曲で、
後回しにされたように、言われるが、本人がためらっていて、
最後の最後に、ジョンが、「この間、作ったっていう曲は?」と、
背中を押してやり、録音に至ったのではと、想像してしまう。

ジョンもポールも、ハモリどころか、コーラスもやっていないが、
ジョージの歌声をフューチャーしようと、バックの演奏に徹して、
ジョンは、いかしたギターのリフを弾いたり、ポールのベースも、
後の「サムシング」ほどではないが、派手に動き回っている。

リンゴが歌う「ボーイズ」とかで、ジョンもポールも、マイクから、
解放されたかのように、スタジオ内を動き回って、叫んでいて、
楽しく演奏しているが伝わるのだが、ジョージの曲の場合も、
同様に、楽器に集中して、腕の見せ所と張り切っている感じ。

さらに、パーカッションを、リンゴと3人で、ダビングしていて、
おそらくジョージのボーカルを、ダブルトラックで重ねる際に、
控えめに一人で歌う、ジョージを盛り上げようと、カラオケの、
マラカスやタンバリンよろしく、真横で打ち鳴らした気がする。

PC解析の「全曲バイブル」では、ジョンはアコギのJ160Eを、
アンプにつないで弾いたとあるし、本によっては、ジョージが、
最初は歌わずに、細かいリフを弾いたとあるが、どう聴いても、
ジョンがリッケンバッカーのエレキで、リフを弾いていると思う。

途中、ジョージの弾くギターソロのバックでも、リフは弾かれて、
レコーディングデータでは、ギターソロはダビングしてないから、
間違いなく、ジョンがリフを弾いたし、ちょっとこもらせた音は、
エレキだと思うが、J160Eもアンプにつなぐと、こうなるのか。

この曲は、ジョージ本人が、習作みたいなものだと、否定して、
ビートルズ本でも、3・4枚目にジョージの曲は採用されなくて、
傑作の「アイ・ニード・ユー」まで、2年かかったと書いているが、
自分は、昔から、このマイナー調の曲が、すごく気に入ってる。

日本でのデビュー作となる、「ビートルズ!」の収録曲だから、
「抱きしめたい」「シー・ラヴズ・ユー」という、シングルヒットや、
「ベイビー・イッツ・ユー」、「ツイスト・アンド・シャウト」といった、
珠玉のカバー曲と並んでいたが、 別に何ら遜色はなかった。

歌の途中に入るブレイクが、すごく格好良いし、それに続けて、
拍を食ったように入るリードギターも、スリリングなソロに聴こえ、
リードボーカルを歌ったうえ、そのままリードギターを弾くなんて、
中2の自分には、すごくヒーローに思えて、ジョージを尊敬した。

ジョン役の自分と、ジョージ役の同級生による、コピーバンドは、
当然、この曲も演奏したが、ジョージの曲でも、主にボーカルは、
自分が歌うことが多く、ギターの腕は、格段にジョージがうまく、
ジョンのリフも、リードギターも弾くから、そうなったというところ。

ビートルズの2枚目のアルバム、日本編集盤は、デビュー作に、
収録された、ジョージの初の単独作品、「ドント・バザー・ミー」、
中学時代から気に入って練習した、憧れのギターソロも弾いて、
ジョンのバッキングギターも再現しつつ、やはり歌がネックです。









ラスゲアード、タンボーラが効果的な、タレガ「タンゴ」
中2の74年、NHK「ギターをひこう」で、講師の荘村清志が、
演奏した数々の曲は、今も自分の中のスタンダードであり、
「アルハンブラの思い出」や「アストゥリアス」「月光」などは、
数少ない暗譜できたレパートリーとして、愛奏し続けている。

ミニミニ・コンサートと称して、毎週、番組の最後に演奏する、
ソルやタレガの曲や、3月末に発表会の形で、生徒の演奏、
二重奏、ピアノ合奏で聴かせてくれた曲は、それらこそが、
クラシックギターの王道の曲だと、自分に刷り込まれている。

そのうち、タレガ「タンゴ」は、フラメンコのようなラスゲアード、
ブリッジ駒のあたりを叩く、タンボーラといった特殊奏法が、
見た目にも、すごく格好良かったし、特徴ある音が効果的で、
後期のテキストにも掲載されていたので、必死に練習した。

阿部保夫の「NHKギター教室~教則編」に、特殊奏法の、
解説した章があるので、そこを見ながら、テレビを思い出し、
ラスゲアード、タンボーラを練習したが、今なら番組録画に、
DVD付き教則本もあるから、もっと近道だったかもしれない。

また、この曲は、6弦をDに、5弦をGに下げる調弦方法で、
それにより、1・2弦のハイポジションでメロディを奏でながら、
4~6弦の開放弦を鳴らして、伴奏ができ、12フレットでの、
ハーモニックスも交えながら、音の響きに厚みを加えている。

ただ、自分は、リョベートが、カタロニア民謡の編曲で使った、
6弦をDに下げるだけでも、面倒くさかったから、イントロでの、
タンボーラを真似て、ポンポン鳴らしては、その気になったが、
何となく満足すると、その後、あまり練習することはなかった。

この曲にも出てくるラスゲアードは、クラシックギターの場合、
フラメンコとは違って、必ずしも、右手の小指から人差し指へ、
振り下ろさずに、人差し指で、ピックのように、かき鳴らしたり、
親指でゆっくり弾いたり、やり方は奏者の解釈に任せている。

それで、「タンゴ」のイントロは、こんなにも違うのかというくらい、
ラスゲアードの部分は、人によって、鳴らし方が違っているうえ、
今回、Youtubeで見たら、海外の人は、ラスゲアードもせずに、
ただ和音で弾いていて、タンボーラも和音で弾く人が多かった。

ナルシソ・イエペスは、ラスゲアードをしないで、通常の和音と、
タンボーラを交互にしているので、当然ながら、楽譜で指定の、
タンボーラの箇所とは、まったく異なってくるわけで、はたして、
そこまで変えて良いのか、クラシックは厳格じゃなかったのか。

やはりYoutubeには、荘村と同世代で、良きライバルだった、
芳志戸幹雄の演奏があって、ミニミニ・コンサートのようだが、
イエペスと同じ弾き方で、イエペス編曲譜があったのだろうか、
逆に、イエペスに師事した荘村は、なぜそうはしなかったのか。

自分は、最初の印象を引きずるので、今も覚えている荘村の、
弾き方に慣れ親しんでいるが、荘村のNHKテキストの楽譜の、
最初のタンボーラが、阿部保夫「NHKギター教室~名曲編」、
ドレミ出版「タレルガ作品全集」は実音で、それが正しいのか。

ただ、この「タンゴ」は、77年に出た現代ギター臨時増刊の、
「ギター音楽ガイド」で、作品紹介のタレガの欄にあるものの、
「C.ガルシア・トルサの作」と書かれていて、原曲が別にあり、
タレガ作とされる楽譜と別に、他の版があるのかもしれない。

タンゴというと、自分の世代では、「黒猫のタンゴ」が懐かしく、
最近では、子供と聴いた「だんご3兄弟」があり、そのリズムは、
ズン、チャッ、チャッ、チャッと、「ラ・クンパルシータ」に出てくる、
独特のパターンをイメージするが、この「タンゴ」は、全然違う。

アルゼンチン・タンゴ、コンチネンタル・タンゴの違いも知らず、
タンゴについては、素人の自分が言うのも、どうかと思いつつ、
タレガ「タンゴ」のリズムは、タンゴというよりハバネラのリズム、
「~風」ではないが、タンゴをイメージした曲ということだろうか。

荘村清志「ギターをひこう」で慣れ親しんだ、タレガ「タンゴ」を、
その演奏を思い出し、ラスゲアード、タンボーラを弾いたものの、
エレガットなので、タンボーラは響かず、いつもながらテンポが、
どんどん落ちていき、前半と後半が、別の曲のようになりました。













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