僕らが聴いてきたギター音楽 60~80年代を過ごした渋谷あれこれ
青春時代を渋谷で過ごした中年サラリーマンです。 昔のことを思い出そうとしたブログですが、最近はギター演奏が主体です。          旧タイトル「僕らの過ごした渋谷」
駐車禁止で捕まったポールが婦人警官を歌った「ラヴリー・リタ」
LP「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」は、
ペパー軍曹のバンドのライブショーという形をとったアルバムで、
ジャケットも含めての、トータルアルバム、コンセプトアルバムの、
先がけとされるが、ほとんどポール主導だったのは、周知の話。

ジョンは、「ビートルズ革命」の中で、「ショーを見にいらっしゃいと、
言ったのは、ポールで、私はそんなこと言いません。今日新聞を、
読んだ、オーボーイと言ったのです。」と、ショー仕立てにしたのは、
ポールで、自分は関係ないといった口調で、最初ちょっと驚いた。

自分の作った曲、「ミスター・カイト」や「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」も、
「時間がせまっていて、早く作らないとアルバムに入らなくなるから、
いくつかの歌を大急ぎで作らなくてはいけなくなり~」みたいに語り、
半ばやっつけ仕事、ポールにせっつかれたとでも言いたいような。

どこで読んだか覚えていないが、ジョンは、ペパーズはタイトル曲と、
リプライズがあるものの、他はペパー軍曹とは何の関係もない曲で、
「マジカル・ミステリー・ツアー」などの曲と入れ替えても変わらない、
決してコンセプトアルバムではない、みたいにも言っていた気がする。

この時期のジョンは曲作りにスランプだったのか、ペパーズの曲は、
モチーフを外に求めて、「ルーシー」は息子のジュリアンが書いた絵、
「カイト」は古いサーカスのポスターで、「グッド・モーニング」はCM、
「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」は新聞記事、それも録音2日前の記事。

ただ、これだけをもって、ジョンの才能は、枯渇しかけていたなどと、
断じてしまうのは短絡で、ポールも「シーズ・リービング・ホーム」は、
家出少女の新聞記事から題材をとっているし、「ラヴリー・リタ」では、
自分が駐車禁止の取り締まりに遭ったことで、ストーリーを作った。

「ラヴリー・リタ」は、交通取締り警官を、イギリスでは、「Traffic
Warden」と呼ぶのに、アメリカでは特に婦人警官を「Meter Maid」と、
呼ぶと知ったポールが、Meterに合う語呂で Ritaの名前を思いつき、
最初は婦人警官への恨みだった歌詞を、恋人同士へと変えたとか。

「全曲バイブル」に、ミータ・デイビスという婦人警官が自分の事だと、
名乗り出たが、ポールは否定したと書かれ、「213曲全ガイド」には、
リタ・デイビスがモデルだと書いてあり、こんなことまで錯綜していて、
ポール本人が証言していても、別の説まで出てきて、何が真実だか。

アコギのイントロを始め、アコギはジョンだけかと思ったら、ジョージも、
お揃いのギブソンJ160Eを弾いたそうだが、どちらも左チャンネルに、
固まっているので、なかなか、個々の音が聞き取れないが、イントロの、
アルペジオはジョンだろうし、伴奏も力強く4つ刻むのがジョンだと思う。

叩きつけるように1拍ずつコードが鳴る中、8ビートのストロークも混じり、
ジョンが合間に弾くよりは、ジョージが細かく刻んでいるように思えるが、
ビートルズコピーの達人の方々は、それぞれ解釈が違っているようだし、
ベーシックトラックで、別チャンネルに入っているのが聴きたくなってくる。

テイク8まで録音したベーシックトラックは、1チャンネルにジョンのアコギ、
2チャンがジョージのアコギ、3チャンはドラム、4チャンがポールのピアノと、
楽器のみだそうで、それをトラックダウン・リダクションして、テイク9にして、
空いたトラックにベース、ボーカルを録音し、さらにリダクションしたらしい。

今回、50周年記念盤では、マーティンの息子、ジャイルズがリミックスし、
コーラスなんかは、驚くくらい分離しているので、この曲も2本のギターが、
分離しないか期待したが、ピアノとギターを分けた程度、未発表曲集でも、
テイク9のボーカル入りのみで、ベーシックトラックを聴くことはかなわない。

それでもテイク9は、LPでは、曲のキーがEとE♭の中間くらいだったのが、
ジョンが話しながら試すフレーズも含め、キーがEになっていて、録音はE、
これまでの説、Dで録音して、テープスピードを上げたのではなく、その逆、
ボーカル録音時に下げて、完成テイクは半音上げるに留めたと推理できる。

コーラスや効果音は、さらに後日、リダクションして、録音にあたったそうで、
トイレットペーパーを櫛で叩いたり、うめき声、ハイハットの口真似を加えて、
ブーブー鳴らす音は、マーティンが「スライドギターを使った」と語ったらしく、
「全曲バイブル」にあるが、達人の方々では、民族楽器のカズーが有力説。

自分は、子供の頃、口に手を当て、豚の鳴き声やおならの音を真似たのや、
トレーシングペーパーを口に当て、ブルブル響かせた、どちらかと思ったが、
トイレットペーパーの筒を口に当てた説もあり、ポールがライブで演奏した際、
キーボードの人がカズーを使っていたので、自分も安いのを買ってきて使う。

ペパーズから、駐車禁止のエピソードからポールが作った「ラブリー・リタ」、
やはり、ポールの高音が厳しいうえに、早口で歌う部分が、舌足らずとなり、
いつもながら、演奏は、そこそこなのに、歌はネックだと反省しつつ、さらに、
時間不足で、この記事も書きかけで、とりあえずは、週末のアップとします。






(ブログ記事の補足というか、書き切れなかった分の追加です)

ベーシックトラックでは、ポールがピアノを弾いたこともあって、
ベースをあとからダビングしているが、このペパーズあたりから、
ポールはベースを後回しにしては、ほぼ完成した曲を聴きながら、
じっくりベースラインを考えて、録音するようになっていった。

ポールは、リッケンベースを使って、得意のスタッカート気味で、
ミュートをかけたフレーズで、かなり自由に動き回るラインを弾き、
自分は、普通に弾いて録音した後で、どうも音が違うと気がついて、
右手の腹でブリッジミュートをかけて、最初からやり直すことに。

ただ、自分のベースは、フレットレスのジャズベースタイプなので、
リッケンのガツンガツンとした硬い音は出ないし、その硬質ながら、
音をこもらせて、それでいて、他の楽器にまぎれずに鳴っている、
ポール特有の音色は、なかなか再現できず、普通の音で妥協する。

伴奏のピアノは、イントロ部分は、和音と低音との交互フレーズで、
「アイム・ザ・ウォルラス」の弾き方にも近いし、エコーの響きは、
「ホワイト・アルバム」の「セクシー・セディ」を思わせるようで、
ジョンは、ポールにピアノを教わったというか、真似て覚えた気が。

わりと淡々とリズムを刻んでいるピアノ伴奏は、エンディングでは、
シンコペーションを多用したフレーズで、小節をまたいでるうえに、
一定のパターンではなく、どんどん変化させていくので、難しくて、
バンドスコアとにらめっこで、何回もやり直し、それでもずれ気味。

「ラヴリー・リタ」と繰り返すコーラスは、いかにもビートルズで、
多くのビートルズ本にジョンとジョージとあるが、3声コーラスは、
ポールも歌っているだろうし、ただ、高い音はジョンにも聴こえて、
中間もジョンのようなジョージのようなと、見事に溶け合っている。

うめき声での掛け合いは、ジョンとジョージとされるが、ジョンが、
1人でやったという説もあり、YouTubeのコメで、「ジョンの声が、
わからないのか」とまであるが、テイク9では、ポールの歌に続き、
「ダッダッ」となるので、その部分だけは、ポールの可能性もある。

どちらだったにせよ、この掛け合いが、後の「ヘイ・ブルドッグ」の、
ジョンとポールの犬の吠えるやりとりや、ソロ時代になってからの、
ジョンの「冷たい七面鳥」の中毒患者の叫びにも、つながっていき、
レノン=マッカートニーのすごさ、ビートルズマジックを思わせる。

リンゴのドラムは基本はエイトビートだが、ハイハットを模した声、
ボイスパーカッションは、16ビートでオープンクローズまでして、
さらに、パーカッション代わりに、トイレットペーパーを櫛で叩き、
何をどうしたら、トイレットペーパーを使うという発想になるのか。

エンディングの台詞は、里中・遠山の「ビートルズを聴こう」には、
「ポールがLeave it(かまうな)と言って、曲を閉じる」とあるが、
YouTubeの別テイクで、「I don't beleave it」とはっきり聴こえるし、
しかも、ポールではなくリンゴ、あるいはジョンという説まである。

間奏のホンキートンク調のピアノソロは、マーティンが演奏して、
「イン・マイ・ライフ」のバロック調ピアノソロの録音と同様に、
テープ速度を落として録音し、そっちは半分の早さに落としたが、
この曲は、そこまでは遅くしてないそうで、どれくらいだったか。

その際、ホンキートンクピアノの調子っぱずれな音色になるよう、
テープレコーダーの回転ノブに、ガムテープか何かを貼り付けて、
回転ムラが起きるようにしたそうで、自分はギターシンセを使い、
ピアノ音色で、速さはそのまま、エフェクトで音を揺らしておく。


とまあ、いろいろ書きたいことがあったのに、週末更新を優先し、
途中で無理やり記事を切り上げて、土曜日のうちにアップしたが、
演奏も記事も余裕を持って仕上げたいと思いつつ、締め切りに、
追われ、まるでペパーズのジョンの気分だと勝手に思ってます。

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叙情的なメロディに哲学的な歌詞をのせた「フィクシング・ア・ホール」
「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」は、
ライブ活動を中止したことで、ライブでの再現を前提とせずに、
スタジオ録音の技術を駆使し、約5ヶ月・延べ700時間をかけ、
作り上げたアルバムで、1967年6月にイギリスで発売された。

今年は発売50周年となるので、ボックスセットの記念盤が出て、
ジョージ・マーティンの息子、ジャイルズによるリミックス盤から、
モノミックス、未発表テイク2枚、5.1サラウンド、ハイレゾ音源、
ドキュメンタリー映像の豪華6枚組は、定価18、000円と高額。

自分は、未発表テイクだけ欲しく、リミックスとの2枚組もあるが、
ボックスセットだと、各曲ごとに2~3テイクと、全33曲のところ、
1枚にまとめられた15曲のみとなるので、何とも不十分な形で、
かといって、未発表テイクだけのために2万円を出す気もしない。

「アンソロジー2」に、ペパーズから6曲が収録されていたので、
7曲の別テイクが初披露となり、海賊盤では出ていたのだろうが、
自分は知らなかったので、今回、YouTubeで初めて聴いた曲の、
「フィクシング・ア・ホール」「ラブリー・リタ」は、とにかく感動した。

「フィクシング・ア・ホール」は、マーティンがハープシコードを弾き、
ポールのベース、リンゴのドラム、ジョージのリードギターとされ、
さらに、ジョンがマラカスを担当したかどうかとも言われていたが、
ハープシコードはポールという説が、今回の音源で確認できる。

テイク3は、かなりハープシコードが自由にというか、好き勝手に、
弾いている部分があり、マーティンだったら、かっちりと弾くはず、
ポールのカウントで、ハープシコードを弾き始め、やり直すから、
まず、ポールに間違いなく、イントロは、マーティンのダビングか。

さらに、ポールがハープシコードを弾くバックで、ベースも聴こえ、
ほぼ完成テイクのフレーズと変わらないから、ジョンかジョージが、
ベースで、後からベースを差し替えてポールが録音し直したなら、
後半部分で、同じフレーズを繰り返さず、派手に弾いた気がする。

ただ、「全曲バイブル」によると、すべての楽器をダブルトラックで、
後からダビングしているそうで、ベースのフレーズを遊んでしまうと、
同じに弾くのが面倒になるから、基本パターンにした可能性もあり、
ベーシック段階で、ダブルトラックを想定し演奏したのもすごい話。

もともと、この曲のベースは、ジョンだという説があり、その理由が、
ポールにしては下手だからというもので、その逆に、ジョンだったら、
ここまで弾けないから、やはりポールという人もいて、どちらにしても、
ジョンを馬鹿にしたような話で、自分からすると、かなりカチンとくる。

ポールお得意のメロディアスベースとやらが、この曲でもそうなのか、
自分にはわからないが、もともとがベーシストではない自分にだって、
そこそこ弾けるのだから、こんな風にと基本的なフレーズを教われば、
ジョンだって普通に弾くだろうし、ジョージという説もあるが、同じこと。

ジョンがジャズベースで弾いていたという、スタジオの関係者による、
証言があるとか、この音は、ジャズベースでないから、間違いだとか、
確かにリッケンベースの音だが、ポールの左利き用を借りて弾いて、
それで、たどたどしい演奏になったのだとか、本当、謎にきりがない。

それよりは、リードギターは本当にジョージなのか、「ヘルプ」収録の、
「アナザー・ガール」を皮切りに、ジョージ作曲の「タックス・マン」でも、
リードギターを弾いたポールは、ペパーズでも、タイトル、リプライズ、
「グッド・モーニング・グッド・モーニング」でリードギターを弾いている。

以前、「リハーサルテイクでも、ポールは間奏フレーズを口ずさんで、
すでに頭の中にギターソロができていてすごい。」という記事を読み、
なぜだか自分は、「フィクシング・ア・ホール」のことだと思っていたが、
実際は、「マックスウェルズ・シルバー・ハンマー」のことで、勘違い。

どうも、リードギターが良い感じだと、ジョージでなく、ポールだろうと、
勝手に思い込む癖になってしまい、ジョージのファンには申し訳なく、
ジョンのベースかどうかを、とやかく言う資格もないが、テイク3では、
リードギターは演奏されず、ダビングらしいので、また疑惑も出てくる。

ギターは歌のバックも間奏でもダブリングで、単なるユニゾンであって、
オクターブにはしていないと思えるが、間奏はダブリングが強いので、
さらに重ねたか、レスリースピーカーを通して位相をずらしているのか、
ギターもストラトらしいが、低音の太い音はカジノを使った可能性もある。

フレーズの一番低い音がD・レで、レギュラーチューニングではE・ミが、
最低音となるので、6弦をゆるめたドロップDチューニングにしているが、
レギュラーチューニングのままで、テープ速度を下げた可能性もあって、
いつくかのフレーズは、その方が、開放弦が使えて、スムーズになる。

いつもながら、ビートルズには、まだまだ、誰がどの楽器を担当したか、
どのように録音していったか、解明されたようで、新たな謎も出るので、
アンソロジー・プロジェクトの段階で、ポール、ジョージ、リンゴの3人に、
マーティンを交え、全曲を振り返ることはできなかったのか、すごく残念。

このテイク3までのベーシックトラックは、いつものアビーロードでなくて、
スタジオが空いていなかったからと、外部のスタジオで録音したそうで、
ポールは、すぐ録音したかったのか、「シーズ・リービング・ホーム」でも、
多忙のマーティンを待てず、オーケストラ編曲を別の人に頼んでしまう。

ポールに限らずジョンにしても、「ジョンとヨーコのバラード」の録音では、
海外へ行っているリンゴとジョージが、2日後には戻ってきて集まるのに、
どうしても、すぐに録音したいと、ポールを説得し、ドラムまで叩かせて、
2人だけで完成させていて、ミュージシャンにはエゴはつきものなのか。

「雨音が思考が浮遊するのを妨げるので、雨漏りを修理する」という、
どこか哲学的、抽象的な歌詞は、もともとジョンの得意とするところで、
かつて、歌詞はジョン、メロディはポールという誤解もあったほどだが、
ポールも書けるわけで、ジョンも、この曲の歌詞を評価していたそうだ。

「フィクシング」という言葉が、麻薬のスラングだか連想させるだとかで、
この曲が、放送禁止になったそうで、そこまで勘ぐるのかと思うのだが、
それなら、「ひび割れ・クラックを埋めている」の方が、「クラック」という、
そのままコカインを意味する単語で、こっちは問題視されないのだろうか。

ペパーズ50周年に便乗して、「フィクシング・ア・ホール」の演奏ですが、
電子ピアノのハープシコードの音色が、原曲に比べて、しょぼいうえに、
バンドスコアはオクターブ違っていたかもしれず、さらにポールの歌声は、
かなり高音がきつく、ひっくり返ってしまい、時間切れで妥協しています。






ポールとリンゴ、ホルン奏者だけで録音した「フォー・ノー・ワン」
ビートルズは、デビュー前から、基本的には4人で歌って、
演奏していたから、デビューアルバムは、スタジオライブの、
雰囲気で一発録音と、ライブハウスで鍛えた実力を発揮し、
ジョージ・マーティンが2曲だけ、後でピアノをダビングした。

セカンドアルバムでは、「5人目のビートルズ」と呼ばれる、
マーティンが、その名のとおりに、一緒にピアノを演奏して、
アレンジ、演奏の完成度への貢献は、計り知れないほど、
メンバーの4人と共に、抜群・鉄壁のチームワークを誇る。

4作目の「ヘルプ」に収録の、「悲しみをぶっとばせ」には、
フルートが加わって、これが初めて外部ミュージシャンを、
起用した曲とされるが、同じアルバムの「イエスタデイ」は、
弦楽四重奏が加わり、メンバー以外の演奏も増えていく。

「イエスタデイ」は、本来ベースを担当しているポールが、
フォークギターで弾き語りをして、ストリングスと共演して、
ジョン、ジョージ、リンゴは、演奏もコーラスにも参加せず、
完全なポールのソロ作品で、次第にその傾向も増えていく。

「リボルバー」の「エリナー・リグビー」は、4人は演奏せず、
オーケストラの伴奏でポールが歌い、ジョンとジョージが、
コーラスをつけたとされるが、2人の声だと確信するほど、
よくは聴き取れず、ポール1人じゃないかとも思ってしまう。

「サージェント・ペパーズ」の「シーズ・リービング・ホーム」は、
ジョンが歌詞を書いたパートは、明らかにジョンの歌声だが、
オーケストラのみの演奏で、ジョージもリンゴも不在のうえ、
オケの編曲さえも、ポールはマーティン以外に頼んでしまう。

ポールは、ベース、ギターに加え、ピアノも弾くようになって、
曲によってはリンゴだけドラムで参加、ポールがダビングで、
全部の楽器を演奏して、ホーンなどは外部ミュージシャンで、
自己のイメージするサウンドを実現しようと、ワンマン化する。

リンゴは、ペパーズやホワイトアルバムで、ダビングが増えて、
最初にドラムを叩くと、後の作業では、ただ待つことばかりで、
「おかげでチェスが強くなった」と、暇を持て余していたことを、
語っていたが、少なくとも、大半の演奏には実際参加している。

「ホワイトアルバム」で、リンゴが一時的に脱退したときだけは、
ポールが2曲叩いたが、基本的に、ジョン、ポール、ジョージ、
誰の曲であっても、リンゴがドラムだったし、ジョージのように、
リードギターもポールに弾かれ、出番がないよりは、ましでは。

ライブの再現が不可能になっていった作品、「リボルバー」は、
テープ操作に、ダビングや、オーケストラなど駆使しているし、
加えて、「グッド・デイ・サンシャイン」と、「フォー・ノー・ワン」は、
主にポールとリンゴだけで、ダビングして、完成させている曲。

「フォー・ノー・ワン」は、ベーシックトラックは、ポールのピアノ、
リンゴのドラムのみ、そのドラムも、後からダビングするために、
リズムキープ、ガイドトラック用に叩いた感じで、ミキシングで、
音が絞られ、ピアノの音に紛れてしまい、ほとんど聴こえない。

バンドスコアでは、スネアが主で、サビのみバスドラが入るが、
スネアよりハイハットの音の方が、聴いたときに目立っていて、
時折、ドラムロールのような音に聴こえる部分も、スネアでなく、
ハイハットのオープンクローズだと、デモテイクから想像できる。

ピアノの音が、ホンキートンクピアノの音のように聴こえるのは、
ダブルトラックなのか、ハープシコードか何かなのかと思ったら、
クラビコードという、ハープシコードを卓上型にしたような楽器で、
ポールは、あえてこの楽器の音色に、こだわって選んだらしい。

中山康樹「これがビートルズだ」に、「いったい、どこをひねれば、
クラビコードという珍しい楽器、そのサウンドが浮かんでくるのか。
ポールの曲では、すべての楽器は必然性を持って使われる。」と、
べた誉めなので、自分も音色を再現しないといけなくなってくる。

自分のギターシンセは、ハープシコード、チェンバロの音がなく、
シンクラビアやクラビネットの、電気加工した音しか出ないので、
ピアノの音を2回重ね、コーラスもかけるが、どうも似ないので、
ちょっとしょぼい音だが、電子ピアノのハープシコード音にした。、

30年以上前、カセットテープのMTRを買って宅録していた頃、
手持ちのミニ鍵盤のポータトーンでは貧弱で、シンセを買うなら、
いっそ、電子ピアノを買って、ピアノも弾けるように練習しようと、
ヤマハと河合を弾き比べて、鍵盤が木製の河合の方を買った。

当時は、ヤマハのクラビノーバが主流だし、同じような値段では、
ヤマハの方が、音色も多く、リズムボックスも付いていたのだが、
生ピアノの音色は、河合の方がリアルな音に思えて、何よりも、
河合楽器のギター教室に通っていたので、割引もしてもらえた。

何でも形から入りたがる自分は、バイエル、ハノン、ツェルニー、
ブルックミューラーにバッハのインベンションと、初級者向けの、
教則本を一通り買ったが、バイエルの途中で投げ出してしまい、
それでも、右手と左手を別々に録音すれば、伴奏程度はできる。

ほとんど物置台と化していた電子ピアノに、MTRをつないだが、
ライン録音では、かなり波形が雑というか、チープさが目立って、
ハープシコードっぽいが、かなりザラザラした、作り物の音色で、
生ピアノやストリングスの音は、遥かにギターシンセがにリアル。

本物の録音は、まずピアノを録音、クラビコードがダビングされ、
Aメロでは、クラビの音が目立って、サビの細かい伴奏になると、
ピアノが目立ち、低音くらいは、クラビが鳴っているのだろうか、
自分は、サビはピアノだけにして、その分、2回音を重ねておく。

間奏のフレンチホルンは、後に「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」にも、
参加したクラシック奏者のアラン・シヴィルで、このフレーズは、
ポールが考えたか、マーティンが書いたと思ったら、この曲に、
合うよう、バロック風に演奏したとアランが語り、アドリブらしい。

ギターシンセには、2種類のフレンチホルンの音色があったが、
どちらも、かなり金属的な響きがし、フリューゲルホーンの方が、
原曲に似ているので、それにしたが、ギターで弾いているので、
管楽器のニュアンスは難しく、ほんの数小節を何度もやり直す。

この曲は、ギターの弾き語りにも向いていて、ピアノ伴奏のまま、
低音弦でベース音を鳴らし、コードを弾くと、ギターでもよくある、
カーターファミリー奏法と同じで、いい感じに雰囲気も出るので、
ジョン派の自分でも、中学時代、けっこう弾き語りで歌っていた。

ポールが、映画「ヤー・ブロード・ストリート」で、セルフカバーして、
ギターの弾き語りをするのは、自分も同じ発想だと嬉しくなったが、
そこに、オーケストラまで加わるのは、さすがポールだなと感心し、
「イエスタデイ」の編曲を模してみたのか、そう違和感なく聴ける。

「ペパーズ」50周年盤に、世間が盛り上がる中、その序章となる、
「リボルバー」から、どうして、こうも名曲が次々作れるのかという、
ポールの隠れた名曲「フォー・ノー・ワン」は、珍しくキーが低くて、
高音の厳しさはないものの、歌唱力は、いっぱい、いっぱいです。






ジェフ・ベックを思わせるロック調アコギ、デパペペ「MTMM」
年を取ったせいか、ちょっとしたことでさえ面倒になってきて、
例えば、正月に親戚が集まり、子供と人生ゲームで遊ぶ際、
お金やら株券を並べて準備するのが、ものすごくおっくうで、
小学生の頃は、準備すること自体が楽しかったはずなのに。

MTRで録音する時でも、ギターのエフェクターをつなぐのは、
面倒くさいからと、MTRに内蔵のエフェクトのみですませて、
ギターシンセをバッグから出して、ギターにマイクを取り付け、
ケーブルでつなぐという、数分の作業も面倒に思ったりする。

高校の頃は、エフェクターさえ、いちいち箱から出し入れして、
あれこれつないでは、セッティングを試すのが楽しかったし、
ギターもちゃんとケースから出し入れして、演奏が終われば、
布で拭いたが、今は、枕元に3本を出しっぱなしにしている。

そんなわけで、さぼり虫が顔を出すと、オケ作りが面倒になり、
ドラムの手数が多いと、入力の途中で、別の曲に変更したり、
ギターシンセをかぶせていて、音色が作れないと没にしたり、
やっぱり、アコギだけの曲だと楽でよいなあと、安直に考える。

ただ、クラシックギターだと、基礎練習をやり直す必要があり、
アコギによるソロギターも、ギター1本で聴かせるには、かなり、
曲を弾き込まないと無理なので、リズム隊は入れないとしても、
ギター2本の合奏なら、音も厚くなり、そこそこ曲の格好がつく。

そんな時にありがたいのが、ギターデュオでインスト演奏する、
DEPAPEPE・デパペペで、歌もののようなメロディアスな曲、
ヒーリング系、ロック系と曲調も幅広く、弾いていて飽きないし、
スコアも3冊持っているから、レパートリーには当分困らない。

メジャーデビューアルバム、「レッツゴー」収録の「MTMM」は、
最初に聴いた時、ジェフ・ベック「ワイヤード」路線みたいだと、
すごく気に入った曲で、16分音符のイントロのリフなんかは、
「サンシャイン・オブ・ラブ」を倍テンポにしたような、ロック調。

裏拍を強調したテーマは、ベックの切り込むフレーズのようで、
中間部のペンタトニックのリフは、「ワイヤード」のオープニング、
「レッド・ブーツ」を思わせて、エレキでロックを演奏していたと、
語っていたが、クロスオーバーも弾いたんだろうなと想像する。

ジェフ・ベックが、「ワイヤード」を出したとき、これまでの慣例で、
アルバムを2枚出すと、バンドを解散し、その演奏スタイルまで、
変えたから、「ギター殺人者」「ワイヤード」とインスト路線が続き、
次はまた、まったく違うスタイルになると、評論家が語っていた。

「ワイヤード」の「ラブ・イズ・グリーン」では、アコギを弾いていて、
次回作はこのアコギ路線になる、全面的にアコギの曲になると、
まことしやかに語る評論家もいて、実際にはそうならなかったが、
実現していたら、このデパペペの曲みたいになったかもしれない。

アコギ路線は、ベック自身に、その気があったのかは不明だが、
当時のクロスオーバーの流れとしては、それもありだった感じで、、
ベックがインスト路線に向かうきっかけの、ジョン・マクラフリンは、
すでに71年の段階で、アコギだけのソロアルバムを出していた。

そのマクラフリンと並び、ジャズロックギターの開祖とも言われる、
ラリー・コリエルは、「スペイセス」の中で、マクラフリンと共演して、
「レーヌのテーマ」では、2人でアコギのアドリブ合戦を繰り広げ、
その後、コリエルはスティーブ・カーンとデュオでアルバムを出す。

チック・コリアのリターン・トゥ・フォーエバーの、ビル・コナーズは、
エレキで弾きまくっていたのに、ECMではアコギアルバムを出し、
同じRTF出身のアル・ディメオラは、パコ・デ・ルシアと共演して、
やがて、マクラフリンを加えて、スーパーギタートリオを結成する。

結果的には、ベックの次回作は、インスト路線のライブ盤だったし、
その後、「ゼア・アンド・バック」、「フラッシュ」、「ギター・ショップ」と、
歌ものが入ることはあっても、インスト路線をどんどん続けていて、
ピック弾きから指弾きという変化はあるが、スタイルは変わらない。

ベックのファンからすると、何を言っているんだ、打ち込み路線や、
ドラムンベースの導入など、スタイルはどんどん変化していると、
怒られるかもしれないが、70年代に思い入れのある自分にとり、
「ワイヤード」以降は、必死で完コピしたい曲は、なくなっている。

どんどんデパペペから話がそれてしまったが、この「MTMM」は、
自分が好きだった頃のベックのようだし、それでいて、アコギが、
すごく力強く鳴っているし、伴奏は、ジャズのテンションコードが、
効果的に使われていて、フュージョン好きの自分にはうってつけ。

イントロのリフにかぶってくる、Em7・(9)コードは、ジャズでも、
使うコードだが、このコードの響きがすごく効果的に感じたのは、
AB’sという、芳野藤丸と松下誠のギタリストが結成したバンド、
そのデビューアルバムの冒頭の曲で、独特の響きに感動した。

「いちご白書をもう一度」の名演や、ショーグンで有名な芳野と、
松田聖子のバックや、自身のソロアルバムでも売れた松下に、
MMPやスペクトラムの渡辺、岡本という実力派のメンバーで、
自分はインストを期待したが、歌もの主体で、ちょっとがっかり。

それでも、ギターの伴奏は、スタジオで培った実力が発揮され、
テンションコードに、階段コードのようなベースラインだったり、
2台のギターの絡みも見事だし、歌ものだけに、間奏の部分は、
すごく格好良く、曲によっては、ギターバトルも聴かせてくれた。

と、これまた、デパペペから脱線したが、それだけ彼らの曲には、
いろいろな要素がつまっていて、他の曲に関しても、あれこれ、
影響を受けたであろう曲が、いろいろ想像できる部分が多くて、
自分からすると、若いのに、よく勉強しているなあと上から目線。

MTRのオケ作りに、ちょっとスランプ状態になっている今週は、
アコギだけのデパペペ「MTMM」で、ささっとすませるつもりが、
けっこう難しくて、金・土と数時間は練習と、久しぶりにギターを、
ずっと弾いての録音ですが、かなりリズムが危なっかしいです。






バンドマンの孤独な心情を見事に歌い上げた「早く家へ帰りたい」
サイモン&ガーファンクルは、64年にデビューしたものの、
LPの売り上げも良くなく、失意のポールはイギリスに渡り、
ライブハウスを回る地道なソロ活動、アートは大学院へ進み、
S&Gは活動休止というか、実質は解散状態になってしまう。

ポールは、デビュー以前にも、イギリスやヨーロッパを回って、
現地のミュージシャンと交流していて、この時も「アンジー」や、
マーティン・カーシーが編曲した、「スカボロー・フェア」などを、
教わったので、イギリス滞在は必ずしも無駄にはなってない。

LPの中の1曲にすぎなかった「サウンド・オブ・サイレンス」が、
もともとの弾き語りに近い二人の歌に、エレキギター、ベース、
ドラムをダビングして、流行のフォークロックサウンドに変身し、
シングル盤として発売されると、大ヒットして、やがては1位に。

イギリスを回っているポールとは、連絡がつきにくかったため、
本人が知らない間に編曲され、そのうえヒットまでしたのだが、
一説には、ふと立ち寄った店で、雑誌を手に取ったポールが、
自分の曲がチャートインしているのに驚き、連絡を入れたとか。

急遽、ポールはアメリカに呼び戻され、アートも召集がかかり、
曲がヒットしているうちに、2枚目のアルバムを作ることになり、
レパートリーの不足を補うために、ポールがイギリスで出した、
ソロLP「ソングブック」の大半の曲を、S&Gとしてリメイクする。

そんな話を聞いていたから、3枚目のLPに収録されている曲、
「早く家へ帰りたい」は、歌詞もドサ周りをしている内容だから、
「ソングブック」からのリメイクと、ずっと思いこんでいたのだが、
「ソングブック」は未収録で、これまた、いつもの早とちりだった。

ただ、2枚目のLP「サウンド・オブ・サイレンス」が発売された、
ほぼ同時に、「早く家へ帰りたい」のシングルは出ているから、
録音自体は引き続いたか、LPの未収録曲をシングルにしたか、
どちらにしても、イギリス時代のレパートリーに間違いないはず。

「ソングブック」のアルバムジャケットに、ポールと一緒に写って、
「キャシーの歌」のモデルにもなった、当時のガールフレンドの、
キャシーに向け、君が待つ家に早く帰りたいと歌ったらしいが、
故郷への郷愁、母国アメリカへの思いも重ねていたのかと思う。

「切符を手に、駅に座っている。スーツケースとギターを持ち~」
「どの町も同じに見える、映画館と工場ばかり。」といった歌詞は、
バンドマンの孤独を歌っているように感じ、ようやくアマチュアの、
端くれになったくらいの自分なのに、わかるなあと共感していた。

ただ、実際の経験がなくても、本からの知識はそこそこあるから、
例えば、ビートルズが、アイドル時代、世界ツアーに明け暮れて、
ホテルとコンサート会場の往復だけで、今自分はどこにいるのか、
他の国へ行っても、同じ繰り返しという感覚に近いのかなと思う。

多少ニュアンスが違うかもしれないが、あのジミ・ヘンドリックスは、
ライブでギターを振り回して、大歓声に包まれれば包まれるほど、
ホテルの部屋に1人戻ってから、より一層の孤独を感じていたと、
そんな聞きかじりとオーバーラップして、わかった気になっていた。

この曲は、自分がS&Gを聴くきっかけとなった、NHKで放送の、
「ポール・サイモン・ショー」でも、ギターの弾き語りをしていたから、
テレビから録音したテープで、かなり聴き込んでいて、曲の途中、
一端ギターを弾く手を止めるところが、すごく印象に残っている。

大きくため息をつき、観客を和ませてから、また歌い始める演出、
テープを聴きながら、思い浮かべるポールの姿は、ライブLPの、
ジャケットに写る、白いスーツ姿なのだが、YouTubeで見つけると、
オレンジの服で、口髭もはやしていて、まったく記憶と違っていた。

YouTubeには、インタビューを交え、この曲を演奏する映像もあり、
じゃあやってみようかという感じで、人差し指にフィンガーピックを、
はめていて、サムピックだけではないんだと、今さらながら気づき、
「グレイテストヒット」の楽譜でも、フィンガーピックと書いてあった。

S&Gのレコードは、「グレイテストヒット」しか持ってなかったので、
この曲は、そこに収録の弾き語りライブバージョンに親しんでいて、
テレビでも弾き語りだったから、CDの時代になり、ベスト盤を買い、
スタジオ録音のバンド演奏バージョンを聴いたとき、すごく驚いた。

もちろん、フォークロックのアレンジを施して、劇的に変化となった、
「サウンド・オブ・サイレンス」ほどではないが、ギターだけとっても、
アコギとガットの2台による、8分音符のアルペジオから始まって、
ライブの16分音符主体のスリーフィンガー奏法とは、感じが違う。

昔からやっている弾き語りバージョンで、いったん録音してみるが、
ただ、自分の場合、実際の弾き語りにすると、ミスが多くなるので、
ギターと歌は別々に録音していて、それでも伴奏がギターだけだと、
ボーカルの稚拙さが目立ってしまい、ドラムとかが入る方が良い。

バンドスコアには、8分音符がシャッフルとの指定となっているが、
そんなにはねていなくて、サビでテンポが倍テンになるところでは、
シャッフル気味になり、それでもおかずに入る16分音符のスネアは、
はねずにストレートに近く、ドラムマシンでは、再現は難しかった。

Aメロの最初に、ピアノだかオルガンの音がポンっと短く入っていて、
サビで入るオルガンは、もともとは、ずっと演奏していて、あとから、
Aメロ部分をカットした際に、音が残ったのだろうかとか、その逆で、
ピアノ伴奏が入ったのを、消すことにして、たまたま音が残ったか。

ちょっと不思議な感じで、ビートルズの場合、失敗や録音のミスも、
これは面白いと、結果オーライでそのままにすることも多いので、
同じようなケースかと思ったり、それともS&Gは、効果を考えて、
すべてやっているのか、いつもの癖で、あれこれと詮索したくなる。

文藝別冊「総特集・サイモン&ガーファンクル」のアルバム解説で、
「冒頭に二音だけ入っているピアノの音が郷愁を誘う」と書いてあり、
オルガンではなくピアノ、それもポロロンという哀愁を帯びた音色を、
どうやら意識したようなので、それなら演奏しなければと音を入れる。

3枚目のアルバム、「パセリ、セージ、ローズマリー&タイム」に収録、
「早く家へ帰りたい」を、自分もミュージシャン気取りで、演奏するも、
昔からのスリーフィンガーでない分、ギターの演奏にも戸惑いがちで、
いつもながら、キーの低いはずのS&Gでも、高音がきつかったです。







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