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僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
音色の変化が見事な、ベックの「グッドバイ・ポーク・パイ・ハット」
ジェフ・ベックは、75年「ギター殺人者の凱旋」で、
クロスオーバーの世界に、足を踏み入れたのだが、
当時の、その手のギタリストは、ラリー・コリエルや、
ジョン・マクラフリンら、明らかにジャズ出身だった。

ジャズからのアプローチというか、あくまでも基本は、
ジャズギターで、そこにロックの要素、チョーキング、
フィードバックといったテクニックや、歪ませた音の、
ディストーションを取り入れたという、スタイルだった。

ところが、ベックは、ロックギター・フレーズのままで、
ジャズフォーマットの中に、飛び込んだという感じで、
複雑なリズム、テンションによるコードチェンジの中を、
縦横無尽に、ベック節とも言えるフレーズで切り込む。

オクターブ奏法や、モードスケールで上下するような、
ジャズのフレーズを取り入れつつも、ペンタトニックで、
ブルース曲を弾いていた時と、変わらないフレーズを、
天性のひらめきで、複雑なコードにも対応させていた。

続けて、全曲インストの「ワイヤード」を76年に出すが、
高1の自分は、AM、FMかまわずに、ラジオの特集を、
エアチェックして、曲順はバラバラだが、LPの全曲を、
カセットテープに録音できて、LPは買わずにすませた。

特に、ジャズベースの巨匠、チャールス・ミンガスの曲、
グッドバイ・ポーク・パイ・ハット」をカバーした演奏は、
ジャズの知識がないうえ、原曲も聴いてない自分でも、
「哀しみの恋人たち」に似た泣きの曲で、気に入った。

さらに、ギターのボリューム、トーンをコントロールして、
少しずつ音色を変化させつつ、一部だけエフェクターを、
かけては、静から動へと盛り上がる展開にぞくぞくして、
楽譜がなかったものの、必死で耳コピして、練習した。

その頃、バウワウのギター、山本恭司が、歪んだ音の、
代名詞でもある、マーシャルアンプでも、音をしぼれば、
生音になるから、オーバードライブなどのエフェクターを、
つなげて切り替える必要はない、といった話をしていた。

歪んだ音でバッキングを弾いて、生音でリードギターを、
弾くときは、音量差はどうするかと、つっこみたくなるが、
実際、アンプから拾った音を、手元のミキサーに返すか、
アンプを2台にし、切り替えるのか、今も不思議なまま。

ただ、エフェクトに頼らずに、トーン、ボリュームをいじり、
音色を自在に変化させていくのは、ギタリストにとって、
ちょっとした憧れであり、ブログ仲間の7弦パパさんは、
ライブでも、メサブギーに、直接ギターをプラグインとか。

テイルピースさんは、先日買ったばかりのマーシャルで、
ゲイン、トーンなどの、つまみを動かしての比較音源で、
ほんのわずか回すだけで、こんなに音が変わるのかと、
すごく参考になる、見事な音色の変化を披露されている。

そして、まさに、このベックの演奏こそ、お手本のようで、
ひとつのフレーズの中でも、次第に音が変化していって、
右手で弾きながらも、小指とかで、ボリューム、トーンを、
こまめにコントロールしているそうで、ものすごい繊細さ。

当然、自分には、そこまでは無理で、多少ボリュームの、
上げ下げで、歪み方をクランチ、ディストーション気味に、
してみたり、ピックアップをフロント・リアと切り替えたが、
エフェクト側でゲインをセットし、パッチ切り替えが大半。

エンディング近く、フレーズが和音のように重なるところは、
本家ベックは、リングモジュレーターを使っているそうだが、
MTR内蔵エフェクトだと、ただの不協和音みたいになり、
代わりにオクターバーにしたが、逆に、きれいすぎた感じ。

最近のベックは、指弾きで、フレーズのニュアンスをつけ、
さらにトレモロアームを駆使しつつ、ボリューム、トーンも、
つねに動かす神業だが、自分は「ワイヤード」での演奏に、
近づけるのが精一杯で、アームを使う余裕もあまりない。

ジェフ・ベックの、76年発表のアルバム「ワイヤード」から、
ジャズの名曲である、「グッドバイ・ポーク・パイ・ハット」の、
カバー演奏を、音色の変化や、抑揚に気を使いながらも、
結局のところは、いつものレベルとなる、やや完コピです。


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ベックの「フリーウェイ・ジャム」で覚えた、アーミング奏法
75年発表の、ジェフ・ベックギター殺人者の凱旋
(ブロウ・バイ・ブロウ)を、長年にわたる友人であり、
ライバルでもある、レッド・ツェッペリンのギタリスト、
ジミー・ペイジは、「ギタリストの教科書」と絶賛した。

ベックの個性的な演奏を、教科書と呼べるのかは、
意見が分かれるが、高1でこのLPを買った自分は、
実際に、アドリブ、バッキングから、特殊奏法である、
ハーモニクス、アーミングと、一通り学んだと言える。

そのアーミングが印象的な「フリーウェイ・ジャム」は、
シャッフルのリズムに、Gコード一発のコード進行と、
まさにジャムセッション、アドリブ大会にうってつけで、
古今東西のギタリストたちが、こぞってカバーしてる。

先日、リー・リトナーマイク・スターンという、ジャズ、
フュージョンのギタリストが、この曲を演奏していたし、
さらに、「フリーウェイ・ジャム・バンド」とまで名乗って、
彼らも、ベックには一目置いているのか、と嬉しくなる。

77年にチャーバウワウが武道館で共演した時、
チャーが、この曲を弾いていたので、やっぱりチャーも、
ベックが好きなんだと喜んだが、テレビ放映されたら、
「ハイウェイ・ブギー」という曲名になっていて、驚いた。

カバー演奏なのに、勝手に曲名を変えてしまうなんて、
パクリを通りこしていて、上海万博の比じゃない程で、
だいたい、70~80年の歌謡曲、ニューミュージックは、
洋楽のイントロ・バッキングの、パクリ天国と言えそう。

それで、自分は、この曲でアーミングを覚えたのだが、
ベンチャーズのような、コード全体にかけるビブラート、
リッチー・ブラックモアのような、過激な音程変化とも、
ヘンドリックスのような爆撃音とも、ベックは違っていた。

ロングトーンにかける、微妙なビブラートのニュアンス、
フレーズ中で、開放弦をからめるトリッキーなプレイと、
次世代のエディ・ヴァン・ヘイレンブラッド、ギルスの、
ロック・システムによるアーミングにも、先駆けていた。

ついでながら、この曲で、すごく目に(耳に)つくのが、
フレーズの合間に聴こえる、左手で弦をこするノイズで、
ヒップ・ホップDJがやる、レコード・スクラッチでもないが、
どことなくリズミカルで、意識してやってるかと思うほど。

自分も、ノイズを気にしないというか、わざと音を出すが、
たんに消音ができずに、雑音を出し放題みたいになり、
このあたりも、ベックのセンスには、まったく追いつけず、
ギターの練習以上に、感性を磨く必要もあり、困りもの。

ジェフ・ベックのアルバム「ギター殺人者の凱旋」から、
その後にライブ定番曲となる、「フリーウェイ・ジャム」を、
アーミングを意識した、いつもながらの、やや完コピで。




15歳には最高峰だったジェフ・ベック「スキャッターブレイン」
中学時代、ビートルズばかり聴いていた自分が、
高1の76年に初めて買ったロックギターのLPが、
ジェフ・ベック「ギター殺人者の凱旋」で、インスト、
しかも、弾きまくりでの音の洪水に、圧倒された。

特に、「スキャッターブレイン」は、8分の9拍子の、
テーマリフが、繰り返し演奏され、変拍子のうえに、
当時の自分には、これ以上の早弾きはないという、
メカニカルなフレーズで、ものすごい驚きだった。

LPの日本語解説に、ギター譜もついていたので、
必死で練習したが、その頃の早弾きギターの定番、
ディープ・パープルの、「ハイウェイ・スター」よりも、
速度は遅いのに、はるかに難しくて、弾けなかった。

その後、プリズムやらアル・ディメオラを聴き出して、
さらに、早弾きのギターに夢中になっていくのだが、
今回、久々に弾いてみたら、スケール練習のような、
テーマリフが、いまだに、正確に弾けてないと気づく。

ベックは、最初は、ハンマリング・プリングを駆使して、
スラーで音をつなげて弾くのだが、2、3回目になると、
次第にフルピッキングとなって、その使い分け自体も、
なかなか完コピできずに、左右がこんがってばかり。

8分の9拍子というのは、リズムマシンの打込みでも、
苦労し、4分音符で拍子やテンポを設定するのだが、
4分の4.5拍子にはできないから、4分の9拍子にし、
それも4+5拍子の分割入力で、倍速での演奏となる。

曲の出だしは、1拍=240くらいだが、後半になると、
300くらいにスピードアップしているし、78年に出た、
名盤ライブ「ライブ・ワイヤー」や、Youtube動画は、
さらに早く、時折、倍くらいの、ものすごい早さで演奏。

自分のMTR内蔵リズムマシンだと、250が最高で、
全体に、かなりゆったりしたテーマ演奏となっていて、
じゃあ、遅いから楽に弾けると言うと、それが真逆で、
勢いで突っ走れないから、もたったり、走ったりする。

ギターの音作りも難しく、この曲はオーバードライブ、
ディストーションではなくて、昔ながらのファズの音で、
にごった歪み方なのだが、それでいてクランチ気味で、
ピッキングのニュアンスが、伝わるようなセッティング。

なかなか適度な歪みができず、クランチだとガチガチ、
ディストーションだと、歪みすぎで、線の細い音になる、
ファズにすると汚すぎて、まるで豚の鳴き声みたいで、
どれも似なくて、何度も録音しては、やり直してばかり。

その分、テーマも含めて、しつこいくらい演奏したから、
結果的に、同じフレーズを、何度も反復練習した形で、
いつもより、単純なミスは減ったかもしれないのだが…。

75年発売、ジェフ・ベックギター殺人者の凱旋」から、
変拍子のリフが特徴的な、「スキャッターブレイン」を、
かなりテンポが遅めになってしまった、やや完コピです。




初めて聴いたジェフ・ベック、「分かってくれるかい」の衝撃
以前も書いたが、中学時代はビートルズばかり、
聴いていた自分が、76年に、高校へ入った時、
ディープ・パープルや、レッド・ツェッペリンの曲を、
楽々と演奏する同級生たちを、目の当たりにした。

200曲以上ある、ビートルズの曲を全部弾けたら、
他のバンドを聴こうと、何となく思っていたのだが、
ギターがうまくなるには、やはり、いろいろなバンド、
ギタリストの曲を聴かなくちゃと、単純に考え直す。

教則本や練習曲ではないのだが、うまくなるため、
LPを買うのだから、全面ギターが弾きまくっている、
インスト曲のLPを買おうと、ギター雑誌を調べた。

今考えると、そうした場合、ベンチャーズあたりに、
落ち着きそうだが、選んだLPは、ジェフ・ベックの、
「ギター殺人者の凱旋」に、チェット・アトキンスと、
レス・ポールが共演した「チェスター&レスター」。

渋谷東急プラザの、2階にあった紀伊国屋書店の、
さらに奥のコタニレコードで、2枚一緒に買ったが、
タワーレコードのない時代に、レコードを買う場所は、
東横、西武デパートや、コタニレコードが主だった。

初めて買った、ジェフ・ベックのLPの、最初の曲が、
You Know What I Mean (分かってくれるかい)」で、
当然ながら、これが初めて聴いた、ベックの演奏で、
それだけに、15歳の自分には、すごい衝撃だった。

イントロの、D9thやD11thといったテンションコードで、
16ビートを刻むカッティングは、それまで聴いてきた、
ビートルズとは、あまりに違ったし、友人たちが弾く、
パープルなどの、ロックギターとも、また違っていた。

LPには、歌詞カード代わりか、「哀しみの恋人たち」、
「スキャッターブレイン」の、ギター譜が入っていたが、
「分かってくれるかい」の、16ビートのカッティングを、
弾きたいから、渋谷道玄坂ヤマハで、楽譜を探す。

続くテーマも、モードスケールで組み立てたみたいで、
聴きなじんだメロとは、明らかに異なり、そこにかぶる、
フィルインも、フレーズの宝庫のように、繰り出される。

そしてアドリブソロは、ブルースフィーリングあふれる、
ペンタトニックフレーズが主体だが、ベックならではの、
裏拍からの、スリリングな切り込み方には、ぞくぞくし、
ドレミも満足に弾けない自分は、必死で練習を始めた。

今回、久しぶりに、この曲を、最初から弾いたのだが、
譜面を見なくても、おおよそは、指が覚えていた反面、
他のレパートリー同様に、ずっと間違えて覚えていて、
今さら直せないフレーズも多くて、けっこう大変だった。

BBA解散後、75年に、カムバックしたジェフ・ベックが、
初のソロ名義で、クロスオーバー路線に転じた第1作、
ギター殺人者の凱旋 (ブロウ・バイ・ブロウ) 」から、
1曲目「分かってくれるかい」を、いつものやや完コピで。




すすり泣くスライドとワウ、ベックの「デフィニットリー・メイビー」
第2期ジェフ・ベック・グループの、2ndアルバム、
「オレンジ」収録の、「デフィニットリー・メイビー」は、
スライドギターで弾くテーマに、ワウワウペダルで、
抑揚をつけた、泣きのギターが特徴のインスト曲。

こうしたインスト路線が、数年後、結実したというか、
ロックギターの歴史的名盤、「ブロウ・バイ・ブロウ
(邦題:ギター殺人者の凱旋)や「ワイヤード」という、
全曲インストで固めた、一連のアルバムにつながる。

特に、この曲の泣きのギターは、「ブロウ~」の名曲、
哀しみの恋人たち」を予感させ(まあ、後付ですが)、
当時の、TVでのライブを聴くと、アドリブソロなどは、
まんま「哀しみの~」と言って良い、フレーズの連発。

この曲を初めて聴いたのは、高1の76年で、FMの、
第2期ジェフ・ベック・グループ特集を、エアチェックし、
1st「ラフ&レディ」と、2nd「ジェフ・ベックグループ
(ジャケ写真から通称「オレンジ」)の、両方が聴けた。

それぞれから、3~4曲程度しか、かからなかったが、
もともとインストのベックを聴き、ファンになったので、
デフィニトッリー・メイビー」と、「帰らぬ愛」の2曲が、
聴けただけで、もう十分に満足し、何度も聴き返した。

高校時代は、少い小遣いで、いろいろなギタリストの、
LPを買いたかったから、大好きなジェフ・ベックでさえ、
FMで何曲か録音できれば、そのLPはもう買わずに、
また放送されれば、1曲だけ別のテープに録ることも。

ステレオを買ってもらったのは、大学入学の79年で、
それまでは、モノラルのラジカセでエアチェックしたが、
音質が悪いのも気にならず、それで十分幸せというか、
充実していたように思えるのは、過去を美化しすぎか。

この曲では、ワウペダルが効果的に使われているが、
一般的な、チャカポコ・チャカポコと、リズミカルに踏む、
使い方でなく、フレーズにあわせて、語りかけるように、
ワウをコントロールするので、そのニュアンスが難しい。

ギターのフレーズは弾けても、ワウの踏み方を間違え、
何度もやり直したし、さらに、スライドの音程が合わず、
必死で音を追うあまり、ビブラートをかける余裕がなく、
ベックのような、すすり泣く感じが、うまく出せなかった。

スライドの場合、以前、レイラを弾いたときもそうだが、
原曲のフレーズを、繰り返し弾いて、完成させていくが、
スライドでのスケール練習を、日頃から、やった方が、
正確な音程や、スライドのタイミングが身につくのか?

かすかにサイドギターが、左チャンから聴こえるので、
多少耳コピしてみたが、ベックならではのタイミングで、
単音や和音、アルペジオの使い分けが、絶妙なのに、
自分のは、邪魔なバッキングになってしまい、消した。

第2期ジェフ・ベック・グループの2作目、72年発表の、
グループ名をアルバムタイトルとした、通称「オレンジ」、
その最後を飾るインスト曲、スライドとワウがすすり泣く、
名曲「デフィニットリー・メイビー」の、やや完コピです。






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